
日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会の会報?に #SA の紹介記事が載ったというニュースを受け、ガンバ奏者向けのマイナスワン、トマス・モーリーの2台のガンバのための曲を公開させていただきました! filmuy.com/smartaccompani… 演奏はもちろん、坂本龍右 @contra2nd さんです! #SA新着情報 twitter.com/smrtaccompanis…
2020-07-09 22:11:18
日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会の会報?に #SmartAccompanist の紹介記事が載っているとの情報を入手しました!書いてくれた方、載せてくれた方、大変ありがたく存じます!この感謝がうまいこと関係者各位に伝わりますように!皆さんもルートあったらぜひチェックしてみてください!
2020-07-08 01:03:33
実はこれらの曲は、ヴィオラ・ダ・ガンバに限らず、メロディを奏することのできる楽器(例えばリコーダーやフルートなど)なら、何でもOKです!そのことについて、一次資料をご紹介しながら、こうしたデュオ曲が生み出された背景とともに、分かりやすくご説明していきたいと思います。 #SA twitter.com/smrtaccompanis…
2020-07-10 21:14:23今回のおしながき
・初版譜のご紹介
・シェイクスピア劇とモーリーの音楽
・音楽教師としてのモーリー
・エリザベス朝末期の音楽事情とモーリーの活動
・古楽の復興史におけるモーリーの音楽の重要性
今回も盛りだくさんです!

まずは、トマス・モーリーの2声のカンツォネッタ集の初版からご紹介。楽譜は後にして、まずは表紙と目次です。1595年の刊行となっているので、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の初演が行われたのとほぼ同じ頃、と言えるでしょう。政治史的には、エリザベス一世の治世の晩年にあたります。 pic.twitter.com/TEAJ60CAme
2020-07-12 07:27:46


実際にシェイクスピアの劇作歌には、トマス・モーリーが作曲した旋律に乗せて歌われたと思われるものがあります。特に有名なのは「お気に召すまま」の第5幕第3場で小姓たちが歌う、「それは恋人たち」です。このリュートパート、きちんと弾こうとするとかなり手ごわいです! youtube.com/watch?v=Hbrkxu… pic.twitter.com/xdTFFVjUDT
2020-07-13 08:49:20
Smart Accompanistでは小出智子さんがマイナスワンを提供しています

シェイクスピア劇でその音楽が歌われ、またロンドンでも特に重要なセント・ポール大聖堂(現在の建物は再建)でオルガニストを務めるなど、聖俗両方の分野で影響力のあった音楽家、それがトマス・モーリーです。当時の一般の人々への認知度で言えば、ダウランドよりは間違いなく上だったでしょう。
2020-07-13 08:59:25
この曲集には、全て2声パートで書かれた英語の歌詞つきの作品と、同じく2声で歌詞のない作品が、ほぼ交互に並んでいます。後者はポリフォニックなテクスチュアを持つ器楽曲に多いタイトル「ファンタジー Fantasie」の後に副題が置かれて、しかも最後は必ず「?」マークで終わっています。 pic.twitter.com/dVs1uDFGhK
2020-07-14 08:33:32


今回はキャラクターが好対照なファンタジーを2曲、すなわち「悲しみ Il Lamento ?」と「狩り La Caccia ?」を続けて録りました。前者は実音のオクターブ下で演奏しています。こちらは後者で私が弾いたパート。初版譜はこのように小節線がありませんから、これを見てアンサンブルするとスリリングです! pic.twitter.com/nWgWX7coHV
2020-07-14 09:12:13

シェイクスピアとモーリーの繋がりはまだあります!1599年にモーリーの編纂によって出版された器楽合奏の曲集には、同じ喜劇の「十二夜」の中で歌われる、「おお、僕の恋人よ O Mistresse myne」の器楽バージョンがあります。この曲集、リュートのパートだけまだ見つかっていないのが実に不思議。 pic.twitter.com/5J5Ef13P98
2020-07-15 10:29:49

閑話休題。
おすすめ音源と、個人的な思い出。

ちょうど7月15日はジュリアン・ブリームの87歳の誕生日。コンソートによる88年の来日公演のビデオを、当時小学生だった私は擦り切れるほど見ました。シェイクスピア劇で歌われたトマス・モーリーの音楽も、名歌手を交えて演奏されました! m.youtube.com/watch?v=yq2fcc… m.youtube.com/watch?v=hRw-p4…
2020-07-16 07:08:30
ところでこの2曲、かつてスコラでの「リュートクラスの弾き語り発表会」にて、メドレーで披露したことがあるのですが、それがたまたま、今の嫁の親との初対面の場でした。おかげでしばらくは、本業の楽器ではなく「歌の人」だと認識されてたようで...恥ずかしいけど、今となっては懐かしい思い出です!
2020-07-16 07:11:26
シェイクスピア劇その他の、舞台音楽担当のバンドに、6台の楽器による'Consort of Six'があり、モーリーはこの編成用の特別な曲集を1599年に出しました。これは私がスコラ在学中に仲間と録音したもので、この分野を専門とするアンソニー・ルーリー氏に監修をお願いしました。youtube.com/watch?v=ErkCRN…
2020-07-23 08:41:37
トマス・モーリーは、音楽教師としても優れていました。1597年刊行の彼の著作「A Plaine and Easie Introduction to Practicall Musicke」(←古い英語の綴り方にも注目!)は、伝統的な対話篇のスタイルで書かれていて、実践的な音楽の理論が、豊富な譜例や図とともに説かれます。 pic.twitter.com/4qo8oRxbYn
2020-07-17 18:17:01



初めの方の2声曲の譜例。たぶんモーリー作曲でしょう。当時の音楽指南書には楽譜の「お約束」を学んだあと、練習曲的なものがよくあります。2声のものは特にビチニアまたはビチニウムと呼ばれ、複数人で歌って「音程とリズムをちゃんと合わせる」ためのもの。歌詞なしでも、階名をつけて歌われました。 pic.twitter.com/8PdUD1VWLb
2020-07-17 18:35:36

ビチニア、あるいはビチニウムはこうした教育的配慮から、対位法的に展開されるのは当然としても、大抵は2つのパートの模倣で始まり、様々なリズムと音程のパターンが使われれます。さらに終わりの方に行くにつれて、リズムが複雑になったり、音程の跳躍が多くなったり、といった特徴があります。
2020-07-17 18:42:40
こうしてみると、今回 #SA 用にアップした2つのファンタジーは、別に器楽での演奏に特化した曲なのではなく、初歩の音楽教育用のビチニアとしても使用できるようにするのが、モーリーの本来の意図だったように思えてなりません。ただし、歌いやすい音域に適宜移高する(transpose)ことが必要です! pic.twitter.com/BisW9qPhM2
2020-07-18 00:03:55


なぜカンツォネッタ集に、こうした歌詞のない曲(ファンタジア)がいくつも入っているの?そもそもカンツォネッタと書いてあるのに、なぜ歌詞なしの曲のタイトルはみなイタリア語で、歌詞がある曲は英語なの?このような素朴な疑問が出てきそうですね。これから私なりにその根拠を示そうと思います!
2020-07-20 17:54:30
トマス・モーリーは、当時のイタリアの世俗音楽を、英国に「輸入」することに一役買った人物でもありました。彼が初めてではないものの、英語によるマドリガルを作曲した功績は大きいです。またバレット「今や季節は五月 Now is the month of maying」は現代でも合唱の定番。 youtube.com/watch?v=vcpZWs…
2020-07-21 17:24:21