【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」】

横山光輝「三国志」を一話ずつ解説してみようというコーナー。第307話「玄徳没す」の巻。 ※解説はbotさんの個人的見解です。 ※今回の話は、大判・横山光輝「三国志」第16巻に収録されています。
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横山光輝「三国志」武将かるた_bot @yms_karuta

【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」01】 第307話です。魏呉の戦いから舞台代わりまして、白帝城となります。大敗した玄徳は白帝城に逃げ込んでいましたが、それから体の調子をくずしていました。呉に大敗し、蜀の将兵の多くを失った心労が大きな原因となっていたようです。

2020-08-06 10:25:13
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」02】 この体調不良がなければ直ちに蜀の成都への帰還を目指したのでしょう。実際、成都に帰って養生したほうがいいのでは、という進言もありましたが、今更成都に帰って皆に会わせる顔がない、と玄徳。かなりメンタルやられてしまっています。

2020-08-06 10:27:16
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」03】 呉侵攻については、孔明はじめ多くの者が反対したのにもかかわらず、それを受け入れず、これだけの死者を出してしまった。その責任を痛感しているのです。 玄徳が大敗したのは蜀の章武2年6月ですが、そのまま白帝城で夏、秋、冬と季節が移り変わります。

2020-08-06 10:31:00
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」04】 横山光輝「三国志」大百科の年表によれば、章武2年6月に孫夫人が亡くなっています。ついでにいえば、呉はこの年の10月に孫権が、呉の独自の年号、黄武を建てます。つまり、この年から、魏の黄初、章武、黄武、と三つの年号が並列していたのです。

2020-08-06 10:34:44
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」05】 さて、季節は移り春となりますが、成都にいる孔明のもとに、玄徳が危篤になったという知らせが。至急、王子を連れて行くと使者に答える孔明。孔明は太子、劉禅を成都に残し、劉永、劉理の二王子を伴って急いで白帝城に向かいました。

2020-08-06 10:37:19
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」06】 劉永、劉理は劉禅の異母弟です。三国志演義では穆(ぼく)皇后の実子という設定になっていますが、横山三国志では母の詳細は不明です。横山三国志は、少年誌に連載していたということもあり、側室の表現は極力控え、基本的に一夫一妻制としています。

2020-08-06 10:42:27
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」07】 ただ、皇帝が複数の妻を娶ることは珍しくはありません。むしろ血統の継続のためには推奨すらされていたと考えられます。ゆえに劉永、劉理は玄徳が不倫して出来た子ということではなく、劉禅の異母弟という扱いです。それ以上はあまりツッコミしないこと。

2020-08-06 10:46:50
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」08】 劉禅を残してきたのは、万が一、孔明と劉永・劉理が呉や賊に襲われて死んだ場合、劉禅まで死んでしまうと蜀がそのまま次期君主不在になってしまいます。いわゆるリスク管理ですね。ともあれ、急ぎ孔明は白帝城の玄徳のもとに向かいます。

2020-08-06 10:48:45
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」09】 孔明は寝所に横たわっている玄徳と対面します。かなりやつれて衰弱している様子を見て、さぞ病床で悩み続けていたに違いない、と玄徳の心情を慮ります。今更玄徳の失敗を責める気持ちはありません。

2020-08-06 10:50:08
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」10】 玄徳は、孔明のおかげで帝業をなし得たが、丞相の戒めを聞かなかったばかりに敗軍の憂き目にあった。成都に帰って顔を会わせるのも恥ずかしいが、明日をも知れぬ命となってはそうも言ってられぬ、自分が死んだ後の事を頼むほかはないと、玄徳。

2020-08-06 10:51:56
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」11】 漢朝統一という大きな志半ばではないですか、と孔明は励ましますが、自分亡き後も孔明がいれば蜀は安泰、と言う玄徳。ただ一つ心がかりは、太子劉禅がまだ幼年で、いったいどのような人物に成長するのか、ということ。

2020-08-06 10:53:53
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」12】 そこで、と玄徳は孔明に一つ頼みがあると言います。もし、劉禅が帝に相応しいければよく助けてやってもらいたいと。しかし、帝王の器でない時は、孔明が自ら蜀の帝となって万民を治めてもらいたいと。劉禅がボンクラなら皇帝をクビにしても構わぬと。

2020-08-06 10:56:12
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」13】 「鳥の将に死なんとするその鳴や哀し、人の将に死なんとする其の言や善し」とは「論語」に収められている聖人の言葉ですが、自分の言葉をへりくだって聞いてはならぬ、と玄徳は言います。

2020-08-06 10:59:57
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」14】 息子達よ、と劉永、劉理の二人に、自分が死んだ後は兄弟三人みな孔明を父と思って仕えろと。いささかも怠れば不孝の子だ。わかったら丞相に請拝せよ、と玄徳が言うと、二人の幼い兄弟は孔明に跪きます。それでよい、と玄徳。

2020-08-06 11:02:07
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」15】 涙を流す孔明。玄徳は、皆に向け、自分は我が子を孔明に託した、御身達もそこつの振る舞いをして自分の期待にはずれぬよう、と言います。代表して馬良がははっ、と返事。

2020-08-06 11:03:51
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」16】 最後に趙雲の名を呼ぶ玄徳。趙雲とは随分と長い間、生死をともにしてきたが、ここで別れるとは思わなかった。今までの付き合いを思ってせがれのことを気をつけてくれ、と頼みます。趙雲は、そのような悲しいことを言わないでくれ、というのが精一杯です。

2020-08-06 11:05:22
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」17】 後事を託すだけ託した玄徳。孔明始め、直接話しができたことで安心したようですが、少し疲れたから休ませてくれと言います。ここは黙って退室する孔明達。しかし夜になり、満天の星空の下、流れ星が一つ。これを見た孔明は、玄徳の死を悟り涙を流します。

2020-08-06 11:08:31
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」18】 ほどなく、玄徳の容態が悪化したとの報告。急ぎ玄徳のいる部屋に駆けつける孔明。しかし、玄徳はすでに昏睡状態。時折うわ言を。関羽と張飛がきておるわ、わかった、すぐに行く…、と夢の中で関羽と張飛に会っているようです。

2020-08-06 11:10:13
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」19】 陛下、と玄徳の手を握る孔明。玄徳は、義弟達め、早くこいとせかしおる、と言った後、ガクと事切れます。孔明や臣下、劉永、劉理らが声をかけますが、もはや応えることはありません。周りの者は全員泣き崩れます。

2020-08-06 11:12:14
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」20】 黄巾賊の乱を見、戦火にあえぐ万民を見て、乱世の終息と漢室の復権を志して立った劉備玄徳。しかし、その志半ばにしてこの世を去りました。章武三年四月二十四日でありました。

2020-08-06 11:13:51
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」21】 人々の嘆き悲しむうちに、孔明は棺を守って成都に帰ります。孔明は玄徳の葬儀を終えると、太子劉禅を皇帝の位に即かせ、年号も建興元年と改元します。 そして、国議は玄徳に昭烈皇帝と諡(おくりな)し、新帝の治世にその余光あれと祈りました。

2020-08-06 11:16:45
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【横山光輝「三国志」講座307「玄徳没す」22】 蜀は劉禅が皇帝となり、実質的には丞相・孔明が率いることに。「三国志」も、これからは孔明が主人公と言って過言ではありませんが、新たな展開を迎えていきます。 玄徳の死をきっかけに魏が動きますが…。続きは次回となります。 今回はここまで。

2020-08-06 11:23:27