【映画『 #来る 』考察】儀式とキリスト教、『君の名は。』『天気の子』とのつながり、ラストについて
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『来る』と日本的儀式について
映画『来る』は「前半がタルいからアマプラでは最初30分は飛ばせ」とか言われてるけど、中島哲也監督も「この作品では日本の儀式を描きたかった」と語ってるし、自分は前半必須派。冒頭のうすら寒い法事・結婚式も、除霊フェスなんて言われている終盤も全部儀式。儀式で始まり儀式で終わる映画なんだよ pic.twitter.com/tBJqZ2V18N
2020-08-08 06:12:41原作者の澤村伊智はBlu-rayの特典のメイキングで「最初の法事と結婚式のシーンが大好きでここだけで2時間観たいぐらい。自分も日本のこういう儀式には違和感や嫌さを感じていた。なんで自分が考えていたことが監督にわかったんだろう」とも語っている。 amazon.co.jp/dp/B07QHNMBH9
2020-08-08 06:19:26『ぼぎわんが、来る』原作者の澤村伊智さんは、パンフレットやBlu-rayのインタビューでも映画版について心底嬉しそうに語っているのが印象的。一番の映画『来る』のガチ勢は原作者なんじゃなかろうか。
2020-08-08 06:25:32『来る』は「宗教版アベンジャーズって言われるけど、キリスト教系がいない?」問題について
ちなみに「宗教版アベンジャーズ」は、『来る』の神道監修をした新宿下落合氷川神社の方がBlu-ray収録のメイキングで本作を評した言葉。
映画『来る』初見だと「宗教版アベンジャーズっていうけどキリスト教系がいないじゃん」ってなるけどキリスト教はクリスマスという表層で作品世界全体に溶け込んでるんだよな。松たか子と岡田准一が会話するシーンでも、初見だとラーメン食べてる姿に気を取られるが画面端にツリーが執拗に映されている pic.twitter.com/9Ggw6QthEs
2020-08-09 10:58:13個人的に映画『来る』のなかでは、キリスト教は神道の次くらいに優遇されてる宗教だと思ってる。この映画をアマプラで観なおす際は、一時停止しつつ画面に綿密に配置されたクリスマス要素を探しながら観ると楽しいはず。 pic.twitter.com/byUNWV2BtW
2020-08-09 11:16:55プロデューサーの川村元気のインタビューから読み解く、『来る』と『君の名は。』『天気の子』『ラストレター』との共通性
映画『来る』のパンフレット読んでたら川村元気Pがインタビューで「ここ数年、『目には見えないけれど、確かにそこにあるもの』が自分の中の大きなテーマになっている。具体的には神頼み、雨男と晴れ女とか。」と思いっきり『天気の子』を匂わせる発言をしていて驚いた。2018年には気付かなかったよ。
2020-08-09 06:50:11川村元気Pはその後に映画『来る』は、「『君の名は。』と同じ『目には見えないけれど確かにそこにあるもの』というテーマを、まったく違う、ホラーという形で展開したもの」と語っている。『来る』・『君の名は。』・『天気の子』は川村P的には一貫したテーマを扱った同列の作品なんだろうな。
2020-08-09 06:59:36川村元気Pのこのインタビュー読んでると、映画『来る』終盤の野崎の選択と、『天気の子』の終盤の帆高の選択には共通性がある気がしてきた。野崎も帆高も、最大多数の最大幸福や集団的な合理性に抗い、大文字のルールを突き抜けた選択肢を取っている。 anime.eiga.com/news/109168/
2020-08-10 16:18:01『目には見えないけれど確かにそこにあるもの』というテーマは川村元気Pの、『来る』の次の実写映画作品『ラストレター』にも通底している。てか、『ラストレター』のパンフレット読み直してたら、スタイリストが『来る』と同じ申谷弘美さんじゃん! この人、中島哲也組と岩井俊二組の常連なのか。
2020-08-09 07:11:59なんにせよ、現在の映画『来る』は川村元気Pが原作を中島哲也監督に送りつけなければ制作されることはなかった作品だから、川村元気Pの前後作と比較しながら考察すると非常に面白い。
2020-08-10 16:28:14【ネタバレ】クライマックスシーンの考察紹介
【映画『来る』考察】この作品を観終えた人が真っ先に思う疑問が「オムライスの国ってなに?」だと思うが、アイディアを思いついた中島哲也監督と美術監督以外のスタッフは全員「何それ?」って反応で、(多分東宝の)偉い人は削れって言ったぐらいだから一観客が明確な答えを出すのは相当難しいと思う
2020-08-10 17:43:28ただ、オムライスの国についてはTwitterやブログで多くの方が良質な考察を多数投稿しているのでそれらを読めば、ある程度疑問は氷解するはず。まず「オムライス」=「お山」、「ケチャップ」=「血」の暗喩という説には納得。
2020-08-10 17:44:20あと、2018年の公開当時に見た考察で思わず膝を打ったのが、オムライスの原材料である「卵」=「生まれることを許されなかった命」の暗喩説。
2020-08-10 17:45:05この説の納得度が高いのは、劇中で野崎が「子返し」された赤子(水子)に囲まれる描写と呼応しているから。また、執拗に繰り返される芋虫も未成熟な子どもの暗喩であるため、そこともつながる。つまり、この2つの描写とオムライスの国は本質的には同一のものだといえる。 pic.twitter.com/J098wKThKO
2020-08-10 17:46:10あと、このブログで紹介されている「オムライスの国」=「知紗にとっての幸せな家族の象徴」という見立てもおそらく正しい。 【ネタバレあり】映画『来る』解説・考察:原作との違いに見る中島監督の新解釈 club-typhoon.com/archives/2018/…
2020-08-10 17:47:02「オムライスの国=幸せな家族の象徴」説の最大の傍証が、『来る』のサントラに入っている『オムライスのうた』フルバージョンの3番の歌詞。まぁこればっかりはストリーミングやMP3で実際に聴いてくれとしか言えない。他にも良曲ぞろいなのでサントラは本当にオススメ。 amazon.co.jp/dp/B07L8J5V2X/
2020-08-10 17:49:31