村上隆氏による「これがギャラリストの仕事です」

takashi murakami @takashipom

ここで求人するのもなんだが、新ギャラリーHidari Zingaroで、ギャラリスト修行に入りたい、清廉潔白な若者はいないかね！？？？

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英語が話せる方が良い。（フランス人＆中国人も中野は多いので、助かります）Hidari Zingaroの求人コーナー。

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ギャラリストとは、ART作品を買いたいなぁ〜と思ったお客様が、なにかで（多分ネット）で所在地を知り、ふらふらと、ヒヤカシにくる。で、中野ブロードウェイに入ったとたん、魔窟パワーにやられてしまい、ついつい不必要なフィギュア等を購入してしまう。「なぜ？私がこんなものを」と、、、、

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疑問に思いつつ、やっとHidariZingaroに到着。ARTがみれると思って来てみたら「こるぅあ〜！マンガと同じかそれ以下の下手な絵やんけ！」心の中で仰天しつつも、冷静を装う客。その客を捕まえて、あれこれややこしい話をしながら一見ただの下手なマンガ絵を、それ相応の価格で販売。

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しかし、客はまんだらけ、等で予想外の出費をしてしまったので、値引き交渉に入る。そこを動じず、アーティストの苦しい生活を説き、未来の日本の文化を憂い、そして芸術的生活が如何に素晴らしくも輝かしい潤いを毎日の生活に与えるかを説き、納得して頂き、最後にはお客が涙ながらに感動して帰る。

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という、お仕事。これがギャラリストじゃ！

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それからそれから、作品を造るのは作家さん。作家さんは浮世離れした方が多くいらっしゃるので日本人にあっても日本語が通じない。そう言う方々をいい気持ちになってもらって、作品をどんちゃか造ってもらったりするためのお囃子役になったり、、、。。。

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作品は『ゴミ？？』と思われるような紙をくしゃくしゃにしたものだけにしか見えなかったりするのをうやうやしく、搬入されたままの形で保存し、正しいルールでパッキング。そしてその作品を超弩級高画質のカメラで作品として撮影。

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そして一番の難関がオーナー村上隆の気が狂ったオーダーが２４時間レベルで襲って来て、「今すぐ頼む」というリクエストに応え続ける事だったりする。なぜなれば、お客様はなにも店頭に来てくださる方だけではなく、世界中からネットの写真とスペックを見ただけで購入希望を訴える人々がいるから。

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そうこうしているうちに、ギャラリーも有名になって来て、取材の依頼が来始める。それらを捌きながらも、どうやったらギャラリーの特性をうまくメディアを通して伝えれるかを考えながら、記者、カメラマンの方々とのコミュニケーションをとって、うまぁ〜く記事にしてもらう。

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そしてメディア対応の最大難関は超弩級上から目線の地上波TVからのオファー。出れば効果はあるモノの、その効果を知っているが故の傍若無人ぶり目を覆う場面しばしば。しかし、そこを忍の一字でニコニコしてうまぁ〜くメディアに乗るようにオーガナイズ。

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たまにカメラクルーが作品を破壊しても謝りもせず、逆にむっとされたりするのも忍の一字。そうこうしているうちに、話題沸騰。風呂敷画商と呼ばれる、俗にいう転売屋が普通人の顔をしてニコニコすり寄って来て、あれこれ言いつつ購入。

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新人ギャラリストは「いやぁ〜、今月はなかなか売り上げが良かったなぁ〜」等と呑気な事を言っていると、わけのわからんなんちゃらおーくしょん、とかに出展され、法外な値段でどこかの勘違いされた外人の方に競り落とされる。

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そうすると、有象無象の風呂敷画商が子供等を雇いながら、サインをねだりにオープニングめがけて来る。サインをゲットすると即、ネットオークション。そうこうしているうちに、売れてるのを妬む一部の知ったような連中にどっかのサイトで悪口三昧書かれる。

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そうこうしてると、転売屋の所に溜まって来た作品をそろそろ処分せねばならなくなり、一気に放出。作品の値崩れが起きる。ババを引いてしまった転売やの転売やの転売や等が、突然ギャラリーにやって来て、「おい、おたくんとこの作家や。多角化って当たり前やろ！」とすごむ。

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そういうすごまれたり、価格が下落しないように、転売屋さんを見抜き、そう言う方には最初から売らなかったり、脅されてもビビらなかったり、と、いろいろ嫌な思いをしながら、売り上げが落ちてくる。すると狂気のオーナーの登場。「おらぁ〜、なんで売り上げ下がってしもたんじゃ〜！」

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ビビりながらも耐え忍んでギャラリーに座ってると、作家から電話「金がなくて１週間喰ってない。なにか食べさせてくれませんか？」げぇ〜！２週間前に３０万円振り込んだじゃん。どしたのあれ！「どうしても欲しかったスキャナーと大版プリンターの頭金にして使っちゃいました」ない

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、、、と、怒るに怒れない作家として真剣な姿勢にぐうの音も出ず、「じゃあ、作品持って来てください」というと「パワーが無いので作品できてません」といなおられる。しかたがないので、現金をもって作家のうちに訪問。バナナでももって、胃をおかしくしないようにと気遣うと「ばななか、、」と

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がっかりされて、切れそうになる。携帯に電話が！「○○さん、ヴェニスでの展覧会が決まりそう！」なにぃ〜、この目の前にいるバカがヴィニスに招待されたってぇ〜！！ふ、ふざける、、、、、むん！と唾を飲み込み！○○さん！おめでとう！ヴェニスの展覧会決まりそうだって！「フェミレス言っても

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いいすかぁ？」くぅらぁ〜わっしゃ〜！殺したろか！とおもいつつ、ファミレスへ行くと３皿も肉系のオーダー＆ドリンクバー往復し過ぎ！マナーが無いのかお前は！と心で思いつつ、は！っと気がつくと小さな紙にドゥローイングを始める。つぎつぎと描き進め、もう３０枚、５０枚、１００枚！

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「番号順に貼ってってください」と言われて、会計を終わらせ、ギャラリーの事務所にため息まじりに帰る。騙されたと思ってバズルのような汚い紙切れを数百枚合体させると、、、、！息をのむギャラリスト。「て、天才かお前は！」不覚にも涙が少しだけにじんでしまい、「ふぅ〜、ま、がんばるか」

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と、明日も無限地獄への一本道と知りつつも心にジンと来てしまった者の弱みで「この仕事、好きかもな」と自分を励まさねばやってられない。そんな仕事がギャラリストの仕事です。はい！