「翻訳会社の未来」 「翻訳者の未来」

kawano_hiroki さんの Tweet があまりにもすばらしいのでトゥギャってみました。
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かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来1 視点を変えて、ここまで検討してきた翻訳産業の変化が将来翻訳会社をどう変えていくかを考える。そもそも、TMS(翻訳管理システム)が発達した未来の社会に、翻訳会社など居場所があるのだろうか?

2011-07-03 18:22:43
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来2 冒頭のモデルにもどるとインバウンド翻訳において翻訳会社の介在する余地はない。翻訳会社が必要になる可能性があるとすればアウトバウンド翻訳である。そこは翻訳者が次世代翻訳支援ツールを使って今の二倍の生産性・二分の一の単価で翻訳する世界である。

2011-07-03 18:27:40
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来3 アウトバウンド翻訳の世界に発注元は存在するし翻訳者も間違いなく存在する。しかし、その世界でどのような〈翻訳会社〉が必要になるのかは検討に値する問いだろう。従来と同じようなことをやる翻訳会社はもういらないかもしれない。

2011-07-03 18:31:02
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来4 未来の翻訳会社の役割を現在の翻訳会社から外挿して考えるのはやめて、まず、近い将来のアウトバウンド翻訳の世界で〈翻訳会社〉に期待されると思われる社会的機能を演繹して考えてみることにする。そしてその視点から現在の翻訳会社を振り返ることにする。

2011-07-03 18:43:09
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来5 第一に発注元と翻訳者を接続する機能は翻訳会社が提供することになる。しかし、ただマッチングするだけならサービスでカバーできる部分も少なくない。GMOスピード翻訳が現在提供している機能を延長していけば、少なくとも単独の翻訳者でカバーできる業務は人手を介しないで済む。

2011-07-03 18:54:02
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来6 問題は単独の翻訳者で処理できない分量と納期の翻訳プロジェクトを処理する場合で、このときには複数の翻訳者でチームを編成して品質や納期を調整するコーディネート機能が必要になる。翻訳管理システム(TMS)によってはコーディネートの機能の一部を実現するものもあるようだ。

2011-07-03 18:56:22
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来7 このコーディネートの部分は人間でなければできないと考える翻訳会社の関係者も多いがはたしてそうだろうか?コーディネーターが行っているのは、翻訳者のキャパシティ、経験、スキルなどを総合的に判断して組み合わせる作業だが、これらの作業がツール化できない原理的根拠はない。

2011-07-03 18:59:33
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来8 翻訳者のキャパシティ・経験・スキルをデータとして処理できるように入力してやり、これらを調節するようなアルゴリズムを実装してやれば、次世代のTMSでもある程度はコーディネート機能を実現できそうである。

2011-07-03 19:01:27
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来9 おそらく少なくとも最初は、人間のコーディネーターと比較してTMSによるコーディネートはあちこちから不満を言われるだろう。しかし、属人的なコーディネートと比較してよりオープンな視点で新人翻訳者に登用機会を提供したり、個人的好みによる翻訳者起用の偏りは減るだろう。

2011-07-03 19:03:27
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来10 コーディネートは翻訳よりもアルゴリズムに還元できる可能性が高く、ツール化できる可能性がある。ツール化できれば翻訳会社にとって人件費抑制の利点は非常に大きい。現在はまだ登場していないがもし登場すれば次世代TMSはコーディネートを無人化するかもしれない。

2011-07-03 19:06:14
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来11 次に品質管理であるが、この部分は翻訳支援ツールの問題とあわせて考える必要がある。使用する翻訳支援ツールによって品質管理の作業内容が変化するからである。現在品質管理の名目で行なわれている作業の中には、用語や表記の統一のようにツールでやれるはずの部分がまだ大きい。

2011-07-03 19:08:39
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来12 つまり、翻訳支援ツールの機能や性能が強化されていけば、品質管理の作業内容が変化する。このことは、品質管理の作業が本質的に翻訳と同じ作業であることを考えれば当然のことである。

2011-07-03 19:11:21
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来13 ここで問題は次世代の翻訳支援ツールを誰が設計するのかという点である。翻訳支援ツールの開発者と翻訳会社が分離している現状(すべての企業ではないが)では、いくら待っても次世代の翻訳会社の需要を満たせる次世代の翻訳支援ツールは開発されない。

2011-07-03 19:13:51
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来14 アウトバウンド翻訳で役立つような次世代の翻訳支援ツールを提供できる可能性があるのは、したがって翻訳支援ツールの開発者と翻訳会社が統合されている場合だろう。そのような会社は現在でも複数存在する。

2011-07-03 19:15:42
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来15 この項の視点に話を戻せば、これが次世代の〈翻訳会社〉に要請される第三の機能になるだろう。その機能とはつまり翻訳支援ツールの開発にあたって要求仕様を提示する機能である。当分の間、次世代TMSは開発に継ぐ開発が必要だから、この機能は持続的なものになる。

2011-07-03 19:18:40
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来16 翻訳支援ツールとならんで問題となるのは前述した言語資産の関連業務である。アウトバウンド翻訳で実効性が高いと思われるドメイン特化した言語資産はオーナーシップを得意先が持つとして、その手法は〈翻訳会社〉がアドバイスすることになるだろう。

2011-07-03 19:21:32
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来17 世界最大の言語資産を抱える企業の一つであると思われるGoogleが翻訳発注元に対して言語資産の蓄積方法・浄化方法・利用方法を事細かにアドバイスするビジネスを自ら展開するとは考えられないから、ここは翻訳業界の仕事になる。もっとも、従来の翻訳会社には荷が重い。

2011-07-03 19:23:46
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来18 しかしそのようなコンサルティングを発注元が今後ますます求めてくる以上、その需要にうまく答えられる翻訳会社が営業的に成功するのは自然である。ビジネスの有効性が広く認識されるにつれて営業指向性の高い翻訳会社はどこもコンサルティングに力をいれざるを得なくなる。

2011-07-03 19:27:51
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来19 この機能、すなわち言語資産(翻訳メモリ、用語集)の蓄積・浄化・利用のよりよい方法を発注元にアドバイスするとともに発注元を支援して実装システムを実現すること、それが今後の〈翻訳会社〉に必要な第四の機能になるだろう。

2011-07-03 19:31:07
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来20 以上に述べてきた未来の〈翻訳会社〉が担う4つの機能、マッチング、コーディネート、翻訳支援ツール要求仕様策定、言語資産運用コンサルティング、のすべてに翻訳者が関係するのは当然である。翻訳者は次々に変化する作業環境に自力で対応していけるだろうか?

2011-07-03 19:34:18
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来21 ローカリゼーション翻訳の場合、翻訳者も対象分野であるITに詳しい人が多く、年齢的にも他分野の翻訳者と比べて環境変化への適応力の高い若い世代が多かったので、ある程度は自助努力に期待して翻訳支援ツールを導入することができた(Trados導入の実績がそれを示す)。

2011-07-03 19:37:34
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来22 しかし、ローカリゼーション以外の分野の翻訳者では同じように導入は進まない。他分野では環境変化への適応性に低い翻訳者の比率が高いと予想されている。そのセグメントの翻訳者に対して次世代の翻訳支援ツールの使い方を教育し対応可能翻訳者を増やすのは翻訳会社の仕事になる。

2011-07-03 19:40:52
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来23 翻訳者の教育といえば翻訳学校の仕事ともいえるが、翻訳学校は翻訳会社と兼業でない限り、現場で必要とされる特化したスキルについて何を教えればよいのか自分ではわからないので、その前段階の一般的なスキルについてしか教えられないだろう。それでは現場の即戦力にならない。

2011-07-03 19:44:02
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来24 一昔前のTradosのように翻訳支援ツールとして定番が成立するような市場環境の場合はそれを教えておけばよいが、次世代翻訳支援ツールに対する要請も実装も流動的となり継続的発展が常態化し、翻訳支援ツールも多様化しているため、Trados覚えればOKではなくなる。

2011-07-03 19:47:46
かわの_ひろき @kawano_hiroki

翻訳会社の未来25 そうなると、発注元の個別要請におうじたスペシフィックな翻訳支援ツールと言語資産利用にあわせたスキルを翻訳者に教育する人材育成もまた〈翻訳会社〉に期待される機能になる。つまりこれが第五の機能。

2011-07-03 19:49:58