太平洋戦争後の引揚げについて

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じゃむ猫 @jamnekodd

軍人軍属の復員計画はGHQの指令が来る前から立て始めていて、だから上陸前には内地部隊の復員は粗方完了という一見変な状態になってる。 現地邦人に関しては当初は引揚げの意識はなくて現地で暮らしてくれという意向だったけれど陸海軍省の管轄ではなくGHQの意向もあって厚生省が引き取る。

2020-08-15 13:07:07
じゃむ猫 @jamnekodd

移住扱いだから引揚げせずに現地で生活を模索してくれという意向だったのだけど、やはり現地の治安が邦人にとってはあまりにも悪すぎて引揚げを認めざるを得なくなり、復員と併合する形で引揚げも計画された。 もっとも計画前でも復員船が現地邦人を乗せて帰って来ちゃった例はままある。

2020-08-15 13:11:21
じゃむ猫 @jamnekodd

当時の日本政府が躊躇したのも、軍人軍属の復員解員だけでも輸送船の手配が覚束ないのに民間人入れたら単純計算でその数が倍に膨れ上がること、また内地に戻っても生活手段がない彼らへの支援が難しいという理由があった。

2020-08-15 13:20:52
じゃむ猫 @jamnekodd

輸送に限って言えば、GHQは基本的に自助努力せよの立場で、日本海軍(と陸軍)の残存艦船、および商船の大部を投入しても何年かかるか目処が立たないという状態で開始されており、日本政府は当初からGHQに対して輸送船の貸与を依頼していたが色よい返答はなかった。

2020-08-15 13:23:37
じゃむ猫 @jamnekodd

中国内戦のあれやこれやで色々計画がぽしゃって、輸送船に余力が出来たため、米国が日本政府に船を貸してもいいという流れになって、輸送力の大増強に繋がった。昭和21年。 船を貸してくれて有り難う的な話だけど、裏側では連合国内の外交のおこぼれ的な感じが強い。

2020-08-15 13:30:03
じゃむ猫 @jamnekodd

なお貸与船は裸傭船みたいな感じなので船員はマッカーサー命令とかでかき集めてる。なかなか威圧的な文言での召集だったらしい。

2020-08-15 13:40:37
じゃむ猫 @jamnekodd

旧海軍艦艇の特別輸送艦は陸海軍将兵で動かしていたけど、専門や経験はガン無視で員数合わせが先、整備不良上等。 葛城みたいに「お客様の中にお医者様はいらっしゃいますか」的に、復員船の固有乗員よりも乗せてる復員兵の方が技術に明るいとかいう笑えない話もあった。

2020-08-15 13:41:51
じゃむ猫 @jamnekodd

お医者様と言えば復員船のリアルな意味での「お医者様」は、海軍軍医だけでなく陸軍軍医も船医としてかき集められている。戦後混乱期は何でもあり。

2020-08-15 13:43:23
じゃむ猫 @jamnekodd

引揚げ輸送後半の主力の貸与船、民間船のまとまった記録や回想にはたどり着けてないので、その辺はあまりよく知らない。 知り合いの親族で引揚船の士官やってて吊し上げられたという話は聞いたことあるけど、下剋上と共産思想のダブルパンチで運航に支障を来したという話はしばしば目にする。

2020-08-15 13:48:35
じゃむ猫 @jamnekodd

復員輸送の一番早いのは、もう昭和20年の8月中には船を出してる。メレヨンやウェークみたいに病院船を出したわけじゃないので、連合国との調整をどうやったのかはよくわからない。

2020-08-15 13:59:55
じゃむ猫 @jamnekodd

ちなみに復員輸送の前半戦で動員された民間船はたったの50隻程度、船質の酷さは推して知るべしで、これが敗戦直後の日本の現実。各船会社、乗員はボロボロだったけど頑張った。 民需輸送そっちのけだったらしく、輸入そのものは連合軍に厄介になるとして、国内輸送はどうしていたのかよく調べてない。

2020-08-15 15:28:22
じゃむ猫 @jamnekodd

海軍の特別輸送艦のうち比較的大型の巡洋艦八雲は日露戦役からの大ベテランで、石炭焚きで足が短い。だから台湾航路など比較的近距離に回された。コイツの復員船時代の載炭作業とかの回顧録はさすがに見つけられてないので、どなたかご存知なら教えてください。

2020-08-15 15:33:37
じゃむ猫 @jamnekodd

復員船は基本的に単独行動で、船団を作って行動することはあまりない。そういう機会があったら先任艦長や船長が指揮をとるというか、連絡のまとめ役になる。 マニラや葫蘆島には船団で行くことがあったが、隊長みたいな役人はいない。知る限りでは松型駆逐艦8隻というのが最大船団。他にもあるかも。

2020-08-15 15:39:34
じゃむ猫 @jamnekodd

ちなみに葛城の立ち往生の話は、以前紹介したこれ。 自力解決できず復員兵に頼った。この復員兵がいなかったら漂流しつつ曳船を待つことになったのだろう。 twitter.com/jamnekodd/stat…

2020-08-16 14:06:07
じゃむ猫 @jamnekodd

復員輸送中の葛城が機関故障で漂流する羽目になった。 もう固有の乗員では手に負えなくなったので、乗船中の復員将兵に「機関科士官集まれ」と呼びかける。「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか」のようなもの。何人かが手を挙げた。 (続く)

2017-04-20 00:20:07
じゃむ猫 @jamnekodd

復員輸送中の葛城が機関故障で漂流する羽目になった。 もう固有の乗員では手に負えなくなったので、乗船中の復員将兵に「機関科士官集まれ」と呼びかける。「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか」のようなもの。何人かが手を挙げた。 (続く)

2017-04-20 00:20:07
じゃむ猫 @jamnekodd

(承前) 航行不能になった理由は、缶水の減少であった。 名乗り出た機関科士官・下士官の協力を仰ぎ、徹夜で原因を追及する。 配管、各種機械の運転状況などを確認。 その結果、蒸化器が怪しいということになり、分解してみると管の1本に小さな穴が空いていたのを発見、交換した。 (続く)

2017-04-20 00:21:02
じゃむ猫 @jamnekodd

(承前) 試運転の結果は良好で、これで出発地に引き返す必要がなくなった。 応援に来た機関科将兵にはご馳走が振る舞われ、航海中はお湯(体を洗う用)の特配にも預かった由。

2017-04-20 00:24:52