出張マッサージのセラピストが性被害に遭い、被害届を出し、判決が下されるまで

あおがちる @aogatiru4

数年前の話。 出張マッサージを始めた。 お金がなかったからとにかく稼ぎたかった。 昼のマッサージは体力と賃金が割に合わなかったから、夜の派遣型マッサージ（健全）店で務めだした。 おじさん相手で最初はビクビクしながら、依頼のあったホテルに行った。つづく

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ほとんどのお客さんは良い人で、私の初心者マッサージでも「気持ちかった」「疲れが取れた」「癒やされた」と言ってくれた。 マッサージの学校に通ったから、ド素人よりは上手いけど、褒められてとっても嬉しかった。 マッサージの勉強はその後も独学で続けた。つづく

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出張マッサージは風俗と間違えられやすい。 私が務めていたお店は事前に男性スタッフがお客さんに説明して、同意書にサインしてもらう。 サイン貰ったら、男性スタッフは部屋から退出してセラピスト(女性スタッフ）が部屋に入る。 私はマッサージの資格はないので、オイルトリートメントを施す。つづく

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出張マッサージの事前同意書にはお店ごとに違うけど、大体こんなことが書いてある。 ・性的サービスを求めない ・女性スタッフが嫌がることをしない ・自慰行為をしない ・連絡先を交換しない ・引き抜きをしない ・医療行為や資格が無いとできないことを求めない つづく

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出張マッサージのお店によっては、身分証の提示を求める所もある。 なので、私達セラピストは安心して働ける。 男女カップルや女性客もいるが、八割男性客。 男性客もここまで徹底してるので、変なことする人はいない。 それでも変な客は時々いた。 今まで遭遇した嫌な客はこんな人たち。。つづく

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嫌な客1 陰茎を触ってよとしつこい。 嫌な客2 胸触らせてとしつこい。 嫌な客3 一万円あげるからサービスして。 嫌な客4 お尻を勝手に触る。 嫌な客5 自慰行為を始める。 嫌な客6 マッサージしてあげるよ。 他にもあるけどこんな感じ。 つづく

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大抵の嫌な客には、 「そういう店じゃないです。これ以上しつこいなら途中でも帰りますよ。」 と言えば大抵の嫌な客は大人しくなった。 私の経験だと、ビジネスホテルに呼ぶ男性客は嫌な客率が高い。 逆に、一流高級ホテルや自宅に呼ぶ客は良いお客様ばかり。 チップや海外のお土産くれた。 つづく

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嫌な客は、店長に報告してブラックリストに入れてもらい、二度とサービスを受けられないようにした。 セラピストが待機場所にいる時は、みんなで嫌な客の情報を共有し合う。 出張マッサージを何店舗も所属していたセラピストがいると、他の店舗でのブラックリスト情報も持っている。 つづく

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出張マッサージで働きだして3ヶ月目に最悪な客にあたってしまった。 後から聞いた話だけど、この最悪な客は他の店でもブラックリストに入ってるらしい。 どんなに変なことを言ってく嫌な客も、言ってくるだけで私に力ずくで何かしてくることは無かった。 だけどその人は力ずくで来た。 つづく

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最初のカウンセリングで、最初右足だけオイルトリートメントしてと言われたので、ひたすら片足30分。 足先から太ももまで。 しかも、客の体の横からじゃなく、足元に来て座ってやってと言われ、しょうが無く足元に座って、キツイ体勢の中腰で。 客はなぜか上半身起こしてる。 つづく

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本読みながらマッサージを受けたいということで、ベッドライトとか付いてる所に枕を重ねて上半身だけ寄りかけていた。 でも途中本を自分の胸において、寝てしまっていた。（寝ていると思った） キツイ体勢のまま右足30分終わったところで、声をかける。 次どうしますか？ すると、 つづく

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客:ん？あーじゃあ右足もう少しやって。 もっと足の付け根の方。 （うわーこう言う客たまにいるんだよなー） 私:付け根まではできないので、太ももまでですよー 客:いいじゃん！ここだよここ！ と、私の手を掴んで股間付近に持っていこうとする。 つづく

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腕を引っ張られて、元々中腰になってたから、前に引っ張られて前に倒れそうになった。 客の股間が近くなってキモいから急いで離れようとしたら、いきなり両手で頭を抑えられた。 最初びっくりし過ぎて何が起こったか分からなかった。 声が出なくて、とにかく体を起こして離れようとした。 つづく

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客は私と変わらない背丈で、細身だったからビックリしたけど怖いと思わなかった。 力ずくで自分の体を起こしたらすぐに頭を抑えてた手が離れた。 とにかくこれ以上同じ空間に居たくなかったから、すぐに荷物をまとめて部屋を出た。 お金は前払いだから、お金の心配はしなくて大丈夫だった。 つづく

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すぐに店長に連絡してブラックリストに入れてもらった。 ビックリしたのと、被害がなかった安堵感が強くて、本当に危険だったんだとは考えなかった。 この日は待機場に戻って、他のスタッフになぐさめてもらった。 その時に、その客は他の店でも出禁になってると聞いた。 つづく

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以降は、たまに変な事要求してくる（言うだけ）の客はいたけど、力ずくで来る客はいなかった。 普通の女の子なら、夜の出張マッサージなんて危ないと思うけど、私は慣れてしまって怖いと思わなくなってしまった。 麻痺してたんだと思う。 そんなときに、本当に怖い思いをすることになった。。 つづく

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この怖い出来事は、今もまだ解決はしていない。 犯人はなんとか逮捕することができたけど、やはり密室での出来事のため、なかなか立証が難しいみたい。。 今も係争中のため、ここで細かいことは書けない。 ただ、自分が被害者になって気づいたことがある。 世間に訴えたいことがある。 つづく

あおがちる @aogatiru4

当初は自分が性被害にあった被害者だって認めるのが嫌でたまらなかった。 強制性交罪等が犯罪名らしいのだが、その言葉を言うのも聞くのも嫌だった。 なにをされたの？ って聞かれても、なんて答えたらいいか分からなくて、言葉を探して沈黙してしまった。レイプという言葉も言えなかった。 つづく

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出張マッサージという仕事柄、そんな事されてもしょうが無いって言われるだけ、被害届も受理されないと思ってた。 ただただ、ショックで誰に言えばいいか分からなくて、誰に訴えれば良いかも分からなかった。 ルーティーンの店長報告の時に、どうしたらいいのか恐る恐る相談してみた。 つづく

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店長の反応はとても冷たかった。 淡々と事務的に説明してくれたけど、よく分からなくて私の困った反応を見かねて警察署まで連れて行ってくれた。 私は早く帰って着換えたくてしょうがなかった。 たぶん店長も眠たかったと思う。 店長は早いほうが良いからと言っていた。 つづく

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被害にあって数時間後には警察署にいた。 私の等身大の人形を使って説明もさせられた。 その人形をはたから見ていると、恥ずかしさと悲しさがこみ上げてきた。 終わって人形が片付けられたとき、私は心の中で人形に向かって謝ってた。 人形ちゃん恥ずかしいことさせてごめんね。。 つづく

あおがちる @aogatiru4

事情聴取は何時間もかかった。 最後に、刑事さんに被害届を出すか出さないか聞かれた。 リスクなど説明してくれた。 出せばこれから何年かかるか分からない戦いになるかもしれないこと。 世間にバレるかもしれないこと。 出さなければここで終わり。悔しい思いを持ち続けるかもしれない。 つづく

あおがちる @aogatiru4

睡眠も食事も取らず、長時間の事情聴取。 ショックや怒りや不安など心の疲労で、思考が追いつかなかった。 大ごとにしたくない。 家族に知られたくない。 でも、何もしないで犯人を野ざらしにしていたくない。 服を着替えたい。 他のセラピストに迷惑をかけたくない。 復讐されたくない。 つづく

あおがちる @aogatiru4

私は普段から負の感情を表に出すことが苦手で、 泣きわめいたりできない性格なので、冷静を装うことが普通だった。 そんな私が、男性刑事さんに感情をぶつけた。 刑事さんから見たら私はとても冷静に見えるかもしれない。 だけど腸煮えくり返っているんです。感情がぐちゃぐちゃなんです。 つづく

あおがちる @aogatiru4

今はどうしたらいいか全然分からないんです。 犯人の事は許せない。 社会的制裁を与えたい。 人を傷つけたことを知って欲しい。 だけど大ごとにされたくない。。 誰にも知られたくない。。 刑事:それは難しいです。もちろん警察からあなたの情報が漏れることはありません。でも、 つづく