江馬務による『小学国語読本・尋常小学国史の挿画の風俗史的解説』抜粋

「江馬務著作集(12)」中央公論新社 より
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所用で借りだして来た「江馬務著作集(12)」より、いつかは読まねばと思っていた『小学国語読本・尋常小学国史の挿画の風俗史的解説』。風俗史家江馬務による、昔話挿絵への解説とダメ出し。例を挙げながらの解説で分かりやすくてすごく勉強になる。でもちょくちょく被弾してつらい。 pic.twitter.com/HDMnL5v5Tm

2019-10-31 00:07:41
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『…中央に立つた桃太郎は、髪は巻立で元結として括つた紙が両方で広がつてゐる。これは芝居の鬘にあつて、実際にはないことで、桃山時代、江戸時代初期の各種の絵に例がないことで証拠だてられる。』ああ…。ありがたいけどちょっとつらい…。

2019-10-31 00:07:42
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→『髪の前髪を左右に分けて垂らしてゐるのは、これも桃山時代から江戸時代寛文頃までの風習であり、頭の中央は中剃といつて剃つてあることも共に少年髪風の特徴である。次に当時の甲冑は具足と称し、鉄板を用ひる物が多いが、この桃太郎のものは誠に古式なもので、胴丸の形式である…』

2019-10-31 00:07:42
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『→(胴には前に染革も貼つてないことで分る)。その上から陣羽織を着てゐる。この陣羽織は大将などが戦場に着し、又軍礼にも着するもので、これは袖無の形式である(略)鎧下には鎧直垂を着てゐる(これも見えないが、肌衣則ち小袖の短いものと、袴を着けてゐるつもりかも知れない)…』

2019-10-31 00:07:43
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→『この鎧は毛引といつて糸の縅があるもので、この画では黄茶色になつてゐるが、こんな色は滅多にない。これは緋色にでもしたいところなのであるが、便宜上でこの色にしたものと見ることが出来る。毛引きである以上、この鎧は古式である。』→

2019-10-31 00:07:43
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→『鎧は古式であるが、籠手と脛当は近代風である。(略)袋は吉備団子の袋であらう。この戦国時代、江戸時代初期には、かく具足に新古両式混合のこともありがちであるから、これも咎めることは出来ない。婆のもつ扇子は桃太郎のものである。これは古式でなく親骨の太い鉄線であつて欲しいと思ふ。』 pic.twitter.com/8s4pzxfTyV

2019-10-31 00:07:45
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あくまで江馬先生の見解ではあるんですが。他にも、舌切り雀、猿蟹合戦、鼠の嫁入り、花咲か爺さん、牛若丸、一寸法師、浦島太郎、かぐや姫、大江山、因幡の白兔、天の羽衣などが解説されており、以降は日本神話、日本史の挿絵解説があります。この論考だけでも文庫になったりしたらありがたいのに…。

2019-10-31 00:12:49
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もちろん、単に誤謬を論うための指摘の羅列ではない。序論には、教科書挿画の教育上の重要性と、それ故に正確さが求められることを説く。 pic.twitter.com/GUjcksnW1L

2019-10-31 00:33:03
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