シャッフラーに学ぶ声楽と器楽の西洋音楽史 その3

中世は何も教会音楽だけじゃない!ミンストレルと世俗音楽!! 10〜14世紀頃のヨーロッパ各地で活躍した"ミンストレル"についてシャッフラー(シャッフルダンス実践者)と学ぶ西洋音楽史第3回
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Noz(のず) @rush_noz

さて開講します。中世のミンストレルについて。教会音楽が高貴で厳かな、神秘的世界を表現する音楽だった一方で、当時の音楽はそればかりではなく、対照的に、俗物的な音楽がありました。ミンストレルの音楽です。

2020-08-29 02:16:07

【蛇足】
そういえば日本のファンタジーRPG「ロマンシングサガ」シリーズに「ミンストレルソング」ってありましたね。
https://www.jp.square-enix.com/game/detail/romasaga_ms/

Noz(のず) @rush_noz

私はミンストレルと言ってますが、別の言い方として吟遊詩人とか、ジョングルールとも言ったりするやつです。別の言い方というか近い存在というか。つまり「旅の芸人さん」ですね。

2020-08-29 02:18:04
Noz(のず) @rush_noz

以降は「ミンストレル」と統一します。(数冊いろいろ見て、参考にしている原著がミンストレルって書いてあんだもん)。知的で神秘的なお堅い教会音楽は確かに、旋法や、和声的な芸術的基礎を作った一方で、ミンストレルの音楽は、陽気で生活的で、活発な旋律やリズムを生みました。

2020-08-29 02:22:16
Noz(のず) @rush_noz

余談ですが、宗教音楽が全て、厳かなわけではなくて、キリストのカトリックが厳しかったのでしょう。日本だと、お経が当時の音楽として考えることができますが、時宗の踊念仏みたいなやつだったり、キリスト教でも黒人のプロテスタントの音楽とかは陽気なやつばっかりだったりします。

2020-08-29 02:27:03
Noz(のず) @rush_noz

ミンストレル自体の歴史的な背景を語ると、ローマの時代から、道化や芝居役者、放浪する音楽家、吟唱詩人などいろいろ。彼らはゴシップを流したり、歴史、物語、詩を朗唱したり、楽器を演奏したりしました。

2020-08-29 02:32:10
Noz(のず) @rush_noz

そういえばなんか、こういう中世の旅の芸人とかピエロとかっていうのは物知りなイメージがありますが(私だけかも)、その理由として、各地を転々としているからもありますが、その中に、放浪学生も含まれていたからだと思います。

2020-08-29 02:36:36
Noz(のず) @rush_noz

このような集団の一つにゴリアルドゥスとして知られますが、その音楽は、他のミンストレルと同様に、恋愛、風刺な内容の詩でした。

2020-08-29 02:38:43
Noz(のず) @rush_noz

この話はまずローマあたりの話になります。そしてフランスの話をするとフランスではそういう旅の音楽家のことを”ジョングルール”と言います。彼らは、旅をしながら、踊り、曲芸、歌、楽器演奏の芸をしていました。12世紀と13世紀あたりになります。

2020-08-29 02:42:45
Noz(のず) @rush_noz

ジョングルールの演目に、"シャンソン・ド・ジェスト"というものがあり、有名なのが「ロランの歌」です。

2020-08-29 02:45:47
Noz(のず) @rush_noz

ジョングルールは確か貧しい生活を送っていましたが、一方でフランスには貴族も世俗音楽をやっていました。トルバドゥールや、トルヴェールです。彼らは貴族でしたので、世俗的とはいえ、詩に関する技術は洗練されたものでした。

2020-08-29 02:49:52
Noz(のず) @rush_noz

トルバドゥールやトルヴェールの作品は数多く記録されており、結構あります。作品形式として主なものとして、”シャンソン・ド・ジェスト”、"ロンド”、”ヴェルレ”、”バラード”、”レ”、などがあります。“エスタンピ”はこの時期の舞踊形式で、ヴィエルやリコーダーで演奏されていました。

2020-08-29 02:54:23
Noz(のず) @rush_noz

ドイツにおいては、フランスに詩人音楽家に相当するのは、”ミンネジンガー”です。12世紀から14世紀に活躍していました。彼らもフランスの芸術に似ていて、恋愛や政治的だったりしていました。

2020-08-29 02:58:11
Noz(のず) @rush_noz

ドイツにおける彼らの音楽は、宗教的に近いものですが、それは、教会旋法や緩やかな2拍子のリズムに起因しています。ミンネジンガーの伝統は15世紀になると”マイスタージンガー”に引き継がれていきます。

2020-08-29 03:00:25
Noz(のず) @rush_noz

あ、恋愛を語ると言いましたが、当時の貴族って言えば、確か騎士道的な愛であったので、ちょっと現代とでは、ズレがあるかもしれません。現代の恋愛ってなんじゃ?ってなってますが。

2020-08-29 03:01:49
Noz(のず) @rush_noz

最後にイギリスのミンストレルについて語ります。重要な史実としてイギリスではノルマン・コンクエストがありました。たしかノルマン軍は楽団を連れて戦っていました。

2020-08-29 03:11:51

【参考】
ノルマン人の英征服を描く驚きの刺繍絵、バイユーのタペストリー

"1066年という年号は、何世代にもわたって英国の小学生の心にしっかりと刻み込まれ続けている。イングランド南東部のヘースティングズの戦いにおいて、現在のフランスにあったノルマンディー公国の君主ノルマンディー公ウィリアム(ギヨーム2世)がハロルド2世を打ち破り、この国の歴史に極めて重大な政治的・社会的変化をもたらした年だ。

 この「ノルマン征服(ノルマン・コンクエスト)」によって、フランス語を話す支配階級と大量の姓がイングランドに新たに持ち込まれ(ウォレン、ルイス、シンクレア、ボイル、チャーチルなど)、近代英語の種が植え付けられた。"

Noz(のず) @rush_noz

イギリスのミンストレルの中に、タイユフェールという名の人がいて、「ロランの歌」を歌いながら、戦闘に向かったと文献(詩)にあります。当時の文献をあたると、勇ましい音楽で兵士の士気を上げるのが、イギリスでのミンストレルの役割であったと考えられます。

2020-08-29 03:14:27
Noz(のず) @rush_noz

またノルマン人が移住の結果、大陸の多くの楽器がイギリスに伝わり、その一つにビュイジーヌ(中世のトランペット)は、侵略に使用され、たとえば、ヘイスティンティングの戦いの詩物語にはこの楽器の名前が出てきます。

2020-08-29 03:17:32

Buisine La Manfredina clip
https://youtu.be/Qblz6LFGayc

Noz(のず) @rush_noz

イギリスの音楽はしばらくフランスの影響を強く受けていました。フランスのミンストレルたちは、イギリスの貴族に雇われようと移住し、フランスの音楽、文学、海外も彼らによって伝えられました。しばらくイギリスではフランスブームでした。イギリスでしばらくフランス語がつかわれていたぐらいです。

2020-08-29 03:21:32