モーニン・グローリィ

習作しゅどきさもどき。 すいません。
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@blau_adde

今日もまた、憂鬱な朝が来る。朝日が、まだくる前の時間。私はそっと目を覚ます。そこに、かれがいる。 「やぁ、目が覚めたのかい」

2011-07-07 18:00:48
@blau_adde

うん。と私はいとけなくうなづく。くしゃくしゃの寝乱れ髪がかおにかかる。かれはすい、と髪のおおいを潜り抜けて、私の頬に手を伸ばす。ぬるいゼリーのような、触れているような触れられていないような、不安な感触。

2011-07-07 18:02:41
@blau_adde

「どうしよう。きょうもまた、ねむれそうにないの」 そういって駄々をこねる。意味がわからない。それでも私はかれにすがる。触れられているのか、いないのか、よくわからない彼にすがる。かれが纏う黒いシャツが、くしゃりと私の手の中で皺を強くした。

2011-07-07 18:04:48
@blau_adde

かれが、私を呼ぶ。その大きくはないけれど低く、深い声。安心する。不安になる。撫でる手は、縋る胸は、そこに、無い。わかっている。

2011-07-07 18:06:27
@blau_adde

「困った子だね。どうやらまた、今日もきみのそばを離れられそうにない」

2011-07-07 18:07:06
@blau_adde

かれが笑った気配がする。困ったように、苦笑する気配。だけどそれだけが確かで、そこにあって、私はだから、ゆっくりと笑った。寝起きのひどい顔。だけど昨夜のように泣き喚くよりは、ずっと、ずっと、良い。

2011-07-07 18:08:38
@blau_adde

「いいの。ずっと、そばにいて」

2011-07-07 18:09:08
@blau_adde

分不相応な願い事だ。わかっている。でもきっと、彼はかなえてくれる。できるかぎりのちからでもって。そこに、いないかれは、それでも私を支えてくれる。

2011-07-07 18:10:07
@blau_adde

カーテンをひくと、もう朝焼けがそこにあった。払暁、ということばをおもいだす。きょうがくる。夜明け、朝焼け、朝日がきょうを連れてくる。

2011-07-07 18:12:06
@blau_adde

だけど朝(あした)が来るころには、もうそこに、かれは、いない。

2011-07-07 18:12:46
@blau_adde

『モーニン・グローリィ』

2011-07-07 18:12:59