「社会学者が『銀英伝』を書き換えろと言っている」というデマに踊らされ総攻撃にかかる『銀英伝』ファンたち。

「事実」と「デマ」

　ある日のことである。いつものようにTwitterをぼーっと眺めていると、以下のようなツイートが流れてきた。

　何、それはひどい。そんなクズがいるのか！と一瞬で吹き上がるオレ様。しかし、ほんとうに実際にそのようなツイートはあったのだろうか？　わずかに残された理性で検索してみたところ、見つかった具体的なツイートはこれである。

　……あれ？　そこまでおかしいこと言ってなくてね？　少なくとも「書き換えろ」とか「作り直せ」とはまったく言っていないようなのですが……。ちょっと冷静になるオレ様。

　個人的に賛成はしないが、「ひとつの意見」としてなら、こう考える人がいてもおかしくないという程度のいたって穏当な意見なのではないか。

　しかし、このツイートを作品に改変を強いるものと解釈した人は多いようだ。そのなかで最も拡散したのは有名漫画家・平野耕太のこのツイートだろう。

　いや、だから、「変えろ」なんて言っていないんだって。たしかに、「変えざるを得ない」という表現はあいまいで解釈の余地があり、問題のある表現だと言えるだろう。その点は元ツイートの社会学者さんも反省している。

　しかし、「変えろって言いだ」したとか、「新版では書き換えろとか言っている」というのは、これは明白なデマである。

　たしかにこの社会学者氏は「変えたほうが良い」という意見を持っているようだが、「書き換えろ」とか「変えなければならない」という表現は一切使っていない。

　それどころか、そのような意見として受け取られることは明確に否定している。これはあきらかにデマによる個人攻撃事件と受け取るべきではないだろうか。

　実際、この後、この人には膨大な数の誤解にもとづく意見が飛んでいる。

誤解にもとづく批判

　いや、リメイクアニメ版『銀河英雄伝説』（いわゆる『ノイエ銀英伝』）の話だから「本」は関係ない。それに、アニメを作り直せと言っているわけでもない。

　あくまで今後、作られるアニメのその場面を原作及び旧アニメから多少修正した表現にしたほうが良いのではないか、という程度の話である。あきらかに何か誤解している。あるいは、デマを信じ込んでいる。

　だからそもそも原作やアニメを自分の好きなように、あるいは正しいと信じるように改変させろという話「ではない」のだって。

　どうやら『銀英伝』ファンには書いてもいないことを読み取る人が大勢いるようである。

　ちなみに、社会学者氏はこのように答えている。

　まったくだ。作品をこうしろとかああ変えろとクリエイターに迫るのはいかにも僭越だが、「こう変えたほうが良いのではないか」という意見を言うのは個人の自由な言論の範疇である。両者の区別がつかない人が多すぎるのではないか。

　しかし、この程度はまだ良い。この社会学者氏に対しては、リプライ及び引用リツイートの形で、膨大な誹謗中傷、罵詈雑言が飛んでいる。具体的な引用はしないが、ひどいものは本当にひどい。

社会学者が気に入らない？

　また、この件でひとつ面白いのは、「社会学者」という地位と関連付けて批判したりののしっている人が散見されることである。