2020年9月15日

140字小説

2020.5.29より毎日投稿してる140字小説のまとめです。
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月並海🐼おやすみ @badED_

気づいたのは初めてキスする時だった 目を閉じて唇をつけた時、恋人は石になった 愛する人を石にする魔法を持つと知った彼は解呪の術を探したが無駄だった 彼は極北の城に篭った、そこに醜悪な魔王が住んでると噂を流して いつか勇者が殺しに来てくれると祈って彼は今でも石化した自分を痛め続けている

2020-10-28 18:02:26
月並海🐼おやすみ @badED_

10歳になると自分の杖を持つのが通例だった でも杖の材料が何かなんて考えたこともなかった 誕生日の前日、明日は杖を選びに行こうと父に言われて楽しみすぎて夜も寝られなかった だから杖屋では目の前が真っ暗になった 大きな角を生やした牛の獣人たちが首に値札をかけられて店に並んでいたからである

2020-10-27 18:02:38
月並海🐼おやすみ @badED_

スーツが似合う人が好き 一生懸命になれる人って素敵 趣味は同じがいい 一緒にいて落ち着ける人がタイプ 身長は同じくらいでいいかな それ全部俺のことじゃない?と言うと、嬉々として飛び出していた彼女の言葉が詰まってしまった 一目惚れした瞳がこちらを真っ直ぐに見つめている 2人の声が重なった

2020-10-26 18:00:35
月並海🐼おやすみ @badED_

とある事件に刑事は頭を悩ませていた 事件の内容は連続殺人事件、あまりに残忍な殺し方に容疑者は精神鑑定にかけられた 検査結果は精神に異常有 「プログラムは正常なくせにかあ?」 取り調べ室で容疑者に問う 「そうですね、私達にも精神はありますから」 目の前のアンドロイドはお綺麗な笑顔で宣った

2020-10-25 18:00:20
月並海🐼おやすみ @badED_

「地下牢を覗いたな?」 暫く姿を見ないと思った甥っ子が傷だらけで帰ってきた、信じられないものを見たという顔が全てを物語っている 「なんだよあれ…地球じゃない?亜人も化物も全部空想の産物じゃないのか…」 地下牢はダンジョンだから注意しろと言ったのに 言うだろう?事実は小説より奇なりって

2020-10-24 18:02:23
月並海🐼おやすみ @badED_

もう行かないと思っていた 年齢的に厳しいし金銭的にもきつい 好きだった雰囲気と正直変わった部分も多くてこれが最後だと思ってる 最後の開演のブザーが鳴った 終演後、泣き腫らした顔で私は事後通販のグッズを全て買い込みSNSに投稿した 「最高過ぎた……!!一生応援する!生きてて良かった!!!」

2020-10-23 18:01:26
月並海🐼おやすみ @badED_

「これ恋心を忘れる薬なんだって」 液体入りの小瓶を手渡された 「なんで?」 「だっていつも好きになる前に戻りたいって言うから」 確かに恋愛相談する時は決まって言っていた だけどある種のアピールだったのだ 小瓶を一思いに呷る 「俺があんたを忘れて良いってことね?」 彼女の目に驚きが浮かんだ

2020-10-22 18:01:53
月並海🐼おやすみ @badED_

宇宙に昼夜はないが昔の名残で不寝番がある 機関室で船長に問いかけた 「私達の探し物は本当にまだ存在しているのでしょうか」 船長は珈琲を飲みながら言う 「さあね、どこかにいると信じているから僕らはずっと信号を発信し続けるけれど」 宇宙船の乗員全100名 それが我々の知りうる残りの人類である

2020-10-21 18:02:00
月並海🐼おやすみ @badED_

「この前のお返しだってさ」 「サンクス、ところでみかんの白い筋食べる派?」 「歯に詰まるから食べないかな」 「なるほど、アルベドって言って健康にいいらしいで」 「でもきもいし、ヘタから剥くと綺麗に筋とれるからやってみ」 「みかんはアルベド込みの食べ物やん!…あ」 しりとりは僕の勝ち!! twitter.com/hamapito1/stat…

2020-10-20 18:06:54
月並海🐼おやすみ @badED_

「僕らみたいな心を読める種族が恋をしないのは至極当然なんだ、恋は猛毒だからね、力が逆流して想っている人に僕らの考えが筒抜けになっちゃうんだ」 そう言ってハハっと笑う彼は人間で言えば思春期にあたる頃なのに、恋を知らないという あの甘やかで蕩けるような思慕の感情を私が彼に教えてあげたい

2020-10-20 18:01:21
月並海🐼おやすみ @badED_

訪れたのは文字送りの祭だった なんでも願い事や決意を書いた手紙を祭りの最後に燃やすことで天の神様に届ける行事らしい 夜になり祭会場の中央で炎が上がる、僕も秋色の便箋に願い事を書いた 炎に投げた手紙は見る見るうちに燃えた 立ち上る煙が天の川に吸い込まれていく様子をずっと眺めていたかった twitter.com/hamapito1/stat…

2020-10-20 17:02:43
月並海🐼おやすみ @badED_

覚えのない小包が届いた 開けてみればYSLのリップと香水、それに結婚式の招待状だった 彼女とは学生の時にほんの一瞬だけ恋人関係だった、儚い恋だったけれど私は本気で彼女を愛していた そんな私に彼女はこれで着飾って結婚式に来いと言う 2人してこのリップに憧れた頃の彼女の顔が鮮明に頭に浮かんだ twitter.com/badED_/status/…

2020-10-19 18:01:32
月並海🐼おやすみ @badED_

「なぜ猫は死際に飼い主の前から消えるの?」 猫の神様に問うと私は夜の森へ案内された 森を進むと唐突に止められる 「死際の猫達はここに集まる、来世も猫に生まれ変われるように、飼い主に出逢えるように祈りながら魂を還すの」 多くの猫が薄い灯りを放つ湖へと身を投げていく様子は儚く幻想的だった

2020-10-18 18:01:01
月並海🐼おやすみ @badED_

両手に溢れたキラキラを残らず拾って粉砕機へ、そこから更にすりこぎで丁寧に粉にしてゆきます 次はシャベルに乗せて窯へ、煌めく粉はパチパチと音をたてながら跡形もなくなりました これで幸福のお葬式はお仕舞いです ああどうして 私の幸いとあの人の幸いはイコールで結ばれてくれないのでしょうか

2020-10-17 18:01:13
月並海🐼おやすみ @badED_

「それ何の役に立つの?」 それが彼の口癖だった、私はいつもそれを「役に立たないことなんてないんだよ」と言って嗜めていた だけどもう限界だ、浮気も不倫もした彼に記入済みの離婚届を突きつけると「待ってくれ、考え直してくれ」と泣きついてきた だから言ってやったのだ 「それ何の役に立つの?」

2020-10-16 18:01:05
月並海🐼おやすみ @badED_

翼を持つ男の子が街中で困っていた 群れにおいて行かれたらしい 希少な種族の子が街中に1人でいるのは危ないからと冬の間一緒に暮らした 春になってまた群れが街に来る頃だ 別れを告げようとすると彼は包丁で翼を掻き切った 「ちょっと!群れに帰れなくなるわよ!」 「いいよ、僕は貴方といたい…!」

2020-10-15 18:01:37
月並海🐼おやすみ @badED_

煉瓦造りの家やビル群の残骸がひしめくうち捨てられた土地に僕は捨てられていた 人はなくロボットの僕が一ついるだけのこの寒い土地を離れたいと思った 見上げれば見えるのは南の空を指し示すフォーマルハウトだけ 時間だけは飽きるほどある さあ眠ることのできない僕が夢にまで見た南の島を目指そうか

2020-10-14 18:01:12
月並海🐼おやすみ @badED_

呼吸が思うようにできない、口からは血が溢れ足元の絨毯を赤く染める 目の前には10年間危険な暗殺業の中で背中を預けあった相棒が見たこともない妖艶な笑みを浮かべて立っている 「毒、か…う、そだろ」 「嘘じゃないわよ、私のダリアって偽名で気付かなきゃあ、プロ失格」 こめかみに銃口が当てられた

2020-10-13 18:00:35
月並海🐼おやすみ @badED_

「“月見”をしよう」 と言われ見様見真似で薄とお団子と栗を並べてみた 「これでどうするの?」 「月を眺めて楽しむのさ」 彼は気分良く盃に空にしピラミッドになったお団子の1番上を食べた 雰囲気が欲しかったのだろう 彼は懐古主義者だ 月に暮らす僕らが月見で愛でるのは40万km離れた青い星なのだから

2020-10-12 21:08:21
月並海🐼おやすみ @badED_

女心も秋空よりは変わらないだろうと思う 夜まで残業してバス停に向かう途中で雨に降られ会社に逆戻り、最悪だ びしょ濡れの靴下を脱いでいたら 「靴脱いじゃってシンデレラみたいですね」 いけすかない後輩の声がして思わず睨みつける 「僕、車通勤ですけど」 12時になる前に彼と別れられるだろうか?

2020-10-12 18:00:23
月並海🐼おやすみ @badED_

「冷蔵庫を見に行こう」 彼に誘われて予定もなかったし行くことにした家電量販店 一人暮らし用からファミリーサイズまで一通り物色した後に疑問を投げかける 「なんで誘ったの?」 「だってゆくゆくは君も使うでしょ」 それはプロポーズととってよろしくって? 顔が熱くてこっそり見た彼の耳も赤かった

2020-10-11 18:00:50
月並海🐼おやすみ @badED_

「どうして、貴方は」 楽しみしていたデート 彼女もそう言っていたのに会って数秒絶句した後の言葉がこれだ わなわなと震える彼女に訳を聞く 「え、俺なんかした?」 「どうして、貴方はそんなにセンスがないのーーー!!」 寒くなってきたし赤いセーターに緑のチェックのパンツはだめだっただろうか?

2020-10-11 17:34:58
月並海🐼おやすみ @badED_

大学の卒業式、唯一の友人に別れを告げる、古文を学ぶゼミの唯一の同期だった 「さらば、とて」 「またいつか会うのが運命というものだろう?」 無神論者がよく言ったものだ しかし彼のいうことは不思議と実現する予感が満ちているのも事実だ 「じゃあ、またいつか」 悲しみはない、また会えるのだから

2020-10-11 17:34:50
月並海🐼おやすみ @badED_

「これが噂の地獄か」 たどり着いた不毛の土地、枯れた草木は僕らの背丈を越えず生き物の声はしない、およそ清水は見当たらず水分らしきものは泥沼の他なく、鬱屈とした空が広がる それでもここを目指してきた 「ここで僕らの星を作り上げよう」 地獄と呼ばれるこの極地の惑星で人間の星を作りたいのだ

2020-10-11 17:34:37
月並海🐼おやすみ @badED_

明日提出のレポートが終わらないから泊まらせて!と懇願するから仕方なく友人を泊めることにした、そろそろ終わる頃かと様子を見に行けば窓を開けて外を眺めている 「終わったんかね?」 「窓際で色なき風にまどろんで開いたレポート序章のまま 」 つまり提出する気はないと? 「大丈夫あと5時間ある」

2020-10-11 17:34:26
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