演劇界の鬼才だと思われたくて常軌を逸したトガリ方をしていたら仲間全員に逃げられ、仕方なく1人で挑んだ公演で火災を起こして文字通り炎上した人 #激レアさん

実力派のお笑いコンビ、ゾフィーのウエダさんはお笑い芸人になる前は劇団を立ち上げ脚本・演出をしていた。人と違うことをしたいという思いが強いあまり、基本的に役者は白塗りでセリフはゼロ。劇の演出として生きたイカを大量放出したり、鹿の剥製からワインを出すということをしていた。とにかく天才だと思われたいという意識が強く雰囲気で感動してもらいたいと思っていた。

そもそもウエダさんがトガリ始めたきっかけは偉大な父からの教え。お父さんは元慶応高校野球部の監督で、玄関に「腕立て100回、腹筋100回、足上げ腹筋100回」という貼り紙があり、これをこなさないと家に入れないという厳しい家庭環境だった。お父さんからは「とにかく人と違うことをしなさい。そして俺が興奮するような生き方をしなさい」「良い大学→良い会社→幸せな家庭という人生は興奮しないからダメ。サラリーマンになったらぶん殴る」と言われ、お父さんを興奮させなきゃいけないという宿命を背負っていた。

大学に入り、演劇サークルの門を叩いたウエダさんは唯一無二の演出家になると決意。トガリまくった青春時代が幕を開ける。とにかく人と違うようにと髪型は赤モヒカンで青いカラコンを入れスカジャンにジーパンに下駄という格好をしていた。するとサークル内で「あの人は本物の天才かも」と実際の中身とは裏腹にカリスマ的立場に躍り出て完全に天狗状態となっていた。その勢いで自分の劇団「ザ・カルチャーズ」を創設。しかしウエダさんの手がける演劇は舞台上でただただエアコンからゼリーを吐き出させたり、街で適当に声をかけたおばさんをいきなり舞台に立たせたり、鬼才ぶった意味不明なものばかり。劇団員も不信感を抱き始める。