【天使たちの秋】福間健二 #k2fact270

福間健二 @acasaazul

雨に濡れ、服全部脱いで頭と体をタオルで拭き、ついでに踏みはずした夏をどうしたのかな。雨はあがったけど、ちゃんと晴れない体の、もう子どもじゃないトルくん。冷えている。ふるえながら大きな樹にしがみついていたかと思うと看護師さんに抱きついて言う。あっためて。（天使たちの秋１）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

怖いこと。おこらないようにと願うだけだが、川のほとり。再現を気づかせない植物への叱り方なんて、だれにもわかるはずはなくて。死にたくないよと言う。その声は、すぐに膝をつきたがる人に悪を楽しませない。戻るべき円のなかの労働。中指と薬指を上手に使うんだね。（天使たちの秋２）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

きょうも何もしていない。現れたり消えたりする道に何もしないのが使命だと主張したいときがある。清らかで、瞬きできない目。わかるけど、そんな顔をすると円より冷たいのが長方形。急ピッチで作業が進む。中に入っているのはどういうスポンジですか。台所で使うやつ。（天使たちの秋３）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

円や長方形に達しない場合も。男女で太陽の光と月の光くらいにちがう条件の労働だとね。ほとんどの病気はぶりかえすが、夏はいつか終わる。きみでなくてはなのか、きみに似たものならいいのか。手をつかまれ、このオオカミにだまされたと言われる。いろいろ経験したのだ。（天使たちの秋４）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

愛を感じたり、欲望をおぼえたり、噛みつかれた痕を懐かしがったり、小声でブルース。議論じゃなくってさ。いつからダメになったのでもいいから地球の道端の、安心させたい子どもたちのこと。紙に書いて渡されるわけではない。トルくん、真剣な顔。だれにでも使命はある。（天使たちの秋５）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

やっているのだ。きのうの語り手たち。もうやらない、とふしぎなものなにも飛ばない夜空に宣言したこと。もうそこで泣いているきみ。責任はとってくれないよ。甘えるな、若い画家をよろこばせるな、の東京だって。ウソの「はい。」が追いかけっこするフーガの背景だって。（天使たちの秋６）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

見つけるのがどんなに困難でも見つけてしまうと存在するのが当たり前という顔。どっちが。どっちも、だ。タバコの吸える場所Ｂ。いつ行っても同じ女性がくわえタバコで電話している。その足もと、タバコを吸うのがうれしい消費の一番だった真夜中のパーティーの跡。（天使たちの秋７）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

いつも彼女は、電話の相手に自分じゃないだれかに会ってくれと頼んでいるみたいだ。そしてぼくは、人と会う約束していたのを忘れている。あわてて歩いていくと会うはずだった人がむこうからやってくる。挿し木したいネコヤナギの枝をもって。旭通り、だれも怒っていない。（天使たちの秋８）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

通りを行く人たち。虫とか魚とか果物とか、秋になると出てくるもの楽しむ余裕がなくても、秋。手順、体でわかるのか。心が先か。いつか殊勝に宣言したこと思い出しながら、交流会館ではいつのまにか大きくなった天使の役。好きな人をチラッと見る。そのうち見つめている。（天使たちの秋９）#k2fact270

福間健二 @acasaazul

声は変わらないトルくん。でも、おとなだ。飲もう、と言う。まだ午前中。やっている店あるかな。大丈夫、天国の下町にあるような場所がカラス鳴くこの郊外にもある。タバコ吸えるし、同質、異質、どちらの仲間の声も。帰りたくない。すてられない雑誌がたまる部屋には。（天使たちの秋10）#k2fact270