『文壇あねもねキャバクラ物語』

柚木麻子さん(@yuzukiasako)によるあねもね物語キャバクラ編です。黒服の柚木がイケメンすぎる!抱いて!
文芸あねもね
maru_ayase 1790view 0コメント
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  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:10:46
    柚木麻子作「文壇キャバクラあねもね物語」…俺はさるメーカーの営業部長(55)。会社の収益は激減、冷えきった夫婦生活。なにより今の日本を覆う閉塞感と先の見えない不安に、俺の心は折れる寸前だった。もう久しくうまい酒なんて飲んでない。そんなある日だった。歌舞伎町でアイツに再会したのは。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:15:47
    「旦那、お久しぶりですね」抜け目なさそうな顔に見覚えがあった。「柚木!? 伝説の銀座の黒服と呼ばれたお前が、歌舞伎町で一体何を!?」景気の良かったころ、毎晩のように飲み歩いていた銀座の思い出が蘇る。柚木の仕切っていたいくつかの「文壇バー」。読書好きの俺にとっては憧れの店だった。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:21:16
    「ははは…。もう銀座に執着する時代でもないでしょう。今はこんな商売を始めましてね」柚木がスーツのポケットから差し出した名刺に俺は釘付けになった。「文壇キャバクラあねもね」!?「今や、文壇は手の届く場所にあるべきなんですよ。本は電子書籍でも読める。作家とはツイッターで直に話せる」
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:26:41
    「お高くとまったクラブで、さも高尚そうに文学の話をする時代は終わりましたよ。時間があるならどうです? いい子揃えてますよ。うちはR−18…おっと良い子は見ちゃ駄目な大人なサービスが売りでずぜ」相変わらず口八丁手八丁な柚木がもはやまぶしかった。柚木に誘われ、俺は店に足を踏み入れた。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:31:47
    「いらっしゃーい。暑かったでしょ。ささ、中へどうぞ」艶っぽく微笑んだ着物姿の女に俺は危うく恋に落ちそうになる。「ママのあや子です。こう見えてざっくばらんな性格なのよ。くつろいでいって下さいね」外見と裏腹の気さくな態度に、一気にくつろいだ。ソファ席に通されると…
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:35:13
    「あらあら、いいスーツね。これ、オーダーメード?」鮮やかなドレスにトップを膨らませた七十年代風の髪型のスタイリッシュな女が、オレの背広を脱がせた。「ごめんなさいね。服というとつい気になっちゃって。私はチーママのトリコよ」若いホステスが作ってくれた水割りの美味しさに 目を見張る。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:40:00
    「新人のまるです。よろしくお願いします。まだまだ不慣れでお恥ずかしいんですけど」はにかんで微笑んだ若いホステスの清純さに、心が洗われるようだ。「水割りもいいですが、当店のおすすめは特製カクテルなんですよ」カウンターの奥から黒猫のような印象のミステリアスな女がにこりともせず言った。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:51:49
    「ばばあのば……じゃなくてバーテンダーの綾子です。おすすめはウォッカベースの『夜を駆けるバージン』ですが『憧憬☆カトマンズ』もさわやかなライム味で梅雨あけにぴったりです」「この『少女病』っていうのは?」「キルシュベースの甘さが人気ですが申し訳ありません。8月16日からなんですよ」
  • @yuzukiasako 2011-07-10 12:55:42
    綾子がシェ–カーを上下する小気味良い音を楽しんでいると、トリコがすらりとしたホステスを連れて来た。「当店NO.1のミホちゃんですよ〜」ホステスとは思えないピュアな少女に、俺の胸は高鳴る。思わず「可愛い…」とつぶやいたら彼女は真っ赤になって下を向いた。「私は底辺女子高生なんで」
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:03:04
    「ヘルプの拓(ひらく)です」ぱっちりとした瞳の女が隣に腰かけた。「拓ちゃんはこうみえて人妻でお子さんがいるのよ」とあや子。「へえ、見えないなあ。こんなに可愛い奥さんだと旦那さんは心配だね」「うふ。『ボート』っていうカクテルをおすすめしますわ」拓はぞくりとする流し目を送ってきた。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:07:43
    煙草を取り出すと、すかさずライターを差し出したのは、神秘的な印象の美人。「亜紗子です。源氏名は。でも、あなたには『かれん』って呼んで欲しいの」「どうして」「今日だけは自分じゃなくなりたいの」かなり特異な接客法に心がつかまれた。ミホは俺の煙草を見て「火が見える」とつぶやいている。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:16:20
    突然店内は八十年代風ディスコ音楽と色とりどりのライトでいっぱいになる。「さあ皆さん、お待ちね、あねもね名物パーリータイム!当店のダンスクイーン山内マリコが踊ります!」ステージ上にはマイクを握った柚木が立っていた。「フウーッ、フウー!」黒いチュチュ姿の美女が舞台袖から飛び出してくる
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:22:26
    「イエー!イエー!」日本人離れした弾けたノリに俺の心のもやもやは一瞬で晴れていく。マリコは勢いに乗って「ブラックスワン」の黒鳥ダンスをカクカクと踊り出した。キャバ嬢とは思えない捨て身のギャグに俺は涙が出るまで笑い転げた。隣のテーブルで上品な女性がボトルを入れているのが見えた。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:25:39
    「俺もボトル入れようかな」何だか威勢のいい気持ちになって、そう言うとあや子ママがこちらの手を握りしめてきた。「お気持ちは嬉しいわ。でも、ボトルなんていいの。あちらのテーブルの山本文緒さんはここのオーナーだから真似することなんてないの。だけど、どうしてもって言うんなら…」
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:42:35
    「380円のこちらを購入していただきたいわ」→http://t.co/TIMCeqw 「チャリティか……。偉いな」俺は思わず自分を振り返った。憂うばかりで少しも行動にうつしていない。「偉くないわ。基本はキャバ嬢。楽しんでいただくのがお仕事よ。私達やれることしかやらないの」とミホ。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:44:39
    「俺は確かに古い価値観にこだわり過ぎていたのかも……」「電子書籍っていっても簡単よ。パブー(http://t.co/AhmmOst)にて販売だけど、特殊なソフト等は必要ないの。パソコンのブラウザやPDF形式で読むことができるわ。もちろん、iPadやiPhoneでも」とトリコ。
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:52:42
    「発売日の7月15日にまた来てくれる?」「大サービスよ。原稿用紙580枚分だもの」女達に取り囲まれ頭がぼうっとしてくる。ミホが潤んだ目でこちらを見上げてきた。「私なんて164枚も書いたんだから」アンソロジーなのに!?胸がきゅんとする。俺はミホにとりこになるのを感じた。「買った!」
  • @yuzukiasako 2011-07-10 13:59:50
    ネオンに消える男の後ろ姿を見つめ、柚木は煙草の煙を吐き出した。「さすがミホさんっすね。ありゃいい太客(ふときゃく)になりますよ」あや子は肩をすくめた。「山の上ホテルの時みたいな面倒はご免よ」「やっと見つけた私にふさわしい店ですからね、ヘマはしませんよ」柚木はにやりと笑った。(了)
  • @yuzukiasako 2011-07-10 14:19:48
    以上柚木麻子のおはなしツイートでした。発売日まであと5日!「文壇キャバクラあねもね」是非おこし下さいませ!歌舞伎町きっての低価格、寄りすぐりの十名の女の子と美味しい作品、そして何より伝説の黒服柚木のキレ味抜群の接客を楽しみにきてください!http://t.co/TIMCeqw

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