映画や漫画でお馴染みな「師匠キャラ」の"ルーツ"はどこにあるのだろうか?

『ドラゴンボールファイターズ』に亀仙人の参戦を知ったその日に、TVでやっていた『ベスト・キッド』を久々に観て思い付いたまとめです。 師匠キャラってなんかいっぱいいるんですね。
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惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

様々な作品に多種多様な姿で登場する存在「師匠キャラ」 主人公の力量を"修行"により底上げし、人格形成にも大きな影響を与えるキャラクター描写の人気は昔から根強いものである。 少年誌ではお馴染みになった"師匠"という役割がいつ頃の時代から根付き、ルーツは何処から来たのかを探索してみよう。 pic.twitter.com/VlnQywjImw

2020-09-24 21:06:04
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「師匠」という存在は主役に相当するキャラクターにとっての"導き手"だ。 徳と経験を積んだ人生の大先輩であり、弟子からすれば良き見本として描かれる事も多い。 「師匠と弟子」という上下の関係性を主題にした人間ドラマを一般的に数多く普及させたのは、香港のカンフー映画のジャンルからになる。

2020-09-24 21:49:57
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だが、歴史を辿ればカンフー映画より前にも師匠と弟子のドラマというものは存在していた。 黒澤明が初監督した『姿三四郎』は富田常雄の小説を映画化した作品であり、映像メディアの師匠キャラでは最も早い先駆者が本作に登場する それが戦前のスター大河内傳次郎が演じた、柔道家の矢野正五郎である pic.twitter.com/NIrTHAEQVK

2020-09-24 22:10:23
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物語の冒頭、敵方の柔道家達を1人で倒した矢野の実力に感銘を受けた三四郎は、直ぐ様弟子入りし武道の腕を磨く。 思いのままに力を振るう三四郎を見て「人間の道というものを分かっていない」と一喝する矢野の姿は、技だけでなく"道徳規範"を教えるオーソドックスな師匠像を早い段階で築き上げていた。 pic.twitter.com/vFTG6RXgTb

2020-09-25 01:19:27
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同じく黒澤明の代表作となった時代劇『七人の侍』で志村喬が演じた主要キャラクター、島田勘兵衛は数々の戦場を戦い抜いた経験豊富な兵法者として登場した。 腰を落とし抜刀したまま真顔で素早く駆ける姿や、弓術では口割りという熟練者のフォームで"歴戦の強者"だという設定を黒澤拘りの絵面で見せる pic.twitter.com/Ct5gIAUVX3

2020-09-25 02:57:44
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侍勢の中では一、二を争う程に強者な勘兵衛だが、普段は飄々とした物腰と語り口が特徴だ。 "見栄"というものを持ち合わせない其の姿勢は、若年である勝四郎にとって最も"師匠"と呼ぶべき存在となる。 この勘兵衛の達観したキャラクター造型は、後の様々な作品の師匠キャラ達に多くの影響を与えた。 pic.twitter.com/GnnSSSmUlV

2020-09-25 03:38:15
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時代劇の主人公は剣術の使い手である場合が多いが、その師匠が登場する作品はあまり数がない シリーズ3作目の『新・座頭市物語』には、市の居合いの師匠が登場し其の再会から師匠と弟子の確執が生まれ、最後には対立という構図に至る 師匠の伴野弥十郎は、人徳者とは言い難い激しい情念を抱えた人物だ pic.twitter.com/UYp0WEDMD2

2020-09-25 20:49:06
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私利私欲と逆恨みの為に弥十郎は、弟子に教え込んだ居合いの技で自ら市に勝負を仕掛ける。 死合いの果てに市は唯一の剣の師をその手に掛ける事になるのだが、この「師匠殺し」というシビアな結末による死生観のドラマは、他にも幾つか類似例がある。 pic.twitter.com/ASnTpmpFg2

2020-09-25 23:46:50
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師匠と弟子の対決を描いた傑作映画では、ジュリアーノ・ジェンマ主演のマカロニ・ウエスタン『怒りの荒野』がある ジェンマ演じる若きスコットに、ガンマンとしての心得を教える熟練者のタルビーは、師匠と"悪役"という二つの面を持つ 演じたリー・ヴァン・クリーフの存在感が、他のどの役よりも光る pic.twitter.com/ttHWR6Ugdq

2020-09-26 00:53:04
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自らの利益の為にスコットを利用したとも思えるタルビーの行動だが、その内面性はなかなか複雑だ 袂を分かった弟子との決闘で深手を負ったタルビーは自らが教えた十戒の1つ「傷を負わせたら殺せ」をその身で味わう事になる 無情感が漂う様でいて"弟子が師を超える"という展開が熱くもあったパターンだ pic.twitter.com/LNeLGWEk5y

2020-09-26 03:36:09
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70年代になると師弟のドラマは、カンフー映画で新たに増える事になる。 中国は古来から師弟関係のシステムを厳密に定めており、その手の道の元祖と云える国だ。 弟子が師事する為の入門の儀式に「拝師」というものがあり、その儀を経た者だけが自らの師を"師父"と呼び、擬似的な親子関係を築けるのだ。 pic.twitter.com/uR0qwCbJ62

2020-09-26 12:42:25
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カンフー映画の原点を辿れば、それは武侠小説になる。 ジャンルの大家である"金庸"の作品からも多くの武術家達の師匠が登場した。 小説『笑傲江湖』に登場する東方不敗は悪役だが、『機動武闘伝Gガンダム』の師匠マスター・アジアに影響を与えた存在だ。 映画版では性別を超越した麗人として描かれる。 pic.twitter.com/AcGmkDRZUW

2020-09-26 17:31:55
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カンフー映画ブームの火付け役と云えば、まずブルース・リーだ。 武術家である葉問に師事して詠春拳を学んだ経歴が有名だが、現実のエピソードとは違いリーの作品には師父との交流の描写は殆ど無い。 最初から強いままで登場するブルース・リーという"キャラクター"には、師匠キャラを必要としないのだ pic.twitter.com/hcDETjHpVY

2020-09-26 19:58:46
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ブルース・リーより少し前にはジミー・ウォングの武侠映画『片腕必殺剣』と『吼えろ!ドラゴン起て!ジャガー』があり、どちらも初めに師匠が登場するが、主人公とのドラマは簡素な物だ。 基本、敗北を喫した主人公達は自力で強くなる。 『片腕ドラゴン』では、自主トレ演出の過剰さにより磨きがかかる。 pic.twitter.com/wzwQNvUNMT

2020-09-27 01:48:08
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カンフー映画史で"師匠キャラ"の存在を決定付けたのは、70年代後半のジャッキー・チェンの映画からだ それまでの設定だけの存在とは違い、"鍛え導く者"としての役割を明確化にしたのが画期的であった その中で『少林寺木人拳』に登場したファユーは、最初に主人公とのドラマを印象深く遺した師匠である pic.twitter.com/BvkRo9wPBG

2020-09-27 02:29:08
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主人公ユンは少林寺の地下に幽閉された謎の男と出会い、交流の末に打ち解けて武術を習う。 脱走した男と再会したユンだが、男は気に入らない人間を手に掛ける極悪人であり、謎の男の正体はかつてユンの父親を殺めた仇でもあったのだ。 一時の師であったファユーとの、愛憎入り雑じる対決が見物である。 pic.twitter.com/3r4ZRghEv2

2020-09-27 03:52:32
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「例え一日でも、あなたは私の師匠です。どうか罪を償ってください そうすれば私も過去は忘れます」 「それは出来ん。これは悪行の報いだ、お前のような弟子を持てた事を誇りに思う。大きくなれよ」 この会話の後にファユーは命を落とす。 其が騙し討ちの際の悪足掻きか、自決なのかは分からぬままだ pic.twitter.com/pQL3kX3Jt3

2020-09-27 04:16:51
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初期の暗い作風からコミカル路線へ変わり、その中でも爆発的な人気のキッカケとなったのが1978年公開の『ドランクモンキー 酔拳』だ ユエン・シャオティエン演じる師父スーの全く強そうに見えない風貌は、今までの師匠キャラ造型には無い最も画期的な物だった この斬新さが、後に様々な派生作品を生む pic.twitter.com/9zOTcpBCRX

2020-09-27 06:32:33
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スーの魅力は大酒飲みの自堕落な人物の様に見えて、実はちゃんとした賢人であるというギャップの絶妙さにある。 マンツーマンでの厳しい修行を経て生まれるのは、紛れもない師匠と弟子の"絆"だ。 互いにちょっと抜けている、似た者同士な師弟コンビのイメージは、作品自体の"顔"ともなった。 pic.twitter.com/1yMCRr764m

2020-09-27 07:07:40
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『酔拳』よりも先に公開された姉妹作『スネーキーモンキー 蛇拳』は、キャストとその役割が殆ど同じなプロト作の様な映画だ。 主人公ガンフーが師匠のパイによる修行で強くなるという基本的な展開は同じだが、特色なのは『酔拳』と違い2人の交流は、純粋な"友情"から始まるという事だ。 pic.twitter.com/IN6uOBcWoP

2020-09-27 20:20:53
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物語の中盤、日々苛めを受けているガンフーの環境を見かねたパイは、3つの約束を守る条件を出して武術を教える事を提案する。 1.友達である自分を、師匠と呼んではいけない 2.やむを得ない場合以外に武術を使わない 3.自分が誰かと闘う姿を見ても絶対に助けてはいけない というのが誓いの内容だ。 pic.twitter.com/p6cxQaGhhU

2020-09-27 20:58:35
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そして物語の終盤で刺客に襲われているパイを発見したガンフーは、迷わず「師匠ッ!」と呼び窮地を救う。 あっという間に誓いを2つも破るシチュエーションと場面が感動的だ。 刺客を倒し2人で和やかに並んで帰る姿には、何とも言えない情緒感がある。 『酔拳』以上に師弟の心の繋がりを見せた作品だ。 pic.twitter.com/m80uPz6fdM

2020-09-27 21:38:31
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ユエン・シャオティエンが『蛇拳』や『酔拳』で演じた、"一見強そうには見えない武術の達人"というコンセプトは、多くの類似例を生み出した。 サモ・ハン主演の『燃えよデブゴン7』や、ドニー・イェン初主演作『ドラゴン酔太極拳』と、ちょっと思い出すだけでも枚挙に暇がない。 pic.twitter.com/DQPNWvr8Sj

2020-09-28 02:48:54
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数多あるカンフー映画では、師匠を殺された主人公が仇討ちをするという展開も定番だ その中でも変わり種なのが『カンフー仁義 復讐の刃』という映画 師匠が3人いるという珍しさがあり、刺客によって殺された師匠達から学んだ功夫を組合せて仇を倒す "複数人の師匠"というのは少年漫画にも通じる設定だ pic.twitter.com/cXWTeUq8w3

2020-09-28 02:49:27
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師匠と弟子の対決を描いた映画では『激突!キング・オブ・カンフー /霍元甲』が隠れた傑作として知られている。 倉田保昭が演じたコウは、主人公の家庭教師をする傍らに武術を教えた恩師だが、その正体は中国武術を盗み見に来た日本軍のスパイ山口江十郎である。 打算はあれど、2人の"師弟の絆"は強い。 pic.twitter.com/YOweU6LJER

2020-09-28 04:03:47
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