サマーメモリーズ

サマーメモリーズ…あのセミの鳴き声、まぶしい照り返し、そしてそこで生きていた人々の声と表情…今も忘れられない。だから少しずつここに書くことに決めた。本当に一つ二つずつだし、いつまで続けられるかわからない。だからあまり期待しないでね。では始めよう 九条一馬 / kazuma_kujo 追加は誰でもOKにしてあるので気づいた時にでも。(kina)
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九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ12/29前回まで2】陥没地帯の先に進むため、高校教師である女性に協力してもらうことに。しかし彼女は体調を崩してしまったため、商社で休んでもらい、僕は一人で街へ出た。外でさらに二人の協力者を得て、商社に戻ると休んでいるはずの先生の姿はなかった。 #zzsm

2011-12-30 03:04:52
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ12/29前回まで3】僕はいなくなった先生を探すことにした。同行してもらっている二人には外で待ってもらい、一人でアパレルビルに入った。周辺でこの建物だけはいまだ入ったことがなかったからだ。彼女がいるとすればここだと思った。 #zzsm

2011-12-30 03:06:00
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ583】僕は埃の中で転びそうになったところを、派手な服の女性に手を強く引っ張ってもらい、なんとか持ちこたえようとしている。しかし、彼女と比べると僕の方が断然体重が重いから、彼女の力だけで僕が倒れるのを防ぐことは難しい。「きゃっ!」 #zzsm

2011-12-30 03:07:18
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ584】「きゃっ!」埃の中から彼女の短い声が聞こえる。前のめりになる僕に引っ張られて彼女も体勢を崩しかけているようだった。僕は固いものに乗っている左側の足の膝を柔軟に曲げながら、何かに引っかかった右足をさらに後ろに跳ね上げて、転ぶのを防ごうとした。 #zzsm

2011-12-30 03:08:12
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ585】背後で何かが連続的に割れる音がしている。転びそうなのを踏ん張っている僕には振り向く余裕はないが、察しはつく。天井が崩れているのだろう。今にも床に叩きつけられそうなのを下半身の粘りとスピードでどうにか持ちこたえる。 #zzsm

2011-12-30 03:09:12
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ586】スピードが落ちたら倒れてしまいそうだ。 引っかかっている右足が抜けた!太ももに可能な限り力を入れて、一度は後方へと投げ出した右足を今度は思いっきり前と伸ばす。そうして重心を極端に沈めたまま交互に足を繰り出していった。 #zzsm

2011-12-30 03:10:20
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ587】何とか転ぶのを回避できた!充満する埃の中を、背後で崩れてくる天井から逃れ、僕たちは固く手をつないだまま、どうにか出入り口のある場所まで到達した。突然埃の壁が晴れ、外の様子が見えた。 #zzsm

2011-12-30 03:11:31
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ12/30前回まで1】就活中の僕は面接を受けるためこの街に。目的地に到着直前、巨大地震が発生。その後も断続的に起きる地震から何とか逃れながら、家に帰るため最初の交差点から離れ東へ向かう。しかし道路が陥没している所に差し掛かり、それ以上進めなくなる。 #zzsm

2011-12-30 20:13:51
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ12/30前回まで2】陥没地帯の先に進むため、高校教師である女性に協力してもらうことに。しかし彼女は体調を崩してしまったため、商社で休んでもらい、僕は一人で街へ出た。外でさらに二人の協力者を得て、商社に戻ると休んでいるはずの先生の姿はなかった。 #zzsm

2011-12-30 20:15:13
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ12/30前回まで3】僕はいなくなった先生を探すことにした。同行してもらっている二人には外で待ってもらい、一人でアパレルビルに入った。周辺でこの建物だけはいまだ入ったことがなかったからだ。彼女がいるとすればここだと思った。 #zzsm

2011-12-30 20:16:39
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ588】アパレルビルから外へ飛び出した。視界が一挙に開けた。建物の前、しかし歩道ではなく、車道で人々が心配そうに建物を見上げている。ただ一人、アパレルビルの店員さんだけが歩道の出入り口の真ん前で、埃で見えない建物の中を伺っていた。 #zzsm

2011-12-30 20:18:18
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ589】そこに僕と派手な服の女性が手をつないで出てきたのだ。僕たちは勢い余って、外にいる店員さんにぶつかりそうになったが彼女はとっさに体をひねり、突っ込んでくる僕たちをかわした。僕たちは、店員の女性に建物から離れるように言いながら慌てて車道へ出た。 #zzsm

2011-12-30 20:19:41
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ590】派手な服装の女性と店員さんとともに車道に出て、振り返った。アパレルビルの出入り口やガラスが割れたところから大量の埃が出てくる。天井がメキメキ割れる音が続く。僕は隣に立っている派手な服の女性の顔を見た。 #zzsm

2011-12-30 20:21:00
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ591】彼女は呆然とアパレルビルを見ている。派手で明るいメイクを施した快活そうな顔はとても無表情だ。僕は彼女の横顔を見ていられなくなり、視線を前へと向けようとした。その瞬間彼女の眼が涙を浮かべているのが見えた。僕は前に向き直り、あらためてビルを見た。 #zzsm

2011-12-30 20:23:43
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ592】埃は一挙に車道にまで到達した。車道にいた人たちは声を上げ、顔を覆いながら後ずさる。僕も派手な服の女性に下がるように促し、中央分離帯のところまで下がった。揺れが止まった。しかし、あたり一帯を濁らせた埃は簡単には薄まらなかった。 #zzsm

2011-12-30 20:25:21
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/4前回まで1】就活中の僕は面接を受けるためこの街に。目的地に到着直前、巨大地震が発生。その後も断続的に起きる地震から何とか逃れながら、家に帰るため最初の交差点から離れ東へ向かう。しかし道路が陥没している所に差し掛かり、それ以上進めなくなる。 #zzsm

2012-01-04 23:44:47
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/4前回まで2】陥没地帯の先に進むため、高校教師である女性に協力してもらうことに。しかし彼女は体調を崩してしまったため、商社で休んでもらい、僕は一人で街へ出た。外でさらに二人の協力者を得て、商社に戻ると休んでいるはずの先生の姿はなかった。 #zzsm

2012-01-04 23:45:56
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/4前回まで3】僕はいなくなった先生を探すことにした。同行してもらっている二人には外で待ってもらい、一人でアパレルビルに入った。周辺でこの建物だけはいまだ入ったことがなかったからだ。彼女がいるとすればここだと思った。 #zzsm

2012-01-04 23:47:08
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ593】埃が薄れてきた。アパレルビルの中の様子が少しずつ見えてきた。外から見た感じだと、天井が全体的に落ちてきた訳ではなく、所々にヒビが入り、天井の一部がはがれ落ちたようだった。僕は、隣の派手な服装の女性の様子を見てみた。 #zzsm

2012-01-04 23:48:16
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ594】彼女はうつむいたまま動かない。彼女の横顔をしばらく見ていたが、かける言葉がないことに気づき、「気を…落とさないように」とだけ言って離れた。歩きながら、「間抜けなセリフだな」と恥ずかしくなったが、どうせ聞こえてないだろうと思い忘れることにした。 #zzsm

2012-01-04 23:50:13
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ595】僕は、分離帯に座っているくたびれサラリーマンのおじさんのところへと歩いた。その傍らでは母親思いのリクルート学生が横になっている。おじさんは僕に気づき、「大変でしたね、大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。その声に反応して、学生も上体を起こした。 #zzsm

2012-01-04 23:52:02
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ596】おじさんは心配そうに傍らの学生を見ている。母親思いの学生は、「無事でよかった。こっちはこの様だよ」と自嘲するように言った。僕は、彼のそばにしゃがみ、あらためて彼の様子を見た。額や鼻からの血が赤黒く固まり、皮膚から半分浮いているのが見えた。 #zzsm

2012-01-04 23:53:08
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ597】学生は弱々しく、「ごめんよ、足手まといになっちゃうな…」と言うと抱えた膝の間に顔を落とした。僕はうなだれた学生に「気にしないで、何とかなると思うから、ここで休んで」と。すると学生は「いや、ついていくよ。連れて行ってほしいんだ」と言い出した。 #zzsm

2012-01-04 23:54:30
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/5前回まで1】就活中の僕は面接を受けるためこの街に。目的地に到着直前、巨大地震が発生。その後も断続的に起きる地震から何とか逃れながら、家に帰るため最初の交差点から離れ東へ向かう。しかし道路が陥没している所に差し掛かり、それ以上進めなくなる。 #zzsm

2012-01-06 00:45:40
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/5前回まで2】陥没地帯の先に進むため、高校教師である女性に協力してもらうことに。しかし彼女は体調を崩してしまったため、商社で休んでもらい、僕は一人で街へ出た。外でさらに二人の協力者を得て、商社に戻ると休んでいるはずの先生の姿はなかった。 #zzsm

2012-01-06 00:47:02
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