サマーメモリーズ

サマーメモリーズ…あのセミの鳴き声、まぶしい照り返し、そしてそこで生きていた人々の声と表情…今も忘れられない。だから少しずつここに書くことに決めた。本当に一つ二つずつだし、いつまで続けられるかわからない。だからあまり期待しないでね。では始めよう 九条一馬 / kazuma_kujo 追加は誰でもOKにしてあるので気づいた時にでも。(kina)
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九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/5前回まで3】僕はいなくなった先生を探すことにした。同行してもらっている二人には外で待ってもらい、一人でアパレルビルに入った。周辺でこの建物だけはいまだ入ったことがなかったからだ。彼女がいるとすればここだと思った。 #zzsm

2012-01-06 00:48:14
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ598】負傷しているリクルート学生(僕も就活中だから相手のことをこういうのはおかしな話だが…)に「いや、ついていくよ。連れて行ってほしいんだ」と言われ、僕は内心困った。アパレルビルに長く居たため辺りは暗くなりつつある。 #zzsm

2012-01-06 00:49:18
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ599】彼を連れて行くとなると急ぐわけにいくまい。僕は彼を止めてくれることを期待して、傍らに座っているくたびれサラリーマンのおじさんの方へ顔を向けた。おじさんは学生の方をじっと見ていた。おじさんもさすがに学生の状態を見て、無理だと思っているだろう。 #zzsm

2012-01-06 00:50:47
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ600】学生は頭をぶつけたようで、鼻血だけでなく、額からも血を流していた。仮に傷が浅く、すでに出血が止まったからと言って、地震でいつ建物が崩れてくるかわからない街を進み、行く手を阻んでいる自動車を押させるなんてできない、そう思っているに違いなかった。 #zzsm

2012-01-06 00:51:58
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ601】僕は、おじさんがいつ学生に、諦めてここで休んでいるように言ってくれるのか待っていた。するとおじさんは僕の方に顔を向け、あっさりとした口調で言ったのだ。「三人で行きましょう」そして、学生の背中と肩に手をあてて、ゆっくり立たせ始めた。 #zzsm

2012-01-06 00:53:01
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ602】学生が立ち上がると、おじさんは、「暗くなってきました。さあ、行きましょう!」そう言って交差点のある北へ向かって歩き始めた。学生も後に続く。僕は呆気にとられていたが、二人が交差点の手前を右へ曲がっていくのを見て、慌てて二人を追いかけた。 #zzsm

2012-01-06 00:54:11
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/6前回まで1】就活中の僕は面接を受けるためこの街に。目的地に到着直前、巨大地震が発生。その後も断続的に起きる地震から何とか逃れながら、家に帰るため最初の交差点から離れ東へ向かう。しかし道路が陥没している所に差し掛かり、それ以上進めなくなる。 #zzsm

2012-01-07 01:41:29
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/6前回まで2】陥没地帯の先に進むため、高校教師である女性に協力してもらうことに。しかし彼女は体調を崩してしまったため、商社で休んでもらい、僕は一人で街へ出た。外でさらに二人の協力者を得て、商社に戻ると休んでいるはずの先生の姿はなかった。 #zzsm

2012-01-07 01:42:50
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/6前回まで3】同行者である二人の了承を得て、先生を探すことにしたが、いると思われたアパレルビルでも彼女を見つけることができなかった。ビルから出てきた僕は、同行者二人と東端の陥没に向かうことにした。 #zzsm

2012-01-07 01:43:47
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ603】僕は、二人が交差点の手前を右へ曲がっていくのを見て、慌てて彼らを追いかけ始めた。しかし走り始めてすぐに急ブレーキをかけた。アパレルビルの中で知り合った、やつれたOLが僕の前に立ち塞がったからだ。彼女は、僕の顔を見つめている。 #zzsm

2012-01-07 01:46:10
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ604】僕は、やつれたOLに絡まれるのかと身構えた。彼女の唇が動いた。世を恨むような言葉が出てくるのだろうと嫌悪感をもって聞いた僕の耳に「ありがとう」という声が入ってきた。「えっ?」あっ気にとられる僕。「私の、話を…最後まで聞いてくれて…ありがとう」 #zzsm

2012-01-07 01:47:33
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ605】僕は、会釈すると彼女の横をすり抜けて再び走り始めた。が、数メートル走ると無意識のうちにスピードを落とし歩きだしていた。アパレルビルに入るそもそもの理由、高校教師の女性を探しにきたことを思い出したのだ。僕は立ち止まりアパレルビルを見上げる。 #zzsm

2012-01-07 01:48:24
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ606】道路をはさんだ向かいにある公園に目をやり、さらに北の商社ビルを見た。オレンジ色の服の高校教師の姿は見えない。夏とは言え、あたりは暗くなり始めていた。僕は、先生が無事でいてくれることを願った。自分が先生を探すことを完全に諦めていることに気づく。 #zzsm

2012-01-07 01:50:36
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ607】東を向き、うつむきながら小走りで進み出した。走りながら顔を上げたら、十数メートル先に、二人が振り返って僕が来るのを待っているのが見えた。「おーい、待ってくださーい!」僕は大げさに言いながら、彼らのいるところへとスピードを上げて駆けていった。 #zzsm

2012-01-07 01:51:31
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/7前回まで1】就活中の僕は面接を受けるためこの街に。目的地に到着直前、巨大地震が発生。その後も断続的に起きる地震から何とか逃れながら、家に帰るため最初の交差点から離れ東へ向かう。しかし道路が陥没している所に差し掛かり、それ以上進めなくなる。 #zzsm

2012-01-08 03:02:38
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/7前回まで2】陥没地帯の先に進むため、高校教師である女性に協力してもらうことに。しかし彼女は体調を崩してしまったため、商社で休んでもらい、僕は一人で街へ出た。外でさらに二人の協力者を得て、商社に戻ると休んでいるはずの先生の姿はなかった。 #zzsm

2012-01-08 03:03:26
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/7前回まで3】同行者である二人の了承を得て、先生を探すことにしたが、いると思われたアパレルビルでも彼女を見つけることができなかった。ビルから出てきた僕は、同行者二人と東端の陥没に向かうことにした。 #zzsm

2012-01-08 03:04:09
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ608】くたびれサラリーマンのおじさんと母親思いの就活学生の3人で「寄りかかりビル」の残骸を越え、東の陥没地帯へやって来た。もう暗くなっているはずだが、雲が火災の炎に照らされて、赤い空が広がっている。今も遠くからサイレン音が聞こえてくる。 #zzsm

2012-01-08 03:04:55
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ609】学生は立ち止まり、頭を押さえていた。おじさんは心配そうに学生を見ている。僕は辺りを見回した。オレンジ色の服装の先生は来ていないようだった。もしかしたら、ここに来ているのではと思っていたのだが、そう都合よくはいかないようだ。 #zzsm

2012-01-08 03:07:34
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ610】僕は、公園にいた先生を中途半端に引っ張り出し連れ回してしまったことを申し訳なく思った。前を見ると数名の人が進めなくて、広い6車線の道路の上で立ち往生していた。人々がいる奥に多くの車が道を塞いでいるのが見えた。人々の横の通り抜け車群に近づいた。 #zzsm

2012-01-08 03:08:36
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ611】この車群は、かろうじて陥没への落下を免れた車達だ。僕は同行してもらった二人に「この向こう側が陥没してるんです」と言いながら、背の高くない乗用車の上に、できるだけ車体がへこまないように気をつけながら上った。おじさんと学生も僕を真似て車に上った。 #zzsm

2012-01-08 03:09:28
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ612】僕達は車上から、「その先」を覗き込んだ。黒々とした闇が広がり何も見えない。闇の中を目が泳ぎ「何か」を見ようとする。何も見えないまま首を上に向けると、黒々としたビルの輪郭の先に赤い空があった。再び下を見た。目を凝らしてもやはり何も見えなかった。 #zzsm

2012-01-08 03:10:34
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/9前回まで1】就活中の僕は面接を受けるためこの街に。目的地に到着直前、巨大地震が発生。その後も断続的に起きる地震から何とか逃れながら、家に帰るため最初の交差点から離れ東へ向かう。しかし道路が陥没している所に差し掛かり、それ以上進めなくなる。 #zzsm

2012-01-10 03:00:20
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/9前回まで2】陥没地帯の先に進むため、高校教師である女性に協力してもらうことに。しかし彼女は体調を崩してしまったため、商社で休んでもらい、僕は一人で街へ出た。外でさらに二人の協力者を得て、商社に戻ると休んでいるはずの先生の姿はなかった。 #zzsm

2012-01-10 03:01:02
九条一馬 @kazuma_kujo

【サマーメモリーズ1/9前回まで3】同行者である二人の了承を得て、先生を探すことにしたが、いると思われたアパレルビルでも彼女を見つけることができなかった。ビルから出てきた僕は、同行者二人と東端の陥没に向かうことにした。 #zzsm

2012-01-10 03:01:39
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