「アルミホイルは電波を遮断する」男は雑誌に目を落としたままで言った。「車内で携帯の電源を切るように、というのはペースメーカー使用者に配慮してのことだ。電源が入っていようと電波を遮断しているのだから、目的は果たしている」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 20:30:42「あらあ、恭平ちゃん、こんにちは。大きくなったわねぇ」第一声は、成美とまったく同じだった。大きくなった、と言えば子どもは喜ぶと思っているのだろう。-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 20:32:20「そういう発言はよくない」湯川は改めていった。「専門家でさえ、深海生物のことを完全に理解しているとは言い難い。できないことはできないと正直に言うべきだ」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 20:33:35子どもには話せない、ということだろう。またこれだ。大人たちは何の根拠もなく、子供とは秘密を共有できないと思い込んでいる。-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 20:36:21「くだらないことで拗ねるな。大人が隠していることを知ったって、君の人生にとって大してプラスにはならない」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 20:37:25「亡くなった方の家族の気持ちを考えるといい。岩場に落ちて死んじゃっただけです、と警察に言われて納得できるかい?なぜそんなことになったのか、できる限り詳しいことを知りたいはずだ」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 20:40:27「儲かるか儲からないかだけで、科学者は自分の立場を変えたりしない。科学者がまず一番最初に考えるべきなのは、どの道が人類にとってより有益かということだ。有益だと判明すれば、たとえ自分には利益がなくても、その道を選ばなくてはならない」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 20:42:54「人類は相変わらず間違いをしでかす。戦争がなくならないのも、環境を破壊してしまうのも、欠陥だらけの地図しか持っていないからだ。その欠けた部分を解明するのが科学者の使命だ」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:12:11「彼らは毎朝、その日の天候を予測してから漁に出る。海が荒れたら命取りだからね。天気予報だけに頼るのではなく、昨日までの天気、空の色、風向き、空気の湿り具合などから、極めて正確に予測を行う。それは紛れもなく科学だ」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:15:03「理科嫌いは結構だ。でも覚えておくことだな。分かんないものはどうしようもない、などと言っていては、いつか大きな過ちを犯すことになる」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:15:48「話し合ってない。デスメックの連中は討論会を開いたという実績を残したいだけだし、君たち反対派はただ難癖をつけているだけだ。あんなものは議論ではない」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:17:11「前の席に座るだけでなく、視線も重要だ。例えばカーブの多い道を走っている時なんか、体が遠心力で外側に振られるだろう?そのとき、視線も一緒に振られると、三半規管の情報と視覚情報が一致しなくなり、脳が混乱する。その結果、乗り物酔いになる。
2011-07-11 21:19:50視線を乗り物の進行方向に固定しておけば、その症状は出にくい。乗り物酔いしやすい人でも自分で運転している時には大丈夫なのは、運転中は常に前方を見ているからだ」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:20:58「わたしは転落死体は何度も見ている。たとえ数メートルの高さであっても、脳挫傷するほどの衝撃を受けたのなら、全身に内出血が残るはずだ。だが遺体に内出血はほとんど見られなかった。つまり、岩場に落ちる前から、塚原さんは亡くなっていた可能性が高い」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:25:26「ティッシュペーパーの切れ端を丸めて詰めた後、口で息を吹き込んだら、ティッシュペーパーは反対側から勢いよく飛び出すだろう。打ち上げ花火は、円筒形の発射台にセットする際、その下に発射用の火薬を仕込む。それが爆発する時の衝撃力とガス圧によって、花火は上空まで飛んでいくんだ。
2011-07-11 21:33:58それに対してロケット花火は、自らが爆発し、後方に火花を噴射することで、その反作用によって飛んでいく。ペットボトルロケットにおける圧縮空気と水の役割を、火薬がしてくれているわけだ」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:35:24「通常は燃えない金属でも、このように条件を整えてやることで燃える。花火の正体は金属だ。いくつかの種類を組み合わせて作ってある」-東野圭吾「真夏の方程式」
2011-07-11 21:38:27「国産ワインがこんなにおいしいなんて思いませんでした」成実は正直な感想をいった。「日本人は日本の良さを知らなすぎる」湯川はグラスをくるくると回した。「地方の努力に多くの人が目を向けない。どんなにおいしいワインを作っても、飲む前にたかが国産と切り捨てられる」-東野圭吾「真夏の方程式
2011-07-11 21:41:19