逆刃刀・影打の話。

人斬り抜刀斎を緋村剣心へと変えた刀についてのあれこれ。東方project×るろ剣トリビュート(https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=677950)の延長戦。
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銅折葉 @domioriha

あんまこんなことやってる場合じゃないんだけど逆刃刀・影打の話。

2020-10-05 21:35:18
銅折葉 @domioriha

新井赤空が、鳥羽伏見の勝利を機に維新志士を離脱した剣心に餞別代わりに送ったのが逆刃刀・影打。赤空はこの時、剣心の人斬り以外の道を探す決意がどれくらい甘いこと言ってるか思い知るだろうと言っている。

2020-10-05 21:37:41
銅折葉 @domioriha

この時、どうも剣心は刀を持ってないんだよな。たぶん巴を殺めた事件から、遊撃剣士としての戦いの中でずっと考えていた悩みの結果だと思うんだけど、この時点で剣心は人斬り以外の道とは刀を捨てることだと考えていた。 おそらく、剣心になる以前の心太に戻ろうとする心境だったのではないか。

2020-10-05 21:39:52
銅折葉 @domioriha

星霜編を参考にするに、このまま剣心が刀を持たずに人斬り以外の道を探そうとしていたら、明治になって間もなくどこかで無茶をして命を落としていた可能性or再び刀を手にして人斬りとして決別できなかった可能性が高いように思う。

2020-10-05 21:41:14
銅折葉 @domioriha

本編終了後にあれだけいろいろと決意と経験を経て乗り越えた(のであろう)剣心ですら、星霜編であんなにボロボロになってしまった訳なので……。まああれは時代背景もあるんだろうけど

2020-10-05 21:42:49
銅折葉 @domioriha

あるいはどこかで別の維新志士、幕末を忘れられない誰か、明治政府への不満に共感して時代に逆行しようとしてしまったかもしれない。 その剣心を、明治11年に至るまでの間に不殺の流浪人へと変えたきっかけの刀、それが逆刃刀影打ちであろう。

2020-10-05 21:44:25
銅折葉 @domioriha

剣心の飛天御剣流は、体格や筋力の兼ね合いから、本来の流派に十全の資質を持っていた十三代目比古清十郎の受け継いだ飛天御剣流と比較すると、厳密には異なる、剣心版・飛天御剣流になっているのではないかと以前に考えた。

2020-10-05 21:46:02
銅折葉 @domioriha

剣心は体重や筋力でで劣るがゆえに、流派のうち自分に使いやすい技を選ん使用していただろうという推測だ。当然使わない技よりは慣れた技のほうがより洗練されていたと思われる。 今回これをさらに分けて、剣心の飛天御剣流は抜刀斎版・飛天御剣流から剣心版・飛天御剣流へと移り変わったと想定する。

2020-10-05 21:48:43
銅折葉 @domioriha

受け継いだ流派のうち、自分の体格に合った技を選んで人斬りとして発展させたのが抜刀斎版・飛天御剣流(幕末の時に使用しているアレ)。 その後、逆刃刀を手にして全国を流れる間に、剣心は飛天御剣流をさらに不殺の剣として変化(昇華?)させる必要があった。

2020-10-05 21:50:38
銅折葉 @domioriha

具体的には龍翔閃がわかりやすい。刃を立てて斬り上げるのではなく、刀の腹で打ち上げるように変えている。これは単に「そうした」というその場しのぎの工夫だけとは思えない。新しい別の技として習熟しなおしたというほうが近いのではないか。

2020-10-05 21:52:29
銅折葉 @domioriha

同じ事が刺突の禁止にも言える。抜刀斎の時代には使用にためらいなど無かったはずだが(明確に使用している描写は少ないが、龍槌閃・惨などからなんとなく予想ができる)、不殺の剣にあたってはこれを全て止め、柄頭の打撃などに変えた。劇中では九頭龍閃も不殺の剣心版である。

2020-10-05 21:54:31
銅折葉 @domioriha

他にも、不殺の剣というものが、打突の瞬間に握りの緊張を緩める、必要な分だけの打撃に変える、極めて精妙な力のコントロールに基づいた非常に難しい剣であることを剣心自身が語っている。あれだけの才能を備えた剣士に成長した弥彦も、一度しか使えていないと告白していた。

2020-10-05 21:56:26
銅折葉 @domioriha

剣心が逆刃刀とともに放浪した10年は、刀を捨てることなく、といって人斬りでもない、目に留まる人々を守る力として己の剣を捉え直す(鍛え直す)期間であった。

2020-10-05 21:59:02
銅折葉 @domioriha

赤空は逆刃刀を、自身の本当の心情の吐露として鍛えた。辞世の句代わりのあの句がその本音だろう。逆刃刀は本来、赤空の誰にも言えない言葉を託した理想のようなもので、誰かの実用武器として渡すものではなかった。鍛えてる時期を考慮すると剣心に渡そうなんて意図して作ってたとも思いにくい。

2020-10-05 22:01:21
銅折葉 @domioriha

影打を含めて何本か打っていたとしても、剣心にくれてやろうと考えたのは多分真打を完成させて神社に奉納した後なんじゃないだろうか。

2020-10-05 22:02:34
銅折葉 @domioriha

剣心が10年間で一度も目釘を変えたり拵えを直したりしたことがないとは思えないので(真打入手時に白木の鞘から普段の拵えに変えてるし)、影打にはあの句は刻んでいなかっただろうと思うのが妥当か。

2020-10-05 22:04:03
銅折葉 @domioriha

要するに、逆刃刀影打が不殺の流浪人たる剣心の手に渡ったのはかなり偶然性が強いものだ。鳥羽伏見の直後の剣心は、不殺の剣を自分の人生の半身にしようなどとはまだ考えてなかったとおもう。 影打こそが、人斬り抜刀斎を緋村剣心に変えた刀だったと言ってもいいのではないか。

2020-10-05 22:06:13
銅折葉 @domioriha

逆刃刀影打の性質は、緋村剣心とともに歩いた10年で、本来凶器でしかない剣術を、それ以外の力へと変える可能性があることを示した刀であると言える。武器・凶器であるが(ここを否定するまではいってないだろう)、同時にそれ以外の可能性を示した刀だ。

2020-10-05 22:08:19
銅折葉 @domioriha

かの名工新井赤空の手によるものだし、逆刃刀真打が目釘の緩みから比古師匠の死を防いだなどの描写から膨らませると、わずかながらも所有者の望むとおりに、クッションになったり適度に打撃を弱めるような機構があったのかも知れない。

2020-10-05 22:10:46
銅折葉 @domioriha

実際、剣心ほどの腕があればあえて逆刃刀でなくても不殺はできそうな気がするが(捕縛具などに刃を起こしてない鉄刀などがある)、それはやらないんだよな……。北海道編では弥彦に譲った後は倭杖を手にしているが、明治11年段階ではそれはしなかった。

2020-10-05 22:15:26
銅折葉 @domioriha

そして影打は明治11年の東京で剣心とともに強敵を打ち倒し、新月村で瀬田宗次郎との戦いで折られてしまう。宗次郎の刀も同時に破壊したが、これも(読みようによってはだが)逆刃刀が身を挺して剣心を守ったと読めなくもない。

2020-10-05 22:15:54
銅折葉 @domioriha

あの状況、逆刃刀が十分に「護る力」を持ってなかったら宗次郎に斬られてた可能性もけっこうあると思う。

2020-10-05 22:16:35
銅折葉 @domioriha

本筋とは違うけど「居合いってよっぽどの達人でも抜き打つ一瞬前に足が止まる」みたいな話を読んだんですが、これを前提にすると瞬天殺と天翔龍閃がいかに無茶なものかわかる。

2020-10-05 22:18:08
銅折葉 @domioriha

まとめると、逆刃刀・影打は本来は世に出ることもない存在であったが、数奇な運命で剣心の手に渡り、人斬り抜刀斎の剣を不殺の流浪人のものへと変える手助けをし(剣術の可能性を示し)、主を護って折れたということになる。武器であり、自身が凶器であることは否定せず、凶器以外の可能性を示した剣。

2020-10-05 22:20:59
銅折葉 @domioriha

その剣が、折れた後に何を思うのかというのを、本来人を襲う妖怪の立場でありながら、妖怪退治のための針を打っている妖怪鍛冶である小傘と重ねてみると、一つのドラマになるのではないだろうか。#長い前振りだったなオイ

2020-10-05 22:22:10