- Uroak_Miku
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未だに脳内で質疑応答が続く、いつぞやの夏目ゼミでの院生とのやり取り。今でいうキャラクタービジネスが1960年にいきなり日本国内業者の手で始まった理由が、彼女にはどうしても理解できない顔つきで、房之介教授が嘘八百の説で割り込んで納得させたのでカチンときて「今の すべて頭から消して」と私
2020-10-06 13:18:00[続き]これが魔法の呪文となったのですよ。© ディズニー商品は日本でも市場をすでに広げていて、どの商品にもこれが付いていた。これが copyright の略だと、とある国産文房具業者が気づいた(というかディズニー日本支社で教わった)とき、歴史が動いたのです。
2020-10-06 13:20:21[続き]実はキャラクター商品の「権利」を保証するのは著作権法ではなく、複数の法律を組み合わせての法理論(&判例の積み重ね)。しかし当時の日本はそんなアメリカ発明の理論なんて知られていなかった。ディズニー日本支社の連中もろくに知らなかった。ゆえに©が魔法の呪文として独り歩きしだした
2020-10-06 13:22:56アメリカで理論化された「sexual harassment」が、日本では職場でのマナーの話に読み替えられてしまったのと、どこか通じますね。ディズニーのキャラクター商品にある©が、当時の日本では特許の一種と理解されたのです。 pic.twitter.com/UWIrWtRYJI
2020-10-06 13:26:14やがて国産キャラクターで大々的に商品化がスタート。アトムは原作者に膨大な儲けを捧げた。 し・か・し、彼は何も理解していなかった。それは特許ではないことに。 pic.twitter.com/DUVR250TeT
2020-10-06 13:34:58アニメ『鉄腕アトム』がアメリカ輸出商談成立!の報に各方面が敏感に反応。TBSは某CMアニメ制作会社に強引にテレビアニメ制作を命じた。人気漫画の映像化権を買い入れて「これのアニメを作らせてアメリカで大もうけだ!」 pic.twitter.com/xDG1YOD9g0
2020-10-06 13:37:36アメリカの三大ネットのひとつABCと商談成立。しかしその際に契約書の中身をきちんと理解しないままサイン。 この契約書には、作品(アニメ)とは別に、登場人物たちの商業的扱いについても規定があって、それをTBSは契約交渉の際にろくに研究しなかった。
2020-10-06 13:41:27このあたりのことは過去にしつこく論じたのでここでは省略。この苦い経験から、アメリカでは何か特別な法理論が回っているとTBSは思い知った。
2020-10-06 13:42:23アトムが1963年1月1日放映開始。その半月後にニューヨークで、ヤマハの海外楽曲著作権処理をしていた日英バイリンガルの日本人男性がNBC本社でアトムの契約交渉に入り、2月1日に商談成立。この方は当時の超凄腕ネゴシエーターでした。ブローカーともいいますが。
2020-10-06 13:45:49しかしその彼も、音楽著作権については詳しくても、キャラクター商品をめぐる法理論についてはよく知らなかった。幸いアトムの輸出はNBCへの丸売りではなかったので話がこじれなかったのですが、後続のエイトマンは丸売り前提の契約交渉だったのでTBS側が契約書をよく読まなかった。
2020-10-06 13:48:37それでキャラクター商品をめぐる扱いについて、痛い目にあってしまった。それを教訓にTBSは研究を行い、アメリカでのキャラクター法理論を次第に消化。この成果が、後の『ウルトラマン』の成功となるわけですがこれも過去に話した内容なので省略。 pic.twitter.com/r3N8xDltTl
2020-10-06 13:51:36手塚は凄腕ネゴシエーターのおかげでNBCにしゃぶり取られずに済んだ。しかしそのせいでアメリカの法理論を学ぶ機会を失った。 pic.twitter.com/M4WNKCfsyL
2020-10-06 13:53:09キャラクター商品について「アトムはぼく特許ですよ、ディズニーがやっているのを研究しました」と公言。 そんな甘いもんやおまへんで。この大雑把さが、やがて彼のスタジオをむしばんでいった。
2020-10-06 13:55:03©の印が、日本では特許と誤解され、誤った理解のままキャラクター商品市場がどんどん広がって、理論化は後から行われたわけです。 これは日本のアニメの現場環境が劣悪化していったのとパラレルです。詳しくは過去に論じたので省略。
2020-10-06 13:56:48さてくだんの院生さんは「1960年以前は、何か人気アニメやテレビ番組があって、誰がそれを商品にしてもよかったのに、どうして急に契約が必要になったのですか?」と尋ねてきて、何を訊いているのか理解できなかった。
2020-10-06 13:58:33今はわかる。彼女は「1960年以前=契約が必要なかった、以後=必要になった」と年表を頭の中に、勝手に作ってしまっていたのです私の講義を聴いて。(OHPを駆使して絵や写真でばんばん説明していったわけですが)
2020-10-06 14:00:13「契約は必要ないと、当時の日本で決まっていた」と拡大解釈されてしまったのです。 そんなこと言ってないよー「契約が要るという考え方が、そもそも日本には見られなかった」のです。
2020-10-06 14:01:27喩えるならば、静かな水面に、あるとき©という石が投げ込まれて、波紋が生まれたのです。 pic.twitter.com/TCvmh0AyaE
2020-10-06 14:03:20日本でのディズニー商品に©の印があった。アメリカでのやり方を日本でも踏襲していた。これが何なのかディズニー日本支社の人びともよくわかっていなかった。「本国でそうしているから日本でもそうしている」 やがて©が、日本で独り歩きを始めた。特許みたいなものだと誤って理解されていった。
2020-10-06 14:05:20特許なら役所に申請しないといけないでしょーが!と今の私たちならツッコミを入れるところですが1960年当時の日本でそこまで頭が回る人はいなかった。世界のディズニーが世界各国でそうしているのだから、きっとそうなんだろうで終わった。
2020-10-06 14:06:36投げ込まれた©の正体については誰も深く考えず、生じた波が、テレビアニメの時代を迎えてさらなる波を生んだ。 pic.twitter.com/MrfvokUjLw
2020-10-06 14:07:45その波はアメリカにまで広がり、そこで痛い思いとともに波が日本に帰ってきた。 pic.twitter.com/kIMxFtnjQS
2020-10-06 14:09:12