【再放送】サンズ・オブ・ケオス ＃4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。はじめまして」現れたのは、白く退色した髪と武骨なメンポ、黒く有機的なニンジャ装束、左目の上に＜六門＞のカンジとクロス・カタナの意匠を刻印したニンジャだった。「ガーランドです」「ドーモ。ガーランド＝サン。ニンジャスレイヤーです」0

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アイサツは絶対！ニンジャの掟だ。ガーランドはアイサツで縛り、逃走の機会を奪ったのだ。『モシモシ？今、ガーランド……まさかガーランドつッたか？』タキの声が狼狽えた。『絶対逃げろ。ピザタキは避けろ。わかったか。来るな！』「ニンジャスレイヤー……と名乗ったな」ガーランドは目を細めた。 0

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

再放送 第3話【サンズ・オブ・ケオス】 pic.twitter.com/B64oQVmAgg

拡大

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『いいか、ガーランドはソウカイ・シックスゲイツのニンジャだからな！』タキが喚いた。ニンジャスレイヤーは睨んだ。「おれに、何か用か」サツガイの影響下にあるニンジャであれば、ナラクはその歪みを看破する。こいつはどうだ。「この破壊は貴様がやったのか？」ガーランドが問う。「そうだ」　1

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「付近に他のニンジャの存在を感じぬ」ガーランドの声にドスがきいた。「……メイレインを……殺したか。貴様」「殺した」ニンジャスレイヤーはやや腰を落とし、軸足に力を込める。このガーランドはサツガイのニンジャではない。己の負傷も重い。犬死にを避けねば。　2

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それが、どうかしたか」ニンジャスレイヤーは睨み返した。関節がミシミシと音を立てた。ガーランドは右腿の得物に手をかける。「ベイン・オブ・ソウカイ・シンジケート（ソウカイヤの災い）の伝説」彼は呟いた。「真偽を確かめるとしよう」殺気が空気に満ちた。「イヤーッ！」二者は同時に動いた。 3

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはスリケン二枚を連続投擲しながらバック転を打ち、間合いを取る。スリケンはガーランドに届かず、弾けて散った。龍の尾めいた得物が宙を裂き、彼の手元でうねった。得物で墜としたのだ！ニンジャスレイヤーは身を捻って背を向けながら着地。脱兎のごとく駆け出す！逃走である！ 4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

向かうは廊下奥エレベーター！しかしガーランドはこの戦闘拒否を当然受け入れない。ただ淡々と陸上選手じみたスプリントでニンジャスレイヤーを追う！……コトブキは首を左右に動かし、二人のニンジャが眼前を通過するさまを見た。淡いオレンジの髪がなびいた。「またしても戦闘です」彼女は呟いた。 5

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは躊躇せずエレベータ扉を蹴破り、シャフトのワイヤーに捕まって、真下へ落下した。エレベータは頭上四階付近で引っかかったままだ。降りながらワイヤーを支点にぐるぐると回転して勢いをつけ、一階のエレベータ扉を跳び蹴りで破壊しながら転がり出た。間髪入れず、後方で着地音！ 6

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは速度を上げる。マフラーめいた布がなびき、滴る血が地面に落ちて蒸発した。ガーランドはスプリントで迫って来る。ニンジャスレイヤーは斜めに跳び、「司馬」のネオン看板を蹴って更に跳んだ。だが！「イヤーッ！」「グワーッ！」跳躍が阻まれ、引き戻される。足に巻き付く武器！ 7

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャアドレナリンの分泌で時間感覚が泥めいて鈍化する中、ニンジャスレイヤーは足首に巻き付く恐るべき武器を認識した。それは鞭の一種だった。並の鞭ではない。ニンジャの武器だ。鞭には無数の小型クナイが生えている。その生え方はバイオ松の実を思わせる。刃が足首に食い込み、傷つけている！ 8

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ！」背中から地面に叩きつけられたニンジャスレイヤーは肺の空気を吐き出して呻いた。足首を苛む凶悪なクナイウィップにチョップを振り下ろし、切断しようとした。ガーランドは手首のスナップだけで鞭の拘束を解き、引き戻すと、確信的足取りでツカツカと接近してきた。「貴様、手負いか」 9

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは牽制と共に起き上がる。「それがどうかしたか」左右に廃家屋。パイプから染み出した汚水が足下に水溜まりを作る。背後には壁めいて廃車が積み上げられていた。跳躍すればクナイウィップの餌食となるだろう。ニンジャスレイヤーはイクサの選択肢を吟味し、カラテを構え直す。 10

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「カラテのワザマエは……なかなか油断ならぬ様子」ガーランドの目がギラリと光った。「貴様らに用はない。ソウカイ・シンジケート」ニンジャスレイヤーは言った。「だが、これ以上おれに関わるならば……」拳が、関節が、強烈な熱を帯びた。赤黒の眼光が強まった。 11

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイヤーッ！」その時、ガーランドの斜め後ろ！不意にアンブッシュをかけたのは、あろう事か先ほどのコトブキだった。彼女は流麗な跳躍からの二段回し蹴りで、いきなりガーランドを襲った。ガーランドは瞬時に反応し防御、蹴り返した！「イヤーッ！」「ンアーッ！」弾き飛ばされ転がるコトブキ！ 12

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは考えず、この機に乗ずる！クナイウィップは長いリーチを生かして敵の接近を許さず、肉と骨を削り取る武器。だが突然の出来事が思わぬ接近機会を生み出していた！「イヤーッ！」繰り出す連続チョップ！しかしガーランドは激しい打撃を奇妙なカタでしのぎきった！ 13

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それはガーランドの身体を這うように動き衝撃を散らすムチの防備！神秘的なブドー、ムチ・ドーの極意だ！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはなおも暴風めいて掴みかかる！「トラヒトアシ」ガーランドは呟き、地面スレスレまで身を沈めて回避！そして……「イヤーッ！」奥義、ホーミングウインド！ 14

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ！」ニンジャスレイヤーの身体は斜めに撥ね飛ばされていた。一体何が！？それは攻防一体の致命カラテである。ガーランドは捻じりながら伏せた身体を瞬時に解き放ち、竜巻じみた鞭の螺旋で彼を撥ね飛ばしたのだ！KRAASH！ニンジャスレイヤーは廃家屋の窓を破り、中に叩き込まれた！ 15

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウランガ！だが、当のガーランドは不満気である。「奴め。できる」ヒュパン！彼はムチで地を打ち、眉をしかめて廃家屋を睨んだ。先程アンブッシュを仕掛けてきた謎のオイランドロイドの気配を探るが、既にこの場を離れたと見える。「できるが……ニンジャスレイヤーだと……？」彼は呟いた。　16

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆◆◆ 17

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

斜めに明かりが挿し込む薄暗い屋内、赤黒い影が起き上がり、また倒れ、それからまた起き上がった。「ヌウーッ……！」眼光が闇に閃き、反射的に周囲の敵を探した。(((不甲斐なし！))) ナラクの失望の唸りがニューロンに突き刺さる。(((あの程度のニンジャ一匹殺せぬか！))) 　18

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「黙れ……ナラク……！」ニンジャスレイヤーは苦痛をこらえ、焼ける息を吐いた。シックス・ゲイツのニンジャであるガーランドのヒサツ・ワザを、ニンジャスレイヤーは空中で敢えて受け、その衝撃力を利用して高く跳んだ。そのまま窓を破り、この廃屋の室内に退避したのだ。　19

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

すぐに敵は追ってくる。ニンジャスレイヤーは力を振り絞り、戸口から反対側へ出ると、手摺を飛び越えて路上に着地した。こちらの路地も人通りが少ないが……「こっちです！」声の方向を見ると、小型トラックの荷台のホロが持ち上がり、中からコトブキが呼びかけていた。「何のつもりだ？」「早く！」20

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クソッ……」『オイ！どうなった！ニンジャスレイヤー＝サン！』ナラクの存在感がノイズに薄れて消え、タキの通信が再びニューロンに入ってきた。ニンジャスレイヤーはIRCを遮断し、荷台に飛び込んだ。「このまま静かにしていれば大丈夫です」コトブキが囁いた。「こういうシーンがありました」　21