眠れる森のパンダ氏によるトシ・ヨシハラ教授の『中国海軍VS.海上自衛隊』書評

眠れる森のパンダ @Panda_51

トシ・ヨシハラ教授の『中国海軍VS.海上自衛隊』、とりあえず一読しましたが、これは南西諸島有事を語る上ではほぼ必読と言ってもよいものではありますまいか amazon.co.jp/dp/4828422161/

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ただ監訳者の武居提督が危惧されてるように、特に尖閣諸島を巡るシナリオは忌避反応を強く感じてしまう恐れがありますので、個人的には、まず武居提督の「監訳者あとがき」を先に読んでしまうのも一案のように思います

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ちなみにこのシナリオは中国の軍事雑誌（世艦みたいなの）に載ってたものの要約で、海保に攻撃された海警船を海軍が救援したのを契機に順次に戦闘が拡大、F-15JとE-2CはJ-20に排除され、那覇基地は弾道弾の集中攻撃で機能を喪失するも嘉手納基地は意図的に攻撃目標から外され、米国は安保の発動を拒否

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続く戦闘で中国側も若干の艦艇を喪失するも、日本側はこんごう型2隻を失い尖閣諸島への上陸に失敗、逆に中国側の水陸両用部隊を追跡していたそうりゅう型は探知されて撃沈されてしまい、開戦4日で尖閣諸島は中国の手に落ちる、と

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教授自身も「このシナリオの前提と方向性には大きな問題がある」と指摘しており、例えば日本の海・空防御をこれほど容易に打ち敗れるか、日米安保をこれほど容易に離間させられるかなど多くのツッコミどころはあるが、しかし中国側が何を勝利条件と考えているかなどを窺い知るには有用だろう、と

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ちなみに個人的に地味に驚いたのは、（欧米とは異なり）中国では海上自衛隊についての研究が極めて盛んだったということで…てっきり米海軍のほうしか見てないのかと

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あと対艦弾道ミサイルにけっこう期待してるっぽいのは面白かったですね、いずもをSTOVL化したところで所詮はASBMの格好の標的だ！みたいな

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海自が対潜戦偏重で防空力が低い！と指摘されてるそうですが、しかし列島線沿いの戦いでは、低速だけど静かなSSKへの対策も必要になるわけですから、対潜戦にも手を抜けないのが困ったところではないかなと

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水中戦・対潜戦についての考え方はかなり興味深いところでしたね…例えば国産最新型の039B型潜水艦は海自そうりゅう型と同等以上だと自信を深めてますが、09年に米海軍が発表したレポートでは、その原型の039A型は、露キロ型でいえば877型よりは良いけど636型には劣ると評価されてたのですよね

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中国側の自己評価では「10年前と比して長足の進歩を遂げた」とされてるそうですから、この10年で636型をも凌駕したという自信があるのかな、とも…あるいはそうりゅう型はキロ型より大きく劣るという見積もりなのか

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ちなみに中国研究者の見積もりとしては、「長足の進歩を遂げた我が潜水艦に対しては、海自がいくら対潜戦に長けるといっても、探知は困難」と期待してるようで