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teioblog.blogspot.com/2018/06/blog-p… ていおブログというブログのハグプリ批評が面白くてよく読んでいるんですが、今日はこのブログの「ジェンダー云々以前の話」という記事の話をします。柳田國男の「木綿以前のこと」みたいな題名で面白いわね。
2020-10-11 22:13:52この記事ではハグプリ19話について話をしているんだけど、個人的な立場を明確にさせてもらうと、ていお氏の物語・構成的な部分に関しては僕は全面的に賛同。すなわち、対話の不足はかなりのミステイクだったわけ。
2020-10-11 22:19:12でも、ハグプリで描かれた社会問題的側面に対するていお氏のコメントに対しては賛同できない。むしろ、この記事における氏の立場がはらむ問題性はハグプリという作品批評に留まらず、現実のマイノリティに対する排除の言説を親和性が高いため、危険ですらある。
2020-10-11 22:19:12ハグプリ19話での氏の違和感は正人を分かろうとしないアンリの態度が根源であるようです。すなわち、アンリの態度は氏の持論である「自分の主張を聞いてほしいなら、自分とは違う考え方を持つ人の意見を否定してはいけない」「他人を尊重できない人に自分の尊厳を主張する権利は無い」に抵触すると。
2020-10-11 22:28:15そして、この持論は19話を巡って展開されたジェンダー論争以前のものであり、おそらく、ジェンダー以前のよりプリミティブな道徳の話、ということなんだと私は解釈しています。ポリコレ棒をぶん回すのではなく、対話をしましょうよ、それが道徳的態度でしょ、と。そういう話なのだと思われます。
2020-10-11 22:28:15これは一見すると至極妥当のように思われますが、私から言わせると巧妙に論点のすり替えられたという印象を受けます。なぜならば、①対話は対等な立場でしか成立しないが、②ジェンダーとはそもそも反差別の思想であり、③差別状況は対等な立場での対話の障壁となるから、です。
2020-10-11 22:31:07ジェンダー論は対等な対話が不可能な、被差別的地位に置かれている人びとのために生じた思想運動なわけ。そうした、被差別的な立場にある人々に対して「一方的な主張をするな」というのは差別の上塗りになる。むしろ、対話の場が剥奪されてきたから被差別者は被差別者なのです。
2020-10-11 22:33:47そもそも被差別者は対等な対話の末に被差別者になったわけではないんですよ。すでに尊厳を剥奪された被差別者に向かって、「自分の主張を通したいなら(=被差別状況にに疑義を呈したいなら)、差別者の尊厳を配慮せよ」とはどういう了見なのか。
2020-10-11 22:36:26すなわち、論点のすり替えとはなにかといえば、本来的には差別/被差別の関係で生じたジェンダーという問題を、対等な立場の関係で要請される道徳の問題にすり替えちゃったわけ。ジェンダーという思想の最も重要な問題関心(=反差別)が換骨奪胎された、という印象を受けます。
2020-10-11 22:39:01記事中、「「社会」の一員として「社会」の恩恵を受ける者はみな、「自分以外のみんな」を尊重せずに、自分を主張することは許されません。それを許せば社会は無秩序になってしまうのですから」という記述があります。
2020-10-11 22:44:46一見するとまともですが、マジョリティがいう「秩序」はマイノリティにとっては「差別されること」である、という点に目が向いていない。社会に秩序は必要です。しかし、我々は秩序の名のもとに、マジョリティとマイノリティの権力勾配を温存していないだろうか。そういう自省こそが必要なはず。
2020-10-11 22:44:46冒頭でも述べたように、正人とアンリの関係に関しては、氏に賛同します。しかし、それは物語の批判に留めるべきで、「アニメの内容「以前」の話」にあるように、差別/被差別関係で生じる問題を、対等な関係で成立する道徳の問題にすり替えることには違和感を覚えます。オワラセテイタダキマァス!!
2020-10-11 22:56:03「ジェンダー」ってカタカナ言葉にされるとマイルドになっちゃうんだけど、これは「性差別」という差別を巡る問題ですからね。「ジェンダー論者はやかましくてたまらない」ってのは「差別反対なんてやかましくてたまらない」って言ってるようなことなの自覚あんのか、とTwitter見ててたまに思う。
2020-10-11 23:00:19「差別問題において、ある事象を差別であると考えるのか、そうでないかが争われるということは、確かに一般的に見られることです。しかし、その『争い』自体が対等な土俵の上で行われるわけではありません。
2020-11-16 22:43:41差別を告発しようとする者は、大きなリスクを負い、大きなコストを支払って告発に踏み切らざるをえないのに対して、告発される側はしばしば『争い』自体に無関心であったり『争い』を回避しようとしたりします。『争い』自体がそもそも対等なものではないのです。
2020-11-16 22:43:41差別された者の怒りは差別行為それ自体に向けられると同時に、それを差別だと気づかないこと、無関心であることにも向けられているのではないかと思います」佐藤裕『差別論――偏見理論批判』45-6頁
2020-11-16 22:43:41こちらのまとめ(togetter.com/li/1606868)で社会学徒ツイ主が 「この記事における氏(※ていおブログ主)の立場がはらむ問題性はハグプリという作品批評に留まらず、現実のマイノリティに対する排除の言説を親和性が高いため、危険ですらある。」 と非難するところの該当やり取り箇所がこちらです pic.twitter.com/CqkPUqmBHD
2020-11-16 23:03:03