ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第二部「キョート殺伐都市」より:「ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ」#4

2011-07-12 16:33:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(これまでのあらすじ:ネオサイタマの汚れた大輪の花、ネオカブキチョの一角にニチョーム・ストリートがある。ワイルドサイドを歩く人々の小さなヘイブンを守るニンジャあり。その名はザクロ=ネザークイーン。ザクロはザイバツを相手に立ち回り、日々の揉め事を解決、街の秩序を維持していた。)

2011-07-12 16:37:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(さて、ザクロがある日保護したはぐれ女子高生ヤモト・コキは、ニンジャであった。彼女はニンジャソウル憑依後、宿無しの身で絶望的な闘争の日々を送っていた。ザクロは持ち前の義侠心から、ニンジャ能力でザクロを手伝いたいと申し出た彼女を受け入れるのだった。)

2011-07-12 16:50:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ザクロのもとでのヤモトの初仕事は、ネオカブキチョを騒がす連続猟奇殺人鬼の捕獲である。この件ではニチョームの住人、マジロが既に冤罪逮捕されている。犠牲者も増え続けるであろう。事態は一刻を争うのだ。捜査を開始した二人はいきなり犯人と思しき凶悪なニンジャと遭遇した。)

2011-07-12 16:55:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(一方その頃ネオカブキチョに潜入した別の二人のニンジャあり。マインドニンジャ「シルバーキー」と、我らがニンジャスレイヤーである。ある目的の為にシルバーキーのジツを必要とする彼は、シルバーキーにサイバネ手術を受けさせるべく、長い戦いの続くキョートからネオサイタマへ舞い戻った。)

2011-07-12 17:01:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(シルバーキーに埋め込まれた発信機を頼りに、ザイバツ・ニンジャがネオサイタマ入りした二人へ次々に襲いかかる中、二人はついに、サイバネ医師バシダが住むネオカブキチョに辿り着いた。目的地は目と鼻の先なのだ!)

2011-07-12 17:06:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(しかし、そのバシダもまた何らかのトラブルを抱えていた。途絶えた意識、返り血にまみれた服、悲鳴の記憶……その意味はいかに!?なんたる混迷状況!ネオサイタマに血の雨が降る!ワッショイ!)

2011-07-12 17:09:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

空中でぶつかりあった打撃が火花を散らす。ネザークイーンはやや体勢を崩しながらもビルの壁を蹴り、空中のニンジャへ追撃をかける!飛び蹴りだ!「イヤーッ!」「バァーハハ!イヤーッ!」空中のニンジャは笑い、踵落としで応戦!ふたたび打撃がぶつかり合う!「行け!」その時だ。下で叫び!ヤモト!

2011-07-12 17:46:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

八つのオリガミがDNA模様めいた螺旋を描いて舞い上がり、上空のニンジャに立て続けに着弾する。花火めいた小爆発!カブーン!カブーン!カブーン!「グワーッ!?」打ち上げられる敵ニンジャ!カブーン!カブーン!カブーン!「グワーッ!?アバッハーッ!?」カブーン!カブーン!

2011-07-12 17:50:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ネザークイーンはしなやかにヤモトのすぐそばの地面に着地した。「やるじゃないアータ!」「でもまだ…」ヤモトは空を見上げる。攻撃を受けたニンジャはその反動で斜めに跳ね上がり、ビルの屋上へ着地した!「バァーハハー!」逃走する構えだ!ウカツ!ネザークイーンは即座にハイジャンプを繰り出す!

2011-07-12 17:56:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「待てやコラーッ!アイサツしろ!スッゾオラー!」ビルの瓦屋根に飛び乗ったネザークイーンは、走り去ろうとするニンジャへ叫んだ。「ドーモ、ネザークイーンです!」「バァーアハッハ!ドーモ!」咎められたニンジャは素早く振り返り、オジギしてアイサツを返す!「プロセッサーです!」

2011-07-12 18:17:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アータ、どう見てもここ最近の切り裂き魔……グワーッ!?」ネザークイーンは仰け反った。「バァーハハハハ!」プロセッサーの投げたスモーク弾がネザークイーンの足元で炸裂し、キラキラと輝く煙が包み込んだのだ。意外にも知性的存在!「待て!」さらに上がってきたのはヤモトである。

2011-07-12 18:22:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ゲホッ!ヤモト・コキです。ゲホッ!」ヤモトは咳き込みながら、煙幕越しにオジギした。「逃がさない!」「バァー?お前もニンジャだと?」プロセッサーが小首をかしげる。「ニンジャ・オイランの内臓はどんな味がするんだァー?」手首に嵌めた無骨な爪をカチカチと鳴らす。

2011-07-12 18:25:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だが俺はリスクヘッジは慎重なんだよォー!ウデマエのわからぬ相手二人を一度に相手にするほどバカじゃねェー!サラバ!」プロセッサーはいきなり踵を返し、ビルの隙間に躊躇なく飛び降りる!「今ので興奮してもっともっと殺したくなったァー!バァーハハハハ!」

2011-07-12 18:31:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

なんたる捨てゼリフか!二者は憤慨し、後を追って飛び降りる。その路地裏はしかし既に無人……!「どうしよう!」ヤモトがネザークイーンを見る。「こういうときはアレよ。サーペントの暗号だか何だか、ミヤモト・マサシのアレよ!」ネザークイーンはジメジメしたアスファルトに膝をついた。

2011-07-12 18:47:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こういう時はニンジャソウル痕跡を読み取るのよ。アータまだ出来ないのね?」「……出来ない」「練習すれば出来るようになる……こっち!」ネザークイーンは入り組んだ路地の先を指差す。「まだ生暖かいわ!行くわよ!」

2011-07-12 18:51:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どうしたこりゃあ!?」シルバーキーが素っ頓狂な声を上げた。無理もない!バシダ・サイバネ施療院の扉は無用心にも開け放しになっており、待合室の壁紙は鮮血で縦横に汚されていたのである。「頼むぜ!勘弁してくれよ!こんなのって無いぞ!」たまらずシルバーキーは壁を殴りつける。

2011-07-12 19:17:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「死体は無い。少なくとも」素早く中をあらためたニンジャスレイヤーが待合室に戻ってくる。シルバーキーは首を振って悔しがる。「死体は無いったって……キョートからこんな長旅して……セキュリティちゃんとしろよコラー!拉致でもされたのかよオラー!」四つん這いになり床を連続パンチ!

2011-07-12 19:28:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オヌシのテレパスで探知できんのか」「ブッダファック!そりゃ、出来るならとっくだぜ」シルバーキーは受付カウンターのダルマをつかんで床に投げつけた。「だがダメだ。このクソ人口密度じゃわかりようがねえんだ。バシダ=サンはニンジャでもクローンでもない、特徴の無いただの人間だしな」

2011-07-12 19:33:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バシダは闇医者だけに、その顧客も多種多様であるはず。日頃から自分の身に危害が及ばぬよう、ナリコや超音波シシオドシ、剛性強化チタンフスマ等の対策がなされていたはずである。この区域自体が私設警備員の警戒区域でもある。自分で中から開けない限り、そう簡単に賊徒の侵入を許す事など無い……

2011-07-12 19:46:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「行くぞ」「え?」シルバーキーは顔を上げた。ニンジャスレイヤーは壁の血を指でなぞり、「まだ乾いていない。ついさっきまで人がいたのだ。この血を壁につけた者が。バシダ=サンの血で無い事を祈りたいところだが、悩んでも時間の無駄になるだけだ」

2011-07-12 19:59:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」そしてニンジャスレイヤーは床を示した。靴底を引きずったような足跡。「……これを辿る」

2011-07-12 20:01:41