ハイヌ－ン・ニンジャ・ノーマッド ＃4
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
【今回のエピソード】 ・「ニンジャスレイヤーPLUS」に掲載の過去編エピソード ・時系列は戦国時代のどこか ・ニンジャスレイヤーはネオサイタマだけでなく、過去にもさまざまな時代、さまざまな場所に存在した ・ニンジャスレイヤーとなった主人公「キルジマ」は、薬師の「ユフコ」に命を救われた
2020-10-21 19:53:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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【これまでのあらすじ】 ・街道街オミノロシは、冷酷な代官の支配下にあった。 ・キルジマはユフコに別れを告げ家を出た。 ・次の日の正午、キルジマは代官の伝令がニンジャであると見抜いており、庄屋屋敷の前でこれに挑みかかった。 ・一方、密告を受けたユフコのもとには謎の虚無僧が現れ……。
2020-10-21 19:57:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「なるほど、モルヒネ茶を飲ませたか」虚無僧は薬研と薬棚に一瞥をくれてから、ユフコになど目もくれず、囲炉裏へと進んだ。そして灰の中へと、おもむろに手を突っ込んだ。「あッ、あッ」ユフコは何かを云おうとしたが、この男の異様な存在感と行動に気圧されて声が詰まり、棒立ちとなった。 0
2020-10-21 20:00:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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一拍遅れて頭が働き、あの老人の言葉がユフコの脳裏に響いた。(((庄屋さんの知恵とツネオ＝サンの計らいでもって、消えてもらいましたがね。とはいえこの女自体は、ケシを精製する貴重な薬師なもんで、生かしておいたわけですよ……))) 1
2020-10-21 20:03:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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自分はずっと町の者たちから監視されていたのか。夫は謀殺されたのか。……自分は何と愚かであったか。無念と怒りが、涙となってユフコの頰を伝った。だが、体は恐怖に凍りついたままだった。 2
2020-10-21 20:06:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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直後、この男の柔道着の背中に白く縫い取られた禍々しい鶏の紋章が目に入った。ユフコは戦慄した。ミナトノクニの紋ではない。知る限りどの家の紋でもない。ならばこの紋は何か。その時、三日前の晩に囲炉裏の炎の中で灼き払われた紋章が、ユフコの脳裏に蘇った。あの紋と全く同じだ。 3
2020-10-21 20:09:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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ならば、この虚無僧は。あの鋼鉄の星の投擲者か。ならば、全てはキルジマの云った通りであったか。ならば、熱に浮かされた落武者の、痛々しい妄想などではなく。ならば。ならば。ユフコの視界が拍動に合わせて揺らぎ、視界が回転し始めた。 4
2020-10-21 20:12:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「梃子摺らせおって」虚無僧は忘却という灰の奥深くから、禍々しい鉄の星を掴み取っていた。最早ユフコなど意識の外にあるかのように、不吉な嗄れ声で独りごちた。「ニンジャスレイヤー＝サンめ、このコッカトリスから逃げ切れるとでも思うたか」 5
2020-10-21 20:15:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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落武者への盲目的な殺意と投網をもって、足軽八名は意気揚々と庄屋屋敷に突入してきた。砕けた箪笥の影から飛び出したニンジャスレイヤーは、これを右へ左へと切り捨て、逆に殺していった。 7
2020-10-21 20:21:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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天井は高く、刀を振るうのに、何ら支障はない。屋敷の中はたちまち血に塗れていった。死に損ない、苦痛に呻く足軽たちの悲鳴で、屋敷内が満たされてゆく。床には腕、頭、足、大腸などが転がり、刃は血と脂でぬめり始めた。地獄が現出したかのごとき有様であった。 8
2020-10-21 20:24:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ア、ア……！」「何て奴だ……！」投網と短刀を構えた若い足軽二人、この有様を見て失禁。しかし足軽に退却は許されぬ。廊下で、落武者を挟みうちにした。左右から同時に突き進む。「「イ、イヤーッ！」」「イヤッー！」キルジマはまず右の足軽の投網を切り裂き、そのまま首を刎ねた。 9
2020-10-21 20:27:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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直後、短刀を構えて突撃してくる後ろの足軽に向かってノールック刺突を繰り出し、情け容赦なく腹を抉った。血と腸がこぼれ落ち、足軽は泣き叫びながら廊下を転がった。「俺を憎め、ニンジャを憎め……」キルジマは無慈悲に云い捨てた。 10
2020-10-21 20:30:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「活きのいいやつだ、ニンジャスレイヤー＝サン！」後方からトゥームストーンの笑い声が聞こえた。鳳凰の絵が描かれた土壁を破壊しながら、屋敷内へと乗り込んできたのだ。血と脂で覆われたニンジャスレイヤーの刀を見ると、トゥームストーンは面頰（メンポ）の奥で残忍な笑みを浮かべた。 11
2020-10-21 20:33:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「足軽ごときで俺を殺せると思ったか？」ニンジャスレイヤーは肩で息をしながら、破れ霞を構えた。「かかかかかか！」トゥームストーンは再び大上段に構え、嘲笑った。「足軽でニンジャを殺せるなどとは思っておらぬわ。奴らはただの、血と脂の詰まった袋よ」 12
2020-10-21 20:36:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「……見るがいい、ニンジャスレイヤー＝サン、貴様のその刃を。どれほど強く鍛え上げられ磨き抜かれた名刀でさえ、数名人を斬れば、それ、その通り、鈍刀と変わらぬわ」トゥームストーンが言い放った。両者の足元は血でぬめり始めている。「……お主らニンジャを、皆殺しにする」「ほざくがいい」 13
2020-10-21 20:39:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「イヤッー！」ニンジャスレイヤーは殺意を収束させ、壁を蹴ってトライアングル・リープを決め、切り掛かった。だが、トゥームストーンはまたもこれを弾き返した。カタナで受け止めたにも関わらず、キルジマの体は浮き上がり、体勢を崩した。 14
2020-10-21 20:42:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「イヤーッ！」「グワーッ！」トゥームストーンの前蹴りを受け、ニンジャスレイヤーは後方へと弾き飛ばされた。だが今回はカラテ防御が効いている。キルジマは空中で制動を行った。そのまま片手連続側転を打ちながら、オイランの描かれた黄金襖を突き破って奥の畳部屋へと着地した。 15
2020-10-21 20:45:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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足裏が畳を擦り、ブスブスと焦げ跡を作る。上等な畳だ。そこは庄屋の部屋であった。「アイエエエエエエエ！」庄屋は貸付帳簿の山と小判を抱きかかえながら、腰を抜かし悲鳴を上げた。キルジマは庄屋になど目もくれず、全身の激痛を歯嚙みでこらえながら破れ霞を構え、トゥームストーンに備えた。 16
2020-10-21 20:48:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「アイエエエエエ！お、落武者！？いや、落武者の、ニンジャ！？あ、あの薬師のアバズレめ……とんだ災厄を招き入れおってからに！ツネオ＝センセイ、いや、トゥームストーン＝サン！今すぐ殺ってください！今すぐそいつを殺ってくださいーッ！」狼狽した庄屋が、後方で声を震わせ失禁していた。 17
2020-10-21 20:51:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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キルジマは微かに眉根を寄せた。薬師。ユフコ。……匿ったことが奴らに知られていたのか。額に巻かれた包帯から血が滲み、キルジマの足元に垂れた。 18
2020-10-21 20:54:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「死ぬがいい、ニンジャスレイヤー＝サン。貴様のカラテなど児戯に過ぎぬ。ここが貴様の御仏壇だ」戸口からトゥームストーンが現れた。廊下でのたうちまわる足軽の頭を、虫か何かのように踏み砕きながら。 19
2020-10-21 20:57:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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キルジマの記憶が混濁し、焼け落ちる己の屋敷が重なった。憎悪が束ねられ、重なり合った。ニンジャ憎し。ニンジャ殺すべし。ニンジャ……殺すべし……！「イヤッー！」ニンジャスレイヤーは切り掛かった。「イヤーッ！」トゥームストーンが迎え撃つ。 20
2020-10-21 21:00:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
両者、斬り結ぶ。だがカラテの業前は依然として、トゥームストーンが格段に上である。「無駄な足掻きを！」トゥームストーンはこれを自暴自棄な突撃と見做した。だがその時。「ナラク！」キルジマは叫んだ。刹那、両目の瞳がセンコのように細く収束し、頭髪が根元から毛先へと一瞬で白く変わった。 21
2020-10-21 21:03:00