福嶋亮大『らせん状想像力』読書メモ集

福嶋亮大『らせん状想像力―—平成デモクラシー文学論』(新潮社、2020)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

村上春樹を筆頭にして、平成の作家たちは虚無感や空白感を広く共有していたように思われる。彼らにとっては、何も確かなものがないということだけが確かなのである。私の考えでは、平成文学の核心はその虚無を迷宮に変えたことにあった。by福島亮大『らせん状想像力』23

2020-10-24 13:12:11
荒木優太 @arishima_takeo

私の見立てでは、平成文学は大正文学のプログラムを再来させたところがある。by福島亮大『らせん状想像力』16

2020-10-24 13:14:32
荒木優太 @arishima_takeo

ネットの評論家も「気持ちは分かるが落ち着こう」と大衆をなだめる代わりに、むしろ大衆の扇動者と化している。だからこそ、露悪的に「正しくないこと」をやりたがる政治家や芸人も出てくるのだ。この二極化した状況はきわめて貧しいが、状況は当分変わらないだろう。by福嶋亮大『らせん状想像力』

2020-10-24 16:19:18
荒木優太 @arishima_takeo

分かりやすく言えば、昭和の政治的文学がプロレタリア文学であったとすれば、令和の政治的文学はLGBT文学である。by福嶋亮大『らせん状想像力』97

2020-10-24 16:20:33
荒木優太 @arishima_takeo

平成とは文学者が自殺しなくなった時代だと要約することも不可能ではない。by福嶋亮大『らせん状想像力』102

2020-10-24 16:22:22
荒木優太 @arishima_takeo

「思考や意識の創出される場を保つために、文学は主体あるいは主観をケアをし、その劣化を防ぐ牧人であるべきではないか(この言い方は後期ハイデッガーが人間を「存在の牧人」と呼んだことを踏まえている)」(福嶋亮大『らせん状想像力』160)。劣化とは。

2020-10-25 16:06:21
荒木優太 @arishima_takeo

栄光は過ぎ去り、すべては終わった――、そう言うのは簡単だが、幸か不幸か文学は絶滅しそうにない。平成文学に求められたのは、むしろ撤退戦を生き延びるための新たな認識や手法ではなかっただろうか。by福嶋亮大『らせん状想像力』165

2020-10-25 16:11:24
荒木優太 @arishima_takeo

大江と村上は恐らく、解決できない問題を解決するためには、人格から人格への、あるいは物語から物語へのトランジット(乗り継ぎ)が必要だと考えている。彼らにとって、少年は物語の中継が行われる文学の空港のようなものであった。by福嶋亮大『らせん状想像力』175

2020-10-25 16:14:12
荒木優太 @arishima_takeo

「村上龍と村上春樹の違いは、まさにこの偶然性の扱いに凝縮されている」(福嶋亮大『らせん状想像力』183)。ほう。

2020-10-25 16:15:25
荒木優太 @arishima_takeo

小説とは世界との根源的不適合から生み出された交渉の技術なのである。by福嶋亮大『らせん状想像力』234

2020-10-25 16:16:09
荒木優太 @arishima_takeo

福嶋亮大『らせん状想像力』読了。感想はしかるべきところに!

2020-10-25 16:17:51