『真智の火のゆくえ』レビュー by山内マリコ

山内マリコさん(@maricofff)による文芸あねもね(http://charity-d.jugem.jp/)収録作品、豊島ミホさん作「真智の火のゆくえ」のレビューです。
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@bungei_anemone

こんにちは! いよいよ「文芸あねもね」明日発売です! FeelLoveに掲載されている作品解説の叩き台原稿(ボツともいう)をもとに、ちらほらレビューをつぶやきたいと思います。前情報ナシで読みたい派の方は無視してくださいね! そうじゃない方はスルーしないでください…(;人;)(マ)

2011-07-14 18:10:35
@bungei_anemone

豊島ミホ『真智の火のゆくえ』1:青春とは肥大した自我との闘いである。思春期にブクブクに肥った自我を縮小する作業に他ならない。自分はスゴい、ほかの人とは違う、かなり特別、ていうかあたしって天才かも…。そう思っていた自分が、実は全然大したことのない、

2011-07-14 18:12:02
@bungei_anemone

豊島ミホ『真智の火のゆくえ』2:それどころか余裕で「普通」の範疇に収まることを、渋々ながら認めていくプロセスである。地方から上京して美大に通う主人公・真智。幼馴染みの将也とのこじれた関係に加え、美大では才能を持つ者と角突き合わせる日々を送っている。

2011-07-14 18:21:58
@bungei_anemone

豊島ミホ『真智の火のゆくえ』3:美大といえば『ハチクロ』ですが、あの素晴らしく心優しい青春は、完全に美大ファンタジーだと、三流芸大出身のわたしは思うわけです。真智が送る学生生活の方が、より率直に美大生のドロドロした心理を描いていて、

2011-07-14 18:23:44
@bungei_anemone

豊島ミホ『真智の火のゆくえ』4:結果、自分が芸大生だったころのヘドロのような鬱屈、懊悩がもりもり掘り起こされた。才能のある奴はみんな死ね、と思っていたくらい、自分のことが可愛かったのだ。

2011-07-14 18:27:39
@bungei_anemone

豊島ミホ『真智の火のゆくえ』5:この種の腹黒い葛藤を抱くのは、自分の中に「なにかある」若い人の義務であり特権でもある。なにかを持っている若い人は苦しい。真智の「火」の行方、つまりは一人の若い女の子の青春のはじまりから終焉までが、恐ろしく率直に、容赦のない筆致で描かれている。(マ)

2011-07-14 18:31:19
@bungei_anemone

豊島さんの作品は、話題性&内容&量、すべてに於いて、「文芸あねもね」の看板的作品ですが、その魅力は伝わったでしょうか?? 伝わってるといいのですが…(マ)

2011-07-14 18:35:59
@bungei_anemone

ちなみにわたし、豊島さんの「やさぐれるには、まだ早い!」が大好きで、同じ地方出身者として、帰郷を決めたあたりからの流れは猛烈に胸に響きました。「でも私は、もう『何か』にならなくていい。田舎町の、私がいい。」涙なくしては読めません…。(マ)

2011-07-14 18:40:05
@bungei_anemone

感傷にひたっているその直後、「しかしぶっちゃけ、田舎、もう飽きた。」と、ハナクソでもほじっているような気の抜けた一節があり、「えええええ!?」わたしは心の中でズッコケましたとさ。めでたしめでたし!(マ)

2011-07-14 18:42:51
@bungei_anemone

できれば「底辺女子高生」と「やさぐれるには、まだ早い!」をドッキングさせて、「下妻物語」のような、ややスットコドッコイな感じの、清々しい感動を呼ぶ、女の子のエバーグリーン青春映画の名作にしてほしいんですけど、誰か作ってくれないかなぁ〜。脳内ではもう上映済みですがね!(マ)

2011-07-14 18:47:01