南相馬市の汚染マップ作成、その証言まとめ

南相馬市の汚染マップ作成参加者さんの証言 貴重な詳細な証言で、後に読んでも除染などの参考になるためまとめました。
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中熊 弘隆 @nakaguma3

今回のチェルノブイリ救援中部による南相馬市の汚染マップ作りは、第1回目として3次に分けて実施された。各6班に分かれ、それぞれが30ポイント前後の測定を二日間の日程で実施。正確を期すため、線量計はウクライナ製の同一機種。各ポイントは、住民が日常頻繁に使用する生活道路。

2011-07-10 23:07:48
中熊 弘隆 @nakaguma3

南相馬市における放射線測定1 今回お伝えする高濃度汚染地帯で進行中の恐るべき現実は、高性能の線量計が示した数値と、地元住民、各地区の区長、民生委員、社協職員、商店主、医療ボランティア、そして子ども達の証言に基づいており、極めて信頼性の高いものです。

2011-07-11 06:32:59
中熊 弘隆 @nakaguma3

2 今回の測定活動には沢山の参加希望があったらしい。チームリーダーの神谷氏によれば、「50~60代の精鋭部隊を編成しました」とのことだが、その中に僕も加わっているということは、単に年齢だけで選んだんだろ、なんて勘ぐりたくなるが、僕以外は確かに精鋭であることに違いはない。

2011-07-11 07:52:51
中熊 弘隆 @nakaguma3

3. 活動の基本方針は、①住民が日常頻繁に往来する生活道路、学童の通学路の舗装側を、予め地図上に指定された箇所で、地上1センチと1メートルで測定し、記録紙に記入していく。測定器は統一のものを使う。②作業中に、付近の住民から自宅や土地の測定を依頼されたら、そちらを優先的に実施する。

2011-07-11 08:07:44
中熊 弘隆 @nakaguma3

4. ③指定ポイント以外の場所で計測する場合は、各自持参の線量計を使用してもよい。ただし公式記録には残さない。④各班には、地元の区長や民生委員が案内人として同行し、移動は車で行う。⑤余震や津波等の非常時には地元の人の指示に従い、後は自己責任で行動する。以上が基本方針。

2011-07-11 09:01:07
中熊 弘隆 @nakaguma3

5. 僕は第一班に指名され、測定地は鹿島区の山沿い地帯。南相馬市の中でも最も線量が高いとされている地域だ。僕以外のメンバーは、リーダーの神谷氏と地元の区長さん。この地区は、ほとんどが農家で、三号機爆発後に大半の他の市民と一緒に、飯舘村や、福島市へ向かって非難した人たちだ。

2011-07-11 09:22:45
中熊 弘隆 @nakaguma3

6.当時の経緯については別の機会に詳しく報告するが、避難後1ヶ月近くにもなって、故郷の方が自分たちが今いる場所よりも線量が低いことを知らされ、再びほとんどの住民が帰ってきたのだ。一家で自主避難を続けている世帯もあるがそれは例外。だから空き家は少ない。

2011-07-11 09:31:53
中熊 弘隆 @nakaguma3

7. 最初に向かったのは、予定地域最奥の山間部。チェル救の測定器は0.3μSv/hを超えると警告音が鳴る。海側から、山へ向かって進むと、急激に線量が上がり、普段は電源を切っておかないとやかましくてやってられない。最初のポイントは椎の木林の脇のアスファルト道路。地表1.5空間1.2

2011-07-11 10:37:36
中熊 弘隆 @nakaguma3

8. 思ったより低かったので、試しに林の中も測ってみた。やはり1.5。しかし空間線量も高く、あまり下がらない。どこを測ってもそう大きな差はなかった。僕らは少し不思議に思いながらも次の測定点に向かった。民家が点在する付近まで下りてくると、道路上の数値はどこも同じようなレベルを示した

2011-07-11 10:52:17
中熊 弘隆 @nakaguma3

9. 地表1.5~1.2 空間1~0.8、平したように一定している。民家脇の側溝や、水路沿いは必ず高く出ると思い試しに測定してみる。ところが逆に低い。アスファルトの路面が、1.5あるのに、側溝は0.8しかない。水路も低い。これはどうしたことか、神谷氏と僕はしばし途方に暮れた。

2011-07-11 11:08:39
中熊 弘隆 @nakaguma3

10. このとき僕と神谷氏が出した結論は次の通り。区長さんによると、4月以降この地域には何度も大雨が降っている。この時、路面に降り積もった放射能のうち流れやすい状態のものは全て流れてしまった。水路に集まった雨水は、傾斜地で勾配もあるため、一気に流れ下った。

2011-07-11 11:28:02
中熊 弘隆 @nakaguma3

11. つまり、放射性物質はコンクリート面への沈着の機会を与えられなかった。激しい流れは、直接水路に降り積もった放射性物質もかなり剥ぎ取っていったのだろう。だから、水路が低い。この事実は、汚染初期の段階では、水による除線がかなり効果があることを物語っているのではないだろうか。

2011-07-11 11:41:30
中熊 弘隆 @nakaguma3

12. では、今現在路面で放射線を出している奴らは、どんな状態なのだろう。神谷氏によれば、これらは、アスファルトやコンクリートの成分に非常に強く吸着していて、家庭用高圧洗浄機くらいでは、落ちないという。消防の高圧放水車に搭載された放水器を使えば多少は効果があるかもしれないとのこと

2011-07-11 12:09:32
中熊 弘隆 @nakaguma3

13. 面倒な奴らが残っているわけだ。さて、僕らが路上の計測作業をしている間、区長さんは、幼い子どものいる家や、一人暮らしの老人世帯など、気になる家に声をかけて回った。ほとんどの住民の方が喜んで僕らを向かい入れてくれた。いよいよ我がシンテック君にも出番が回ってきた。

2011-07-11 12:52:26
中熊 弘隆 @nakaguma3

14. ここからは、住民の証言を加えながら話を進める。南相馬市は30キロ圏内にあるため、県や国の役人や「偉い先生方」が度々訪れる。彼らは集落のどこか適当な場所1カ所を測定し、「ここは安全。何の心配もありません。水も食べ物も安全」と判を押したように同じことを言って帰るそうだ。

2011-07-11 13:34:46
中熊 弘隆 @nakaguma3

15. こんな連中の話を鵜呑みにするほど住民は愚かではない。危険に決まっている。でもどの程度危険なのか、家の中は安全か、洗濯物は外に干して良いのか、窓は開けて良いのか、ほとんど全ての住民が不安な毎日を送っている。特に幼い子を持つ母親の苦悩は深刻だ。

2011-07-11 13:58:06
中熊 弘隆 @nakaguma3

16. ある一人暮らしのおばあちゃんは、「不安で不安で夜も眠れない。」家中測って下さいと僕らに懇願した。僕らは、まず家屋周辺で最も線量が高くなる雨樋の排水口付近から測定を始めた。排水口直下と10センチ、30センチと少しずつ離して測定を繰り返す。

2011-07-11 14:09:09
中熊 弘隆 @nakaguma3

17. その後、二手に分かれて家の内外を住人の求めに応じながら繰り返し測定する。大半の住人は、ノートに数字をメモしながら僕らの後をついて回っていた。子どもがいる家では、子ども部屋を徹底的に時間をかけて測定した。家庭菜園で野菜がある家では、畑の土壌と、作物の周辺、物干し場の下も。

2011-07-11 14:22:44
中熊 弘隆 @nakaguma3

18. 子ども達の多くはペットの犬や猫の健康を心配していた。一時的にせよ犬や猫を置き去りにして自分たちだけ避難したことを悔やんでいる。自分たちがいない間、外で沢山放射能を浴びたのではないかと心配なのだ。しかし沢山被曝したのはむしろ避難した子ども達の方なのだが…。

2011-07-11 14:48:03
中熊 弘隆 @nakaguma3

19. この日の家屋周辺の測定結果と、線量をうけての僕らの対応は次の通り。雨樋排水口の下はやはり非常に高かった。大体10μSv/h以上が出る。この日の最高値は22μSv/hだった。しかし、10センチ離すと半分になり、30センチ離すとほぼ周囲の線量と同じになる。

2011-07-11 15:03:07
中熊 弘隆 @nakaguma3

20. 僕らは、住人に線量計の数値を見せながら、高レベルで汚染された部分は狭い範囲だから、この部分の砂利や土を5~10センチ程度の深さでいいから、できるだけ早く取り除くよう勧めた。幼い子を持つ20代と思われる男性が、「どんな風にやるんですか?」と聞くので、試しにやってみた。

2011-07-11 15:17:34
中熊 弘隆 @nakaguma3

21. まず、小さなスコップで線量計が入るだけのスペースの砂利だけをどけて測定し直すと、それまで10μSv/hだった線量が、いっきに4.5にまで落ちた。「更に5センチ土を削ればもっと下がります。」と言うと、彼は「後は自分でできます。」と答えた。

2011-07-11 15:31:53
中熊 弘隆 @nakaguma3

22. 家屋の庭の線量は、どこも1.5程度だった。道路よりも少し高いくらい。屋根付きの駐車場などは、思ったより下がらず、1.2くらい。これは多分、汚染物質がタイヤに付着して、常に持ち込まれることが原因と思われるので、頻繁に泥を水で洗い流すことを勧めた。

2011-07-11 16:36:05
中熊 弘隆 @nakaguma3

23. 駐車場の屋根の雨だれが落ちるところはやはりかなり高い数値を示していた。日当たりの関係でそのあたりの上をもの干し場にしている家が多く、場所の移動と、帯状に広がっている高汚染部分の土の除去を勧めた。

2011-07-11 17:00:15
中熊 弘隆 @nakaguma3

24. 除去した土や砂利は、まとめて厚手のビニール袋を何枚も重ねた中に入れ、庭の隅に深い穴を掘り埋めること、絶対に家の外には持ち出さないことを約束してもらった。庭の苔の上はやはり非常に高いことが多く、除去を勧めた。

2011-07-11 17:15:48
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