原島 博 先生(東京大学名誉教授)特別講演「歴史は情報メディアの進化をどう見るのか?」@静岡大学 創造科学技術大学院 研究フォーラム(2011/07/14)
[原島先生講義メモ2] 「地球の時代」のつぎは「宇宙の時代」.SFは宇宙の時代を予想.20世紀後半の宇宙ブームはその準備だったか.ロケット初打上げから12年で月まで往復した.しかし冷戦が終わり,宇宙開発競争に終止符.宇宙に新大陸(新惑星)がなければ,地球上に新大陸を探すほかない.
2011-07-15 22:33:32[原島先生講義メモ2] その1つの可能性は資源とエネルギーを消費しない「情報新大陸」の構築.20世紀後半から21世紀前半の情報化ブームはその準備だったかも.地球上の全てのコンテンツをネットワーク化.情報技術は,地球持続のためのキーテクノロジーになる.
2011-07-15 22:34:35[原島先生講義メモ2] 情報新大陸の探求は本質的な解決か?もしかしたら一時的な延命かも.もっと重要なことがあるかも.もう一度歴史を振り返ってみる.歴史の教科書の近代の始まりの記述は,(1)ルネサンス,(2)地理上の発見,(3)宗教改革.
2011-07-15 22:50:08[原島先生講義メモ2] 中世から近代への切り替え機には,人間観,価値観の変革があった.時代の区切り目には,次の時代の指導原理の発見がある.古代から中世は,ギリシャ・ローマ文化と三大宗教の始まり.中世から近世は,ルネサンスと宗教改革.近世から次世へは?
2011-07-15 22:51:35[原島先生講義メモ2] 文明の見直し.「見直す」という言葉には次の2通りの意味がある.(1)改めてみとめる,(2)誤りをだたす.昔の文化を改めて認める,学問(価値観)の誤りを正す.(1)に対応する新ルネサンス,(2)に対応する新宗教改革は?キーワードはとりあえず「文化」.
2011-07-15 22:56:26[原島先生講義メモ2] "Art is long, life is short." 本当は「人生は短いけど,技術の習得には長い時間が掛かるよ」という意味.ルネサンスの時代,芸術と技術は一体.近代は,芸術と技術を切り離していた.
2011-07-15 22:58:20[原島先生講義メモ2] ルネサンス期にあって,今ないものを思い出す.科学技術と文化芸術,理性と感性.それを復興.宗教改革に相当するのは「科学改革」.しかしそれは科学の否定ではない.宗教改革も宗教の否定ではなかった.
2011-07-15 23:00:13[原島先生講義メモ2] 新ルネサンス:近代はものの豊かさ.もう一度心の豊かさをもたらす「文化」の大切さを見直そう.新宗教改革:科学を絶対的なものと見るのではなく,「文化」と言う人の営みの一つとして位置づけよう.経済も同じ.経済は文化の僕(しもべ)である.
2011-07-15 23:01:29[原島先生講義メモ2] 日本では「文化」は当たり前のことではない→その重要性のアピールから必要.文化を目指す科学技術研究をどう推進すべきか→その筋道を示すところから始めないといけない.レールがあればトップデータは示せるが,なければ道筋から示さないといけない.
2011-07-15 23:03:57[原島先生講義メモ2] なぜ文化なのか?我慢我慢だけでは人はやっていけない.ものの豊かさから心の豊かさへ向けた価値観の転換.長生きすれば幸せなのか?生き甲斐を見つける.→科学技術で文化を支える.
2011-07-15 23:05:48[原島先生講義メモ2] 工学の二つの顔.(1) 応用理学としての工学(理工学).(2) 文化創造学としての工学.工学も「インフラ」→「文化」の時代へ.これからは,インフラに加えて,その上にいかなる文化を築くかが重要.技術インフラ(構造)と文化(意匠)が共存する建築分野はお手本.
2011-07-15 23:08:10[原島先生講義メモ2] デザインを必修科目にした方がいい.デザインは表現科目.頭の中のものを形にする.「真善美」これからはこの3つの教育が大事.いままでは前2つ.近代は,物を作ることで工学が役立ってきた.今後は工学は文化創造学!!!(おわり)
2011-07-15 23:09:40[原島先生講義メモ:質疑] ネットは匿名社会というより,匿顔社会と言えるのではないか.(なるほど.確かに名前は見えていても顔が見えないというのは,その人のキャラクタを人相に縛られないため普通の社会とは違うことができる.イケメンキャラ≠イケメン.でも名前を隠す必要はない.)
2011-07-15 23:15:22[原島先生講義メモ:質疑] ヴァーチャル,グローバル,パーソナルが今まで重要なキーワードがったが,今後はリアル,ローカル,コミュニティが重要なキーワードになる可能性がある.
2011-07-15 23:18:19[原島先生講義メモ:質疑] 「工学が文化創造学となり,主観的な価値観が評価の大きな軸に入るとする.主観は人間・環境・時代で変わる.研究の進め方はどう対応すべきか.客観性を失わないか」と私が質問.(続く)
2011-07-15 23:28:12[原島先生講義メモ:質疑] (続き)「自分自身が社会になり.自分が使ってみる.研究者としての自分とユーザとしての自分.いろんなレベルでのオープンスパイラルモデルでアウトプットとインプットを繰り返す」と答えていただきました.人とたくさん話すことが大事と.ありがとうございました.
2011-07-15 23:30:07[原島先生講義:まとめ] つまり結論を3行で言うと,「工学はインフラだけでなく文化も作ろう.文化創造学.真善美の"美"も学んでセンスのある技術,センスのある物を作って文化を創っていこう.」ということかな.
2011-07-15 23:37:12◆文化◆ 「この非常時に文化は贅沢だ」と言われる。本当にそうなのだろうか。むしろ、世の中が厳しくて、そこに生きることが辛いとき、人は文化を必要としてきたのではないだろうか。苦境を生きる術(すべ)として、文化を生みだしてきたのではないだろうか。
2011-07-17 07:46:23