エレン先生、日本の終身雇用を語る

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uroak_miku @Uroak_Miku

「終身雇用」は日本の雇用制度の特徴と言われてきましたが、これの語源が日本語ではなく英語、それも日本の会社構造を分析したアメリカ人経営学者の著作が初出だって皆さん知ってましたか?

2020-11-16 11:45:29
uroak_miku @Uroak_Miku

日本の心理学者が国際学会に出席して、自分の患者の症例を紹介したら「入社してより何十年も移籍しないなんて何か重い症状があるに違いない」とアサッテな論議が出席者のあいだで始まってしまって面食らったといいます。疑問にも特殊にも思わなかった事柄をいちいち客観視しないと伝わらない苛立ち。

2020-11-16 11:48:58
uroak_miku @Uroak_Miku

1958年の著作で、日本の雇用システムにメスを入れた。①終身雇用、②年功賃金制、③毎年の一斉採用、④新人社内育成、⑤社内組合 この五つを特徴として抽出し、近代化で失われた共同体を会社が継承しているのが日本と分析。 pic.twitter.com/bfHbJd81Oc

2020-11-16 21:29:23
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uroak_miku @Uroak_Miku

oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/cont… 当時のアベグレンは把握していなかったようですが、もうひとつ大きな特徴に「季節工」がありました。

2020-11-16 21:41:07
uroak_miku @Uroak_Miku

ああ、正しくは「臨時工」ですね。1950年に朝鮮戦争が勃発し、日本は戦争特需に沸いた。どの産業も人手不足となり臨時採用の「臨時工」を増員。

2020-11-16 21:42:49
uroak_miku @Uroak_Miku

1960年代すなわち「所得倍増計画」の10年間は、労働力は売り手市場で「臨時工」は激減。皆「正規工」として入社。入れ替わりに主婦を主力とする「パートタイマー」が増加。

2020-11-16 21:46:15
uroak_miku @Uroak_Miku

奥様のアルバイト―夫には喜ばれ,社会にも参加できる (1964年) (カッパ・ブックス) 影山 裕子 amazon.co.jp/dp/B000JAF1S2 新幹線開通、東京オリンピック開催の年。「パートタイム」の呼称は当時普及していなかった。

2020-11-16 21:48:30
uroak_miku @Uroak_Miku

>臨時工が問題であった頃は労働行政でも労働基準局が中心であったのに対し,パートタイマーが登場すると婦人少年局が取り上げるようになる。 oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/cont…

2020-11-16 21:49:51
uroak_miku @Uroak_Miku

>同局は 1965 年に『パートタイム雇用の調査』をまとめた後,1967 年に「女子パートタイム雇用に関する専門家会議」を開催し,1969 年 2 月に報告を取りまとめ,『パートタイム雇用の現状と課題』(日本労働協会)として刊行した。

2020-11-16 21:50:41
uroak_miku @Uroak_Miku

>パートタイマーは補助的労働者という認識が社会の全員に共有されることによって,人員整理においてパートタイマーから優先的に雇用終了することも当然とみなされることになる。

2020-11-16 21:51:37
uroak_miku @Uroak_Miku

>これが現実化したのは,1970 年代半ばの石油危機以降の雇用調整であった。

2020-11-16 21:52:10
uroak_miku @Uroak_Miku

>企業は雇用調整助成金等を最大限活用することによって男性正社員の雇用をできる限り守ろうとする一方で,パートタイマーなど企業との結びつきの弱い人々から真っ先に整理していった。

2020-11-16 21:53:04
uroak_miku @Uroak_Miku

>当時は誰もそれに疑問を呈することはなかった。かつての臨時工と同じような機能を果たしながら,それが社会問題を生み出さないという会社としては大変ありがたい存在であった。

2020-11-16 21:53:55
uroak_miku @Uroak_Miku

>こうした感覚は 1980 年代にはより強まっていた。1983 年に出た読売新聞婦人部編『パートに出たら』では第 3 章の「職場での心得と対策」の前に第 2 章「家庭への影響と配慮」が配置されており,新聞読者層の一般感覚としてパート問題が労働問題よりも主婦問題として認識されていたことを示している

2020-11-16 21:55:51
uroak_miku @Uroak_Miku

>即ち正社員たる夫の扶養家族として課税されない限度で働くことを大前提としつつ,その限度を少しでも引き上げることが労働組合サイドにおいてもほとんど唯一の政策 課題とみなされていた

2020-11-16 21:56:38
uroak_miku @Uroak_Miku

>かつての臨時工のように同じ労働者としての平等と差別の問題に苦悩するなどということは絶えて久しくなっていた。

2020-11-16 21:57:11
uroak_miku @Uroak_Miku

>こうした一般的な認識の背後にあって少しずつ進行していたもう一つの動向にも着目しておく必要がある。それは,現実の職場ではパートタイマーが量的にも質的にも基幹的な存在になっていくという動きであった。

2020-11-16 21:59:13
uroak_miku @Uroak_Miku

>パートタイマーがパートタイマーという身分のままで,売場主任になったり,場合によっては店長になったりという事態が,必ずしも異例のことではなくなっていく。

2020-11-16 22:00:03
uroak_miku @Uroak_Miku

>正社員は正社員であるというだけの理由で年々「能力」が右肩上がりで上昇していくのに,パート主任やパート店長はそうではないと言えるのか,ある意味で日本型雇用システムの根幹に疑問を呈するような事態が,この間進行していたのである。

2020-11-16 22:00:45
uroak_miku @Uroak_Miku

そしてですね「バイト」労働者について日本ではろくに研究されてこなかったわけですよ。 pic.twitter.com/uAANjHdRbp

2020-11-16 22:05:06
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uroak_miku @Uroak_Miku

2010年でしたかこれ。恋愛シミュの一大ブレイク作に、高3アルバイトで店長にもとても頼りにされている一つ上の先輩。「バイトさん」ですが彼女なしでは店が回らないほどの信頼と貢献…設定でしたかこのゲーム知らないのであまり突っ込まないように。 pic.twitter.com/sHq2GQ87mx

2020-11-16 22:08:10
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uroak_miku @Uroak_Miku

「契約社員」とか「派遣社員」とか、労働法制上は定義も想定もされていない雇用形態が日本では発生。

2020-11-16 22:09:37
uroak_miku @Uroak_Miku

サンライズの本格SFアニメ『プラテネス』は、宇宙ステーションを舞台にした多国籍多人種世界でありながら住人たちは日本の会社の戯画という、凝った作りでした。 宇宙遊泳での作業部署に契約社員だの寿退社だの、なんというか科学考証と違うところでリアルというか現実感。 pic.twitter.com/FMHXY6fwfb

2020-11-16 22:13:20
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uroak_miku @Uroak_Miku

この大塚さんは東映アニメ入社は「臨時採用」つまり「臨時工」扱いでした。 pic.twitter.com/7cv4ZPDvfR

2020-11-16 22:15:55
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