「マズローの欲求ピラミッド」はもう古い。これからは「ケンリックの欲求ピラミッド」

サピエンスの生態観察 @Sapiensism

" ボームの本からの最大の発見は社会的地位に関わるものだった。霊長類であるオフィスの労働者は、当然のことながら、社会階層における自分の地位を守ったり上げたりするために、優位性をひけらかしたり、なわばり争いをしたり、面と向かって衝突したりしながら絶えずチャンスをうかがっている。” pic.twitter.com/dN4wO2vJLM

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" こうした行動はいずれも、人間ほど社会的かつ政治的な種にとっては珍しいことではない。興味深いのは、いかに人々が、客観的なビジネス用語でそうした社会競争すべてを飾り立て、わかりにくくしているかということだ。 " pic.twitter.com/BRuqK8xJSH

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" たとえば、リチャードはカレンが「足手まとい」だと文句を言うのではなく、「顧客のことを十分に考えていない」と非難する。社会的地位〔＝ソーシャルステータス〕などタブーになっている話題は公に議論されず、「経験」や「先輩」などと遠回しにそれとなく語られる。 "

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" 要するに、人々はたいていの場合、社会的地位を最大に高めるという観点からものごとを考えたり語ったりしないのである。しかしながら、わたしたちはみな本能的にそうやって行動している。" pic.twitter.com/3canROLrGP

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" 実際、人間は表立って、また自分自身にさえ気づかせることなく、じつに巧みにかつ戦略的に自己利益を追い求めながら行動することができるのだ。"

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" だが、奇妙だ。それほどまでに重要な動機を、わたしたちは、なぜはっきりと自覚していないのだろう？ 生物学によれば、わたしたち人間は競争する社会的動物であり、そのような生物に求められるすべての本能を有している。そして意識することは有利に働く────だからこそ発達してきたのだ。 " pic.twitter.com/OBEv2BH0EB

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" ならば、心の奥底にある生物学的な動機についてもむしろ＂意識過剰＂であるほうが理にかなっているのではないだろうか？それにもかかわらず、ほとんどの場合、わたしたちはほとんど故意とも言えるほど、それらに気づいていないように思われる。 "

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" わたしたちは自分の精神のなかにあるこうした動機をまったく感知できないわけではない。そこにあることはわかっている。けれどもそれは自分を不安な気持ちにさせる。そこで精神的に尻込みするのだ。 " pic.twitter.com/cb7nEB0fPi

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( K.Simler & R.Hanson 2018 ー『The Elephant in the Brain：Hidden Motives in Everyday Life / 邦題：人が自分をだます理由───自己欺瞞の進化心理学』 ) amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E3%8…

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うむ、たしかにそうだな… 俺たちホモサピエンスが日頃からやっていることは、生物学というフィルターを通して見てみれば、その他の霊長類と大差ないのかもしれない。

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たとえばツイッターで一見何か高尚な議論を行なっていそうな人たちですら（生物学フィルターを通してみれば）ヤッてるのは、知性の見せびらかしとか、ソーシャルマウンティングのための議論とか、話題のゴシップや噂話への参加とか、仲間づくりとか、お互い「いいね」しあうソーシャルグルーミングだ。 pic.twitter.com/eAC8br7WaR

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そういうふうに言われると「人間を動物扱いするな！」「人間をサルに喩えておちょくって何が楽しいんだ！」と怒り出す人がいるが、＂自分が動物である＂自覚がない尊大な人々に対してはこっちが怒りたいくらいなのである。 pic.twitter.com/zI5lIstati

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まあ、なんとなくお分かりいただけだろうか、進化心理学とは人間の “隠れた生物学的動機/hidden motives” を明らかにする学問である。 それに付け加えてお分かりいただけただろうか：マズローの欲求理論を進化心理学が批判するのは、生物学や進化論の内容をガン無視しているからだ。 pic.twitter.com/LFG72lXLrM

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進化心理学は、マズローのように、「この人は “自分の居場所がほしい” と言ってる！だからこの行動は所属の欲求からきてる！」なんていう単純な結論で話を終わらせることはない。

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所属の欲求からきてる！というが、その所属の欲求とやらはどこからきたのか？それは生物学的にどういう効果を発揮し、どういう目的を達成するためのものなのか？：これこそが物事の本質だろう。

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ちなみに所属欲求は、ホモサピエンスが「自尊心」というシステムを進化させた理由を説明するソシオメーター理論と大きく関連している。この理論によれば自尊心/self-seteemとは、人間が部族集団という群れから追放されないために他人からの評価を自己評価にフィードバックするよう進化したシステムだ。

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言うまでもなく、ホモサピエンスの心が進化してきた環境では、追放はほとんどイコール死を意味した。すなわち、追放という社会的な死を防ぐための心理メカニズムは自然選択を受けて進化し、現在のわれわれにそなわっている。 twitter.com/sapiensism/sta…

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ヒトの行動や意思決定を理解するためには、ヒトの振る舞いにはどんな生物学的動機が潜んでいるのか、ということをいちいち明らかにしていく必要がある。

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たとえば進化心理学の研究は、「この○○運動は “環境保護”のためにやっています！」とハリウッドスターたちが口では言いながら、じつは彼らは自らのイメージアップ─社会におけるステータス向上戦略─を狙っているのではないか、少なくともそのように機能している場合があることを突き止めている。

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参考：What is conspicuous conservation, and could it really help save the planet?（衒示的環境保護とは何か、それはマジで地球を救えるのか）fastcompany.com/90323396/what-…

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われわれホモサピは、日常の振る舞いのなかに“隠れた生物学的動機”に基づく戦略性を意識しない。 ────まずはこれを認めよう。

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人間が先天的に持つ〈感覚〉や〈感情〉それ自体が “生物学的な戦略” の賜物であると気付いている人はどれくらいいるだろう？ 同じ茶色の渦巻き物体なのに、なぜチョコソフトクリームは「美味しい」と感じ、ウンコに対してはそう感じないのか？

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ウンコが（おそらく）不味くて、チョコソフトクリームが美味しい理由って何だろう？ アホな質問に思えるかもしれないが、これは心（＝五感や感情）を生物学から捉える進化心理学の核心だ。 pic.twitter.com/20UOwZvHIx

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学習による“条件付け”？：しかし、そもそも何が不快で何が快感かという心理メカニズムがもとから備わっていなければ条件付けはできないはずだ。

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そんなこと考えたこともない！という人は、チョコソフトクリームは糖分を多分に含んでいて栄養豊富だが／ウンコ＝排泄物は栄養に乏しく、おまけに危険な細菌まみれであるという事実に目を向けてみよう。