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#わたしの思い出

#わたしの思い出 #ぼくの思い出 まとめました。ほぼ毎日更新予定。
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キーノ @1289ttkf

「我が母の記」 学生の時の恋人と、付き合う前に初デートで観た映画。 メールの誘い方もそのあとのデートコースも、お世辞にも気が利いてるとは言えなかったけど。 「ああ、この人はいま一生懸命わたしの思ってくれてるんだ」 その一生懸命さに惹かれた。 #わたしの思い出 pic.twitter.com/vorTI2hImN

2020-06-15 20:46:01
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キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 映画デートから一ヶ月くらい経ってから届いた「唐突ですが、夏祭りに行きませんか!?」というメール。 本当に唐突で、思わず笑ってしまった私の返事は 「りんご飴は食べられますか?」 pic.twitter.com/qkiuHsAh4f

2020-06-16 21:41:50
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キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 #連載小説風 夏祭りからまたしばらく経ったころ。 またメールが来た。 「用事なければ今度の花火大会に行きませんか?」 困った。勘違いじゃなければ、たぶん彼は私のことが好きだ。 けれど、私はまだ、私の気持ちがわからない。 返事が打てないまま2日間が過ぎた。

2020-06-17 22:33:05
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 2日間も放置していたメール。 ひとつ気がついたことがある。 わたしは彼が好きかどうかはわからない。 けれど決して嫌いではないのだと。 だったら好きになる努力をしてもいいのかもしれない、と。 「〇〇くんとデートやね(笑)」と返した。 (笑)は照れ隠しだ。

2020-06-18 22:51:40
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 けっきょく花火大会には行けなかった。 わたしは熱を出して寝込んでいた。 はやく「行けない」とメールを打たなければいけないと思いつつ、けっきょく送ったのは集合時間の2時間前。 彼のことを考えると心が痛んだ。だけどどこかほっとしている自分もいた。

2020-06-21 21:15:51
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 約束をドタキャンしたのだ。 もうこんな身勝手な私に失望して、連絡をくれることもないだろう。 そうすれば、わたしは自分の中の気持ちに答えを出さなくてすむ。 そう思った。 だけど、また唐突にメールは来た。 「今度の休みにライブに行きませんか?」

2020-06-22 22:40:58
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 ライブ当日。外は台風が近づく土砂降りの天気だった。 大学も夏休みに入り、彼と会うのは1ヶ月半ぶりだった。 待ち合わせの場所に着くと、いつもわたしより早くいる彼の姿がない。 携帯を開こうとすると「キーノさん!」と向こうからずぶ濡れで走ってくる彼が見えた。 pic.twitter.com/QmvOjOXWQs

2020-06-26 19:01:22
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 年季の入ったポロシャツにジーパン。 お洒落とは言い難い格好の彼は息を切らせながら走ってきて、わたしの腕を突然掴んだ。 「行こう!電車に遅れちゃう!」 大胆な行動に驚きつつも、私たちは土砂降りのなか駅のホームへ駆け出した。 pic.twitter.com/FTyhPj6DqI

2020-06-27 20:33:06
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キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 電車に乗ったわたし達は会場の最寄駅にむかう間、横に座ったままほとんど会話をしなかった。 わたしも彼もどちらかといえばお喋りで、今までのデートもずっと喋ってばかりだったが、不思議と気まずさはなかった。 隣でただ座っていることが、なんとなく心地よかった。 pic.twitter.com/NjQsk5e6bD

2020-06-28 20:53:12
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 会場に着く頃には雨は上がっていた。 ライブは地方のホールでは珍しいフェス形式だった。 一際心を揺さぶられたのは、数年後に後にアニメの主題歌でブレイクを果たすあるシンガーの歌だった。 -君に今 会いたいんだ 会いに行くよ たとえ どんな痛みが ほら 押し寄せても- pic.twitter.com/rd53HA9EsP

2020-06-30 21:53:37
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キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 ライブが終わり、帰りの電車も行きと同じくお互い口数は少なかった。 彼は私の家の前まで送ってくれた。 私はチケット代を渡してないことに気がつき、「あ!お金を…」と財布を取り出そうとすると、 彼は「いいよ、元々あげるつもりだったし」と言った。 それはそれで困る。

2020-07-02 20:28:33
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 同じ学生なのだから、彼だけに負担を強いるのはおかしい。 何より私は誰であろうと人に貸し借りを作りたくないのだ。 「私も楽しんだし…、きちんとしたいです。」わたしは強い口調で、そしてなぜか敬語で言った。 今度は彼が困った顔になった。

2020-07-03 17:50:22
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 しばらく悩んだ末に「じゃあ、それは今度のデートの時に!」と彼は言った。 しばらくの沈黙の後、彼の顔がみるみる赤くなった。 彼の口から「デート」という単語を聞くのはこれが初めてだった。

2020-07-04 18:17:24
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 「次のデート」はなかなか実現しなかった。 秋になり、大学も始まって、わたしも授業とアルバイトに悩殺される日々が続いた。 彼からは何度か誘いがあったが、予定が折り合わないまま、気がつくとはや12月を迎えようとしていた。

2020-07-05 19:56:42
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 「クリスマスはみんなで女子会しようよ!」 大学の女友達にそう誘われた。 わたしはとっさに彼の顔が浮かんだ。 彼からクリスマスに誘いが来るかもしれない。 そう思ったが、そもそも私たちは付き合っていないのだ。 恋人でもない私を、彼は誘ってくれるのだろうか?

2020-07-06 17:54:27
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 クリスマス当日まで彼から連絡はなかった。 私は大学の友達と女子会と称してクリスマスパーティを過ごした。 年も残すところあと数日。 成人式で地元に帰るので、年末年始は誰にも会わず1人で過ごすつもりだった。 そんな時、彼から連絡が来た。 「初詣に行きませんか?」

2020-07-08 18:26:20
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 1月2日。お昼の遅い時間に彼と合流した。 待ち合わせはいつもの駅前のコンビニだ。 「おはよ…あ、いや、明けましておめでとうございます」 お互いぎこちない新年の挨拶をして、夏祭りのデートをした神社に初詣に行くことになった。

2020-07-09 21:32:20
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 不思議な感覚だった。 友達の呼ぶにはあまりに近く、恋人と呼ぶにはあまりに遠い関係。 隣で両手を合わせて何かを願っている彼を、私はまだ名前のない感情で見つめていた。 「…帰ろっか」 わずか30分だった。 「じゃあ、また」 手を振る彼を見て私は大事なことを思い出した。 pic.twitter.com/SkkjVRkKBr

2020-07-10 18:07:16
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キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 「ちょっと待って!」 わたしはカバンからパウンドケーキを手渡した。 年末に作ったものを切り分けてラッピングしたものだ。 彼は驚いた顔をして「あ、ありがとう」と照れ臭そうに言った。 それは、私が彼にあげた最初で最後のプレゼントになった。

2020-07-11 20:10:16
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 携帯が壊れた。 大学の友人がスマホに乗り換えるなか長いこと使っていたがガラケーだったが、遂に動かなくなってしまった。 幸い成人式も終わり、地元からも帰ったばかり。特に困ることもない。 月末の大学の試験が終わったら買い替えに行こう。 私はこの判断を心底後悔した。

2020-07-15 17:26:18
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 テストも何とか終わり、2月になった。 わたしは携帯ショップに行き、壊れた電話を店員に渡した。 「ああ、これ電池パックが切れてるだけですね。他は問題ないんで、電池だけ交換したら使えますよ」 店員に言われ、「あ、じゃあそれで」とわたしは答えた。

2020-07-17 19:06:22
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 「データが飛んでないか確認してください」 わたしは電池を交換した携帯を受け取った。 電源をいれる。 メールを確認すると大量の受信があった。 と言ってもほとんどは広告や迷惑メールだった。 ボタンを操作する指が止まった。 彼からメールが届いていた。

2020-07-19 03:58:52
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 メールは二通届いていた。 一通目は彼が好きなアーティストのライブがあるので、「一緒に行きませんか?」という内容。 二通目は「ひょっとして届いてないかもしれないかも」と前置きした一通目と同じ内容のメール。 そして、メールに記されたライブの日付は2週間も過ぎていた。

2020-07-20 22:37:41
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 やってしまった。 彼のことを嫌いではなかったのに、最悪の形で彼の気持ちを踏みにじってしまった。 もう連絡が来ることもないだろう。 長いようで短かった友達でも恋人でもない関係は私の手の中で消えたのだ。 そう思っていた。

2020-07-22 18:56:04
キーノ @1289ttkf

#わたしの思い出 大学は春休みになり、3月になった。 周りの友人たちは、実家へ帰り、遊び相手もいない。 私は、買い物以外は部屋からでない半分引きこもりの生活を続けていた。 彼から連絡があったのはそんな時だった。 メールにはシンプルに「飲みに行きませんか?」とだけ綴られていた。

2020-07-24 23:27:37
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コメント

電柱 @denchu_standing 2020年12月5日
すごい引き込まれる文章、読み入ってしまった
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