第八回現代短歌社賞より好き短歌まとめ

第八回現代短歌社賞への応募作品より、「現代短歌」2021年1月号に掲載された印象深い歌をまとめてみました。
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石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

第八回現代短歌社賞におきまして 応募作『斧』で佳作をいただきました 現代短歌社ならびに選考委員のみなさま、ありがとうございました 選評、有り難く また懸念をずばり指摘されしばし呻きました 「現代短歌」2021年1月号に十首抄と選評が載っています お読みいただけたら嬉しいです pic.twitter.com/Qb5D92QrTO

2020-11-20 21:54:54
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石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・受賞作 ふすま絵の鶴と鶴とのへだたりでおとうとと立つ新墓の前 冗談の継ぎ目に魚影 知っている電話には本題のあること (西藤定『蓮池譜』) ふすまが閉まるように会い ふすまが開くように各々の生活に戻る 繋がりと距離感の具象画 そう、そうなの予感って、魚ですよね

2020-12-18 22:28:39
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・次席 水滴と水滴を繋げるような悲しみかたを窓に教わる 言い淀む喉のあたりが膨らんできっとここから咲くのはダリア もし、わたしが墓石ならば 太ももに父の名前を何度もなぞる(『感情の獣たち』田村穂隆) 痛みが まだ鮮やかなのだ 二首目好きです 三百首を読んでみたい

2020-12-03 23:25:14
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・佳作 離職した人の机に拾っても拾ってもパンチの丸い紙 ブラウスの後ろ留めてと言う母の背後にまわる息を殺して (道券はな『胸に夕闇』) 単に拾っているようで同僚の残像がまだ仕事をしているかのよう 雑務と激務ぶりが香る 二首目すごいな (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-24 00:40:58
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・佳作 爪、桜 みたいってかざす 感情に最果てがあるならそこで会いたい (石井大成『フロム・ダスク・ティル・ドーン』) いずれ散るという美をもつ肉体は感情の都市が崩壊した後の廃墟の美に出会えるだろうか ゆれている うつくしい歌ですね (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-24 22:23:40
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・佳作 待つといふ時こそいのち桃一果ひそかに皿上に熟れて朽ちゆく 病むことも天与と姉は笑みて言ふほのかに甘き口臭させて (刑部一穂『K氏の鞄』) かっこいい 待つ、病む、別の蓮作だろうけど十首抄として読むとペアのような二首だな 甘美 (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-27 00:21:49
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・佳作 おとなりの「子犬のワルツ」は昨日からもう転ばずに冬を駆けたり (宮下倖『角を曲がって』) なんたって 冬なのがよいな 澄んだ空気、繊細なタッチまで耳に届きそう 「子犬」は雪の上を駆けまわるそんなイメージ  はずむ足跡をつけて (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-27 23:15:58
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・佳作 ウビフ語の八十三の子音そのいくつかを風に聴く心地せり 北辺とう言葉さみしき雪を待つ詩人にひとつの故郷ありたり (貝澤駿一『フィールドワーク』) 座談会のほうにあった二首 こころの真芯に直にふれる冬の風のような歌 大好きです (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-29 23:30:51
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・佳作 俺だけは分かる気がする稜線は寡黙な口を夜空にひらく (西方耕三『マンホールの蓋』) 夜だからほどけるものがあり 稜線の口、という捉えかたが魅力的 “俺だけは”という予感は何からくるものだろう 一連を読むとさらに味わえる気がする (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-30 00:08:40
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・佳作 人びとを街へ帰して劇場は眠るか熱をしばらく容れて 育て終え看取りも終えて金雀枝よわたしは還る天の子どもに (星川郁乃『虹を数える』) 相容れないはずの「眠る」と「熱」が劇場ならば成立するのおもしろいな 二首目、じぃんときます (「現代短歌」2021年1月号)

2020-12-01 22:30:24
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・候補作 よく笑うこども黙っているこども産まざりし子は持たぬ横顔 (柳原恵津子『水張田の季節』) 物理的にはない横顔を こころでは見ているかのような味わいがあった 無というよりは非在 感じながら届かないあの感じ (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-21 22:21:31
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・候補作 弱者にも強者にもなるベビーカー押して歩めば秋桜震え (塚田千束『春の目蓋』) 社会を生きて どちらにも別の片方だろうと思われる/痛感する疎外感、揺れ、コスモスの震えに自らをみるようで (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-21 22:47:42
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・候補作 夢で観た平均台の真ん中に YES と書いたかたなのですね (山﨑修平『名ではない』) 天井に吊るしたカンバスにYESと書いたのはオノヨーコだった 平均台も自らが能動的にそこまでバランスをとって歩いてくことでYESに出会える 平均台という平坦と危うさが現代っぽい

2020-11-22 23:02:46
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

■第八回現代短歌社賞・候補作 こっちだよ鬼さん、拍手喝采の、スタンディングオベーションの方へ 奈良が首都だったころから生きているけれどまだまだ現役で鹿 (川野愛奈『フリックホリック』) なにその老舗店の継ぎ足しの秘伝ダレみたいな鹿 好き もっと読みたい (「現代短歌」2021年1月号)

2020-11-22 23:25:15