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2020年12月30日

北杜夫『どくとるマンボウ青春記』読書メモ

人間とは、まして若者とは、見ようによっては哀れなはかない存在である。その中から、一つの智慧、一つの愛情を生もうとする意志だけが、私らを宇宙のみなし児から救ってくれるのかも知れぬ。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』より)
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やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

私たちは米英撃滅の念に燃えた小さな産業戦士のはずだったが、反面、戦争の与えた自堕落な休暇を愉しんだことも争えない。いずれ、玉砕するために少しも生命を惜しまぬことと、いまこの瞬間にできるだけ怠けようとする魂胆とは、ちっとも矛盾しないのである。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p5)

2020-12-28 00:14:14
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

それは正真正銘の喜劇であった。しかし羊の身にとっては、のっぴきならぬ悲劇である。チャップリンの多くの作品のおかしさ、もの悲しさはこうして生れる。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p8)

2020-12-28 00:28:00
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

まだ戦争中のなごりが残っていた時代であった。戦争中の大本営発表には「戦艦一隻撃沈、同一隻中破、航空母艦一隻大破」などと戦果があげられたものだ。その調子の良い男も、試験の結果を部屋の板戸に大きく書き記していた。「数学、中破。動物、大破。ドイツ語、撃沈」 「どくとるマンボウ青春記」p70

2020-12-28 14:44:57
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

松高生の間で語りつがれた化学の試験の名答案に「問題を見てピクリンサン、脇の下にはアセチレン……」と出題の薬品名を折りこみ、最後を「どうかスコンク、クレゾール」で収めたアッパレなものがある。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p70) うまい。笑

2020-12-28 15:57:05
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

若者よ、年寄りを侮蔑してもよい。しかし、必然的に自分もまた年寄りとなり、近ごろの若い者は、などと言いだす存在であることも忘れるな。若者よ、自信を持ち、そして同時に絶望せよ。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p121)

2020-12-28 18:42:11
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

人生には心身をすりへらして然るべき幾何かの時があるが、入学試験であらかたすりへってしまうのは悲しいことだ。おまけに入試の勉強ほど身につかない代物とてあるまい。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p136)

2020-12-29 13:51:55
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

良書をよんで悪書をよむな、と識者は言うが、人はくだらぬ本も読むことによって、本当によいほんというものを識別できるようになってゆくのではないか。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p142)

2020-12-29 13:53:37
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

たしかに、あれこれの変ちくりんな友人たちの姿は私のかたわらにすでになく、自分は借着のらような身につかぬ大学生とやらになって、ただ一人、懐かしさのこびりついた町を単なる外来者として蹌踉と歩いているのだな、と私は思った。 (北杜夫「どくとるマンボウ青春記」p145)

2020-12-29 13:59:54
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

学校なんぞで習わなくおも、才能と努力により、人はなんにでもなれるのである。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p159)

2020-12-29 14:03:36
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

戦争体験、敗戦体験というものはごく微妙で、一年の差でがらりと異なっているように思う。簡単に戦中派、戦後派とわけて区別できるものではない。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p203)

2020-12-29 14:47:28
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

それゆえ、どんな些細な考え方ひとつにせよ、一度自分の頭脳で濾過したものでなければ、容易に信じる気になれない。相手が巨大で、もし自分にそれだけの頭脳がない場合は、そのときがくるまで自己を賭ける判断を下したくない。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p205) これは本当に大切だな。

2020-12-29 14:57:02
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

いま言えることは、太宰の死に方を私は絶対に是認しないということ、またちつまでも彼の亜流である人間に、これといった人物が現れたのを見たことがないこと、等々である。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p215) 半世紀後にも現れてませんよ、北杜夫さん

2020-12-29 15:08:59
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

こういうことを書くと、「太宰の苦悩がお前なんかにわかるものか」という声が聞えてくるようだが、その声にしろすでにまったく鼻もちならない。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p217) わかるわあ。

2020-12-29 15:10:16
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

「死への親近感」から始まった人々が、ついに「生への意志」に到達するのがあくまでも人間(ねーんげん)的な生き方というものである。 (北杜夫「どくとるマンボウ青春記」p222)

2020-12-29 15:21:21
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

大学というところは学問へのきっかけを作る場所である。少なくともその雰囲気に触れ、生半可な学問と真の学問との区別くらいを覚えるところである。 せっかく大学へはいって、そのくらいのことを学ばない連中は、なにも大学生でいる必要はない。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p239)

2020-12-30 12:44:42
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

学問には死んだ学問と生きた学問がある。一見、死んだ学問と見えても、その知識に自己の血が通うことが学識というものである。知識の集積と学問とは別なものだ。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p241)

2020-12-30 12:54:55
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

よく人は未知な分野にテーマを選ぶことが立派なことだと錯覚しがちだが、すでによくわかっていてなんの問題もないと思われる分野に新しい照明を与えることのできる人のほうが偉大なこともある。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p241)

2020-12-30 12:57:24
やまぐち カンタ @0sak1_m1d0r1

人間とは、まして若者とは、見ようによっては哀れなはかない存在である。その中から、一つの智慧、一つの愛情を生もうとする意志だけが、私らを宇宙のみなし児から救ってくれるのかも知れぬ。 (北杜夫『どくとるマンボウ青春記』p249)

2020-12-30 13:13:19

コメント

葦ノ葉(あしのは) @AshinohaTW 2020年12月30日
結構、名著>どくとるまんぼう青春記
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ブラキストン線の向こう側@ワクチン2回接種済み @cupsoup2 2020年12月31日
旧制高校のバンカラ気風が感じられる本です。高校生の時に読むと一番面白いと思う
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Ukat.U @t_UJ 2020年12月31日
北杜夫は文学的な繊細さ、抒情性と底抜けのカラッとしたユーモアが一人の人間に同居しててほんとに好き。
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ヤマイモ @Yamaimo_F 2020年12月31日
懐かしい…。どくとるマンボウシリーズの中でも「青春記」は今読んでもなかなか面白いと思います。
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