西孝『社会を読む文法としての経済学』読書メモ集

西孝『社会を読む文法としての経済学』(日本実業出版社、2017)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

英語ってそんなに言語的・文法的にきっちりした「優れた」言語だとは思いません。例えば、同じ-ea-というつづりなのに「read」(リード)、「bread」(ブレッド)、「break」(ブレイク)と発音が変わるなんて、勘弁してくれと言いたくなります。by西孝『社会を読む文法としての経済学』54

2020-12-28 17:16:17
荒木優太 @arishima_takeo

視覚的なイメージでいうと、短期の景気対策の問題とは、一定の風呂桶があっても、そこに十分な湯が満たされていない問題であり、長期の成長戦略とは、風呂桶それ自体を大きくしていくための戦略であるということもできます。by西孝『社会を読む文法としての経済学』83

2020-12-28 17:18:47
荒木優太 @arishima_takeo

「金の過大評価を避けるには、通貨を作り直さなければならないのですが、これに追われて四苦八苦、それでも追いつかなかった当時のイギリスの造幣局長官は、かのアイザック・ニュートン(1642~1727)だったのです」(by西孝『社会を読む文法としての経済学』127)。へぇー!

2020-12-28 17:20:57
荒木優太 @arishima_takeo

西孝『社会を読む文法としての経済学』読了。非常に面白かった。文系のための経済学入門は世に数あれど、そのなかでも出色なのではないだろうか。名著だ。

2020-12-30 14:26:58
荒木優太 @arishima_takeo

たとえば、少し前に「ブラック企業」は人種差別なので使用すべきではない論が盛り上がった。正義論の観点から出てくるこの種の提言はいまや雨後の筍のようにぼんぼこ出ているわけだが、正義派はただ言葉変えるだけなのになんでそんなに抵抗すんだ、抵抗勢力にいぶかしがったりする。

2020-12-30 14:31:30
荒木優太 @arishima_takeo

経済学はこれに応答できる。つまり、「ネットワーク外部性」(利用者が多いほど便利になる)と「経路依存性」(偶然的所与もその歴史のなかで合理化されている)によってコストに見合わないと感じられるのだ。

2020-12-30 14:34:59
荒木優太 @arishima_takeo

英語を学びたい人が多いのは英語が優れた言語だからではなくそれが多数派だからだし、キーボードがクワーティ配列なのはたまたま生き残ったのがこれだったからにすぎない。言葉の世界にも、言葉の多数派合理性や言葉のクワーティ配列がある。

2020-12-30 14:37:39
荒木優太 @arishima_takeo

貨幣は勿論のこと、注意力や知的関心もまた、限定された財である以上、すべてのものにそのパラメータを全フリすることはできない。その偏りをどう評価していくかは、狭義の経済学に留まらない現代的人文的論点なんだなと思った。

2020-12-30 14:43:21
荒木優太 @arishima_takeo

あと、私は反緊縮派に厳しいような印象をもってる人もいるかもしれないが、や本当はそんなことないのだが、とまれ、本書が訴える新自由主義(という語を用いてないのがまたスゴイ)批判には割と頷いた。

2020-12-30 14:47:02
荒木優太 @arishima_takeo

それをケインズ主義といっていいのかどうかは分からんが、ケインズが読みたくなった。

2020-12-30 14:48:00