ライスのアニメ感想：＃９１　輪るピングドラム(3)

テリー・ライス @terry_rice88

輪るピングドラム#03「そして華麗に私を食べて・・・」　3話。ここまでがBD/DVD1巻の内容ですね。カレー回と言っていいのかなあ。苹果のエピソードがひとまず区切りがついた感じ。

テリー・ライス @terry_rice88

カレーにまつわる家族の団欒、好きな人と一緒に食べるものとしてのカレー。苹果にとってはカレーが人とのつながりを生む、あるいは保つ魔法の料理ってことかな。好きな人に作ったカレーを食べてもらう事こそが彼女の信じる運命の一歩。ディスティニー。見てるとカレーを食べたくなった事実はさておき。

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今の所、冠葉と晶馬はペンギンたち同様、舞台の上でなるべき見えないように暗躍する黒子というか狂言回しのキャラなんでしょうねえ、ピングドラムを探すという目的はあるけど、まだそれが分からないわけですし。作品の軸は彼らが支えているけど、進行してゆく話の軸は別のキャラに任せている感じ。

テリー・ライス @terry_rice88

今回も苹果の自宅に踏み込むという完全に犯罪行為を行っていますが、陽毬のためならなりふり構わないという冠葉と同行しておきながらあと一歩の所で踏み止まろうとする晶馬。ここら辺は2話の苹果を監視するシーンでのモラル云々というのが関係してるかなあと。

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すでにスタンスの違いが明らかなわけですけど、ここら辺の考えの違いが今後にどう影響してくるかだなあ。考え方が違っていて当たり前だけど、深刻な状況になると仲違いしかねない危うい兄弟関係でもあるのは１話の段階で明らかになってましたねえ。そういえば陽毬を守る事が課せられた罰とは一体。

テリー・ライス @terry_rice88

しかし、まだ生存戦略のシーンを二人が受け入れられていなかったのはちょっと面白かったですねえ。それに反応して、プリンセス･オブ･クリスタルが牛の着ぐるみを着て、陽毬の嫌いな牛乳を飲み干すシーンとか可愛くもありましたね、とはいえペンギンの帽子がないと陽毬が生きられないのもまた事実。

テリー・ライス @terry_rice88

二人はピングドラムを探すしかないという確認事項が行われていたのかなあと、冠葉はそこに立ち向かい、晶馬は疑問を問いただそうとして、落とされることを繰り返すと。ピングドラムを探す事に疑問を持ってはいけないって事かなあ。理不尽ではあるけど、受け入れるしかないみたいな。

テリー・ライス @terry_rice88

さて、苹果の話に戻ると、アバンではかつてあった苹果の家族の食卓での会話があり、OPを過ぎると苹果は一人で朝食を食っていて、母親は出勤の準備で忙しい感じ。どうやら両親は離婚したか、父親が死別したのか、どっちか分からないけどかつての家族の姿は無い。

テリー・ライス @terry_rice88

さらにカレンダーにある20日の「カレーの日」というのもまた、家族の団欒を象徴していたものだけど、家族が欠けてしまった現在においては有名無実と化した記念日になってしまっているというわけね。母親は出先で食べるといい、娘には友達と食べろと言う。家族の繋がりもなんだか薄くなっているのか。

テリー・ライス @terry_rice88

でも苹果は運命を信じているから、自分の作ったカレーを食べてくれる人がいて美味しいといってくれる事こそが幸せの形であると信じていると。で、その運命の人が多蕗であるということ。なんで多蕗なのかはその後すぐに差し込まれる苹果の回想。え、ちょっと待って。父親がいないけど多蕗がそこにいる？

テリー・ライス @terry_rice88

ということがどういうことなのかがすごく気になったなあ。お隣さんだったっていう描写は特に無かったわけだし（今後あるのかもしれませんが）、優しいお兄さん然としてるけど、苹果の家庭へ普通に入り込んでいる多蕗が地味に怖い。いや、何の説明がないからこそ想像が膨らむというか。

テリー・ライス @terry_rice88

おそらく多蕗の20日＝カレーの日って荻野目家に出入りしていたから刷り込まれたんじゃないのかなあ。でまあ、当時は苹果は子供だったわけだし、裏で何があったかは知る由も無いか。けどあんなにキラキラした笑顔の持ち主だから、クる人にはイチコロなんだろうなあ。なんというか、ヨン様みたく。

テリー・ライス @terry_rice88

という風に考えると多蕗＝ジゴロなわけですけどなんとも言えないなあ。普通に考えるならば、苹果が運命の人と思っているだけに過ぎなくて、多蕗に別に彼女がいてもなんら不思議じゃないんだよなあ。ただその彼女が前回、陽毬の読んでた雑誌の記事に載っていた時籠ゆりだというのはかなり予想外でしたが

テリー・ライス @terry_rice88

タレントというか有名人が彼女という事が作品の中でどのくらいの意味があるのかはさておき、苹果にとって見ればゆりは運命の人を横取りした「泥棒猫」なのは多蕗の家から逃げ出したあとの苹果の描写を見れば確かですね。しかもカレーを作ってるから、苹果のいない「幸せの形」が存在してる。

テリー・ライス @terry_rice88

自分が運命の中心にあると信じて疑わない苹果にとって見れば、かなりイレギュラーな障害で、自分が多蕗との関係の蚊帳の外の存在でしかない事が許されないってことかな。傍から見れば、多蕗の恋愛関係を邪魔してるのは明らかに苹果の方なんですよね。

テリー・ライス @terry_rice88

多蕗とゆりが好い仲であることが自分の運命の流れにおいては許されないから、そもそも二人の幸せである形のカレーを半ば強引に奪い取って、自分の作ったカレーに置き換えた。ここいらの苹果の心理状況はかなり屈折した感情が垣間見えたなあ。病んでるともいえそう。

テリー・ライス @terry_rice88

私を差し置いて幸せになるなんて許せない、というストーカーにありがちな思い込みの一つであるけど、そこいらは表裏一体なんでしょうねえ。裏返っちゃうと苹果になりかねないけど、本来だったらちゃんとした恋愛になると思います。正と負の感情のどっちが強く出るかによると。

テリー・ライス @terry_rice88

童話においてお姫様と魔女が表裏一体なのはそういったところがありそう。かつて榎戸洋司さんが劇場版ウテナを特集したBSアニメ夜話で「女の子はみんなお姫様になりたがっていて、お姫様にもしなれなかった女の子は魔女になるしかない」という発言をされてるそうで、苹果はこれに当てはまりそうですね

テリー・ライス @terry_rice88

前回の感想で、苹果が自分の運命を信じている事から、童話のお姫様体質である事を述べましたが、今回のエピソードは逆にお姫様とは表裏一体で魔女でもあるということを見せていたんじゃないかなあと思いました。

テリー・ライス @terry_rice88

荻野目家のカレーの作り方の秘訣は「リンゴを摩り下ろして、肉に漬け込むこと」なんてことを言ってましたが、ここら辺のモノローグはいやに生々しかった。リンゴでお姫様というと、白雪姫がぱっと思い浮かびますが、その白雪姫に出てくる魔女は「毒リンゴ」を持っている訳で。

テリー・ライス @terry_rice88

苹果が魔女になってしまうと、カレーに毒リンゴを入れかねないという想像は容易じゃないかなあと。それとカレーに毒物というと、98年に発生した和歌山毒物カレー事件なんていうセンセーショナルな事件もありました、イメージの連鎖を繋いでいくと想像がどんどんエスカレートしていくのが空恐ろしい。

テリー・ライス @terry_rice88

けれど、不思議に思うのは苹果の持ちものなどのモチーフが海にまつわるものが多いんですよね、運命日記の表紙しかり、かばんのキーホルダー（ヒトデ）、2話アバンの鏡の中は海底でしたし、今回のアバンの過去のモノローグは部屋が水の中に浸かっているような演出でしたし。

テリー・ライス @terry_rice88

謎は深まるばかりだなあ。とはいえ、苹果は魔女化せずに陽毬に助けられた事で高倉家と繋がりが出来たのが今回の救いってことかな。高倉家と一緒にカレーを食べる事が出来たおかげで、苹果の気が少し楽になった。というか運命を一瞬忘れる事が出来たと。

テリー・ライス @terry_rice88

けど、苹果の運命信仰は変わりは無い。彼女も人との繋がりが薄いというか、思い込みの強さにおいては大人の感覚じゃなくて、子供じみたものを感じるというか。思春期って言う子供から大人への移り変わりの真っ只中にいる感じ。それをちゃんと教えてくれる大人がいないって事かなあ。

テリー・ライス @terry_rice88

それは冠葉、晶馬も変わらないかな。むしろ同じ（似た）存在同士だから陽毬の裏であるプリンセス･オブ･クリスタルが苹果を引き寄せたとも取れますよね。冠葉が親の写ってる写真立てを苹果に見られないように伏せたのもそういう証明のような気がするなあ。