- hatinosublog
- 1884
- 1
- 1
- 0
インターネッツ育ちの法律屋、いや法律家です。シティライツ法律事務所・東京弁護士会所属。
改正意匠法についての資料
年為、意匠法改正をわかりやすく説明した特許庁の資料も貼っておきます。 特許庁「建築・内装デザイナー向け情報」 jpo.go.jp/system/laws/ru…
2021-01-10 19:51:43水野祐弁護士による批判
過日のユニクロパーク。 「ユニクロの店舗が公園になっている」というコンセプトで、屋上から地上への屋外部が滑り台などの遊戯スペースや休憩スペースになっている。 意匠法改正による建築物の意匠登録・国内初の事例で、意匠法クラスタの端くれとして見学してきました。 pic.twitter.com/oWGkLxwf4P
2021-01-10 16:42:16ご存知のとおり、意匠法の大改正により、2020年4月から、建築物、内装の意匠が保護対象となりました。 ユニクロパークは建築物の意匠登録として、初の事例(の一つ)になりました。経産省からリリースは以下。 経済産業省「建築物、内装の意匠が初めて意匠登録されました」 meti.go.jp/press/2020/11/…
2021-01-10 16:49:48ユニクロパークは基本構想、デザイン監修を藤本壮介、グランドコンセプトを佐藤可士和が担当していますが、意匠公報をみてみると、やはり創作者としてお二人のお名前が併記されてます。 pic.twitter.com/TDjfWbETkL
2021-01-10 16:55:12なお、この建築物の意匠登録により発生する意匠権の権利範囲について懸念されている方も多いと思います。 保護されるのはあくまで「形状等」(形状、模様、色彩またはこれらの結合)であり、「店舗が公園になっている」等のアイデアそのものが保護・独占されるわけではありません。
2021-01-10 17:04:18ただし、意匠権は同一だけでなく、類似の範囲まで及ぶため、用途・機能が近ければ、形態についてそれなりに権利範囲が広くなる可能性もあるでしょう。また、参考図などにより、萎縮効果が働くことは否めません。
2021-01-10 17:46:00本意匠についてみると、「意匠に係る物品の説明」において、「屋上から地上へと切り崩した形状をなす屋外部を、遊戯スペースや休憩スペース等として用いるものである」と説明されています。
2021-01-10 18:31:45店舗の屋根や屋外を滑り台やボルタリング坂にするとすれば形態の選択肢は多くないため、もし同様のアイデアを実現したい場合にはそれなりに意識して形状を変更しないと意匠権侵害のおそれが出てしまうでしょう。
2021-01-10 18:35:44意匠権に関しては一般的に権利範囲は広くないと考えられていますし、先述の通り「店舗が公園になっている」みたいなアイデアまでは保護されないと書きました。ただ、本意匠に関しては「店舗の屋根から屋外部を滑り台やボルタリング坂にする」形状等にそれなりに広く権利が及ぶ可能性がありそうです。
2021-01-10 18:45:19もちろん、建築物の意匠登録に関する意匠権の権利範囲の広狭については、今後の判決の積み重ねに委ねるほかありません。 ただ、やり方次第ではデザインやブランディングを保護する武器にもなるし、一方で、デザインにおける表現の自由に対する制約や萎縮効果につながることも否めないでしょう。
2021-01-10 18:50:29はっきり思うことは、今回の意匠法改正は、企業のブランド構築とその投下資本回収のためであり、クリエイター保護のためのものではないということ。 意匠出願・登録の費用は相対的に低いとはいえ、権利取得に熱心かつ資本力があるプレイヤーと伍していくためには知恵をつけ、タフにならざるを得ない。
2021-01-10 18:56:24企業のブランド保護という法改正の目的と、意匠権はあくまで「形状等」を保護し、アイデアを保護するものではない、という目的と法制度の齟齬がやはり強く気になります。企業はブランドが表出している空間の統一的な美感という名の[世界観」を保護したいが、それはアイデア保護に近くなっていく。
2021-01-10 19:40:07企業は実質的にアイデア保護に等しい権利保護を狙って本制度を利用するでしょうし、プレスリリースなどにおいて、あたかも広い権利範囲が設定されたような外観を演出するでしょう。それを冷静な分析で捌いていかなければならないのですが、裁判例の積み重ねもないため、簡単にはいかないでしょう。
2021-01-10 19:48:49ユニクロパークを使って、改正意匠法の制度的課題を書いてしまったのはミスリーディングだったかも、と少し反省。ユニクロパークは相対的に中身のある権利かと。逆に言うと、経産省リリースにあるJR、CCC、くら寿司の例は権利範囲は相当に狭いと考えられます。
2021-01-10 20:01:03少し話は逸れるけど、意匠権だけでなく、著作権でもそうだけど、権利範囲を拡大することはそれだけ表現の自由に対する制約を強めることになるわけだが、知財権においてはなぜかその制約根拠があまり強く求められないという特殊性があるように思われる。
2021-01-10 20:14:23言い忘れたこと。意匠権の権利範囲を拡大した特許庁・意匠審査部は、権利化に対する懸念にも十分配慮しながら、新規性、創作容易性といった意匠登録の要件を慎重に判断してほしい。いや、しなければいけない。
2021-01-11 14:34:33批判
日本橋知的財産総合事務所 代表弁理士/技術分野:機械・電気・ソフトウエア・ビジネスモデル/第5回 IP BASE AWARD スタートアップ支援部門 奨励賞受賞/知財実務情報Lab.専門家チーム/毎週木曜日の夜に知財実務オンライン bit.ly/2ArGb0C を配信中/身の回りの関心事を呟いています
水野先生の建築物の意匠に関する一連のツイートを拝読。なるほどと思う部分もあったものの違和感を感じるところもあったので記しておきます。昨年施行の意匠法改正だけど、やはり本来的な目的は建築物や内装の優れたデザインの模倣を防止することにあり、現場サイドの強いニーズによって(続く) twitter.com/TasukuMizuno/s…
2021-01-11 14:39:51生まれたものであると思う。意匠法改正にあたり産業構造審議会知的財産分科会の意匠制度小委員会では第7回、第8回でイトーキやCCCからヒアリングを行っているが、両者とも優れた建築物や内装に対する模倣の問題を訴えている。先日のアールシーコア社の住宅デザインに関する(続く)
2021-01-11 14:42:26勝訴判決のプレスリリースでも住宅建築業界では模倣行為が顕在化しておりデザイン保護等の知財遵守意識が業界全体として低いように思われる。 ssl4.eir-parts.net/doc/7837/annou… 建築業界ではコンペにより設計会社が選ばれることも多いが、コンペで負けたがアイデアだけ取られたという話も多く、(続く)
2021-01-11 14:44:49