メモ:営舎及び艦船内における神祠等の建立について(防衛庁人事局昭和30年1月7日) (方針)営舎及び艦船内における神祠、仏堂その他の宗教的施設の建立は、憲法上疑義があるので現在の処これを認め難い。 →防衛省に本通達の改廃を問い合わせたところ、改廃されていない旨の回答があった。現時点有効
2020-07-24 13:45:47コロナやらなんやらで書こうとしていた何かのメモ的なもの:艦内神社と政教分離について素人考察した同人誌を以前に書きましたがその後、自衛隊と宗教との関わりについて、経緯がわかる資料を見つけたので、その補足も含めてちょっと書いてみます。
2020-08-15 00:48:41現在、自衛隊と宗教の関係については「宗教的活動について」(防人1第5091号49.11.19)という通達があり「5 宗教上の施設について 施設内に神祠、仏堂その他の礼拝所等宗教上の施設を設けることは、国費の支出を伴わない場合であっても厳に慎むべきである。」とされています。
2020-08-15 00:55:07大雑把に言うと「組織としてはNG、個人OK」といったところでしょうか。ではどうして自衛隊にはこのような通達がだされているのか?今回はここについての話となります。
2020-08-15 00:58:07この通達がだされるきっかけとなった、ある事件があるのですが、それが「自衛隊新発田駐とん部隊における神祠問題」と呼ばれるものです。 ※名称については他にも呼び方があるようなのですが、ここではこの名称とします。
2020-08-15 01:01:13この事件の経緯は、昭和29年1月頃に陸上自衛隊(当時は保安隊)新発田駐とん部隊の有志隊員により、隊内に神祠を建立する計画が起こり、有志の醵出金と勤務時間外の活動により、同年5月に菖蒲神社が建立されたことで起こりました。 ※部隊長は神祠の建立計画を承認しています。
2020-08-15 01:02:35ところが、同年6月に第一管区総監が巡視の際に、神社建立の事実を知り、部隊長に対してその取扱いについて注意を行ったのですが、その後総監部から部隊長に神社撤去の指示が出され、同年7月に部隊長は承認を撤回し、菖蒲神社は隊員の手により撤去されました。が…
2020-08-15 01:04:07ここで話は終わらず、この一件は新潟県神社庁から神社本庁に報告があり、神社本庁及び神社関係者の知る所となりま、神社本庁は昭和30年1月に声明を出し防衛庁に抗議しました。
2020-08-15 01:06:13また、この事件を知った神社新報社は昭和29年10月に政府(総理大臣、副総理及び防衛庁長官)宛に次の内容の質問書を提出する事態となりました。
2020-08-15 01:08:02質問書の概要:「多数人の信仰する宗教的施設が権力をもって破壊された本件は信仰の自由を弾圧する暴挙であり、政府はすみやかに第一管区総監の命令を正式に撤回せしめ、信仰の自由尊重の方針を明確に表明せよ。」と神祠の撤去を非難しました。
2020-08-15 01:08:41その後、神社新報と防衛庁とで数回に渡る意見の交換が行われ、神社新報側は本件が一方的な取り壊しではなく種々の問題を含めていること了承。防衛庁長官とも会見を行い、昭和29年12月に要望書を防衛庁長官に提出しています。
2020-08-15 01:17:04要望書では、神祠取り壊し事件そのものを問題にせず、「今後自衛隊の多数隊員がその自発的信仰に基づいて神祠の建設を希望するときは部隊敷地の管理上支障のない限り信仰自由の原則を尊重してこれを許可する方針を公式に表明せられたい」と主張しています。
2020-08-15 01:19:59その後、昭和30年4月に防衛庁長官に対し防衛庁の態度の決定を求めてきます。信教自由と施設管理の在り方をどうするのか?といった点が注目するところですね。
2020-08-15 01:23:40防衛庁としては「営舎内及び艦艇内における宗教的施設の建立については問題の重要性にかんがみ恒久的解決は今後の研究にまつこととするが、当分の間は、この問題は憲法上疑義があるので認め難い」旨の方針を決定することになったのです。
2020-08-15 01:34:01ついで、昭和30年3月には「施設の維持管理に関する依命通達」で「自衛隊施設の維持管理上駐とん地司令限りの許可によって敷地内に永久建造物を設置することは法令違反になる」旨が通達されました。
2020-08-15 01:37:20この方針が今も引き継がれて「宗教的活動について」につながるわけですね。ちなみに「営舎内等における神祠の建立について」を防衛省に確認したところ改廃されておらず、今現在も有効とのことでした。
2020-08-15 01:39:40「営舎内等における神祠の建立について」では「営舎及び艦船内」とされていたのが、「施設の維持管理に関する依命通達」では「永久建造物」となっている点が気になりますね。艦船は永久的なものではないと判断されてこのような形になったのかなと。
2020-08-15 01:42:30ぶっちゃけ海自の艦内神社が政教分離に抵触するかどうかは、訴えおこして裁判しない限りわからんというところですよね。目的効果基準がどう適用されるかも確たるものじゃないですし。
2020-08-15 01:51:19同人誌作る際に、ちゃんとお金払って弁護士さんに「もし裁判したらどうなります?」て伺ったんだけど、対国は相手の資金力が桁違い、長期になるから大変よと。更に誹謗中傷がくるけど耐えられる?と…うーん無理。
2020-08-15 01:54:02最近?海自の艦内神社の取扱については少し疑問というか危ないんじゃない?というところがありまして。と言うのも、これまで広報がこの手の質問に対して行ってきた回答となんかズレてきてませんかと思うことがしばしば。
2020-08-15 02:03:24ほいじゃこれまでどういった回答をしてきたかと言うと。 有名な2002年「護衛艦ありあけ」の件での信濃毎日新聞での防衛庁海上幕僚監部広報室の回答抜粋。
2020-08-15 02:08:24