『働くということ』 小学生1年で働いた(微笑) @kenichiromogi さんの 今朝 2011-07-28 (木) のツイート集。 

「”もやし”と”餃子”の思い出」
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、「もやし」と「餃子」の思い出。

2011-07-28 06:57:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(1)小学校1年の時、私は何を思ったのか、突然「おもちゃを買いたいからバイトしたい」と言った。母もふしぎな人で、近所の八百屋さんに話をつけてきた。もやしを袋につめて、一日百円。冬の寒い風が吹く中、一週間くらい、もやしをビニル袋につめるバイトを続けた。

2011-07-28 07:00:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(2)半ズボンの子どもがもやしをつめていると、近所のおばさんたちが、「まあかわいい」とか「かわいそう」とかもやしがたくさん売れた。冷たい水の中のもやしを素手でつかんでビニル袋にいれるのはつらかったが、がんばっていると褒められるのがうれしくて、毎日がんばった。

2011-07-28 07:01:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(3)今考えると、八百屋さんとしても大した助けにならなかったのかもしれない。子どもの気まぐれな思いつきを、母が頼み込んで実現してあげた、ということなのだろう。一週間経ったら、「これでおもちゃが買える」と、始めた時と同じくらい気まぐれに、私はやめてしまった。

2011-07-28 07:02:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(4)時代は流れて、東京のある街に住んでいた時のこと。一軒の餃子屋さんがあった。小さな間口の店で、餃子だけを売っている。座って食べるテーブルもない。持ち帰りだけ。おじさんは、いつ見ても、餃子をつめたり、焼いたりしていた。

2011-07-28 07:04:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(5)一パック、生餃子300円、焼き餃子300円。来る日も来る日も、ずっと餃子をつめていた。前を通ると、餃子のいい匂いがした。おじさんは、そうやって餃子一筋で、家族を養い、子どもを育てたのだろう。しばらく前、十数年ぶりに訪れたら、やっぱり餃子をつめていた!

2011-07-28 07:06:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(6)餃子をつめて、焼く。おじさんは、かくも長い間、どんなことを考えて仕事をしていたのだろう。餃子をうまくつめるのは案外むずかしくて、長年の熟練があってあんなきれいなかたちになる。そして、餃子をつくりながら、いろいろと考えなければならないこともある。

2011-07-28 07:07:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(7)お客さんは、できるだけ焼きたての餃子が食べたい。かといって、注文して「焼くから待ってください」と言われると、困ってしまう。この時間帯にはこれくらいのお客さんが来るかなと、あらかじめ予想して餃子を焼いていかなければならない。

2011-07-28 07:09:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(8)今日は近くの小学校で運動会があるから、これくらいかな、とか、雨が降ってきたから、お客さんはこうなるかなとか、いろいろなことを考えながら、おじさんは餃子をつめ、焼き続ける。毎日、そのことだけを繰り返しながら。餃子屋さんのことを考えると、人生っていいなと思う。

2011-07-28 07:11:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

はた(9)世の中にはさまざまな仕事があるけれども、どんな仕事にも無限の奥行きがあると思う。工夫をし、学び、人とかかわり、生活する。『プロフェッショナル 仕事の流儀』で住吉美紀さんと仕事をしていた頃、時々餃子屋さんのことや、もやしを詰めた日々のことを思いだしていた。

2011-07-28 07:12:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「働く」ということについての連続ツイートでした。

2011-07-28 07:13:02