茂木健一郎さんの「夏モード」

脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの7月30日の連続ツイート。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、「夏らしさ」について。

2011-07-30 08:13:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(1)子どもの頃、いや、それから随分経っても、9月になって、ちょっと涼しくなり、日も弱まってきた頃に「はっ」と気付くことがよくあった。それまでの自分が「夏モード」になっていたことを自覚し、これではいかん、もっときちんとしよう、とぎゅっと心を引き締めるのである。

2011-07-30 08:14:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(2)肝心なのは、一度、「夏モード」になって、心身ともに開放されることで、それを十分に楽しんでいなければ、秋からの努力にエネルギーが向かわない。夏を心の底から楽しんでこそ、「はっ」と気付いて、自分を引き締める喜びにも目覚めることができるのである。

2011-07-30 08:16:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(3)夏モード。それは、氷を浮かべたそうめん。子どもの頃食べた冷や麦には、白い中で色が違うのが入っていて、それを妹と取り合いした。緑や赤や黄色。ただ色が違うだけのその麺が、欲しくて、切なくて、この世のどんなものよりも輝かしく、そして大切なものに思えた。

2011-07-30 08:17:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(4)夏モード。それは、縁側で食べるスイカ。中が黄色いやつだとか、種なしだとか、いろいろあったな。種をとばしっこする。どこまで飛ぶか。時々間違って飲み込んでしまう。食べたスイカをカブトムシにあげる。あるいは母親が漬けものにして、翌日の食卓に並んだ。

2011-07-30 08:18:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(5)夏モード。それは、盆踊りで見る女の子の浴衣。いつもは学校で男の子たちとドッヂボールなんかして騒いでいるのに、浴衣になると妙に女っぽくなったりして、俺たち男はそんなことに気付かないふりをして、公園の暗がりであいかわらずわあわあ騒いでいたっけ。

2011-07-30 08:19:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(6)夏モード。それは、朝早く起きていくラジオ体操。スタンプを集めても、最後にもらえるのはどうせお菓子やノートなのに、押してもらうために町内会のおじさんの前に一生懸命並んだ。ラジオ体操第二で、誰かが必ず「うんこちんちん」と言って、男の子たちは笑い崩れた。

2011-07-30 08:21:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(7)夏モード。大人になって、京都で鱧の落としを初めて食べた。氷の上に白い身がきれいに並んでいる。梅肉で口にするその感覚が、何かに似ていると考えていて思いだした。子どもの頃、清流に裸足で入り、夢中になってタナゴを追いかけた、あの時間。古郷の清流は、今はどぶ川。

2011-07-30 08:22:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(8)夏モード。それは、暗がりにしゃがんで見つめる線香花火。小さな火の玉が、今にも落ちそうに、震えて、まるで自分の心のようで、そこから光の分岐がちりちりと放射して、ずっと変化して、やがて終わってしまって。美しくて、儚くて、そしてずっと記憶に残って。

2011-07-30 08:24:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

なつ!(9)夏は、少しくらいぼんやりして、だらけて、ごろごろして、けだるさに身をゆだね、青空を見つめ、砂浜にまみれ、夜風の中をさまよい、夕立に驚き、入道雲を見上げた方がいい。そして、秋風が吹いたら、はっと我に帰って、それからいろいろ引き締めればいいやね。

2011-07-30 08:25:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「夏モード」についての連続ツイートでした。いろいろ大変な世の中ですが、いや、いろいろ大変な世の中だからこそ、四季ある国に生まれてこその「なつ!」の喜びを大切にしましょう。

2011-07-30 08:26:24