教会育ちの家康

寺生まれの毛利さんシリーズ2話目です。  ※コピペ
0
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 俺は久しぶりに嫌な夢を見た。鋸を持った男が俺の部屋に立っている。俺は恐怖のあまり身じろぐ事も出来ずにその男を眺めていた。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:22:47
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 男が鋸を振りかぶったかと思うと、突然家の柱を切り付け出した。思わず俺は「やめやがれ!」と叫ぶ。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:24:15
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 声に反応したのか、男はゆっくりとこちらを振り返った。その顔は無残にも潰されていて、鼻と目の区別もつかないほどであった。そして、膨れ上がり血を流す皮膚のいたる所に釘が打ち付けられている。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:25:26
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 膨れ上がった顔面で、そこだけ割れ目のように裂けている赤い口がニヤァと歪んだ。「お前もこうなりたいか?お前もこうなりたいか?してやろうか?してやろうか?俺と同じにしてやろうか?」 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:27:49
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 男はゆっくりと俺に近付いてくる。俺は金縛りにあったかのように身動きが取れなかった。そして……男の鋸の刃が、俺の眼前に迫る―― #kaidan_bsr

2011-07-15 22:30:27
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes そこで目が覚めた。嫌な夢だと唾を飲み込もうとしたが、口内がカラカラに乾いていてうまく出来ない。俺は水を飲むために立ち上がろうとして、その姿のまま固まった。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:33:20
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 俺の眼前の柱に、無残な傷がいたる所に残されていた。寝る前までなかったはずのそれは、刃物で激しく切りつけられたようにしか見えない。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:34:23
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 俺は思わずその場で腰を抜かしてしまった。あの男が、現実に関与してきている。もし、あの鋸が俺自身を切りつけたとしたら……。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:36:00
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes その日講義が終わった俺は、食堂で毛利を探した。寺生まれで霊感の強い奴ならなんとか出来るだろう。しかし、奴は話を聞いて「所詮夢であろう?大男がその程度で……情けない事よ」と鼻で笑いやがった。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:38:04
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes あれが気のせいだって言うのかよ。でも奴は俺になんらかの支障が出るまで動かないのかもしれない。そう考えて頭を抱えている俺の肩を叩く者がいた。後輩の家康だ。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:40:00
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 「元親、大丈夫か……?」心配そうな家康に、俺はもはや藁にも縋るような思いで今日の夢の事を話した。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:41:32
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 話を聞いた家康は微笑んで「大丈夫だよ元親。お前には神の加護がついているからな」と言うと、そのまま行ってしまった。そういえばあいつは教会育ちだったなと、足取りが重い帰り道の中でふっと思い出した。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:42:45
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 本当は眠りたくなかったが、明日は朝早くから用事がある。何もない事を祈りながら俺は床についた。  しかし、俺の願望はあっさりと裏切られる事となる。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:45:12
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 「つづき、つづき、つづき!つづき!つづき!つづき!」狂ったように叫ぶあの男が俺の目の前に立っていた。もはや俺には家康の言葉を信じてひたすら祈る事しか出来なかった。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:47:09
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes それでも事態は一向に変わらず、男がついに鋸を振り上げたのを見て、俺は固く目を瞑った。もう駄目か……! #kaidan_bsr

2011-07-15 22:49:19
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes そう思った瞬間、部屋の隅に積み上げてあった本が崩れ落ちる音がした。「あいたたた……毛利殿みたいに静かにいこうと思ったんだがなぁ……」音の方を見れば、本のタワーに躓いたらしい家康がしゃがみ込んでいた。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:51:31
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 家康に気付いたらしい男が例のニヤァという嫌な笑みを浮かべ、俺に向けていた鋸を家康の頭目掛けて振り下ろそうとしている!「危ねぇ家康!」俺が叫ぶのと、男が鋸を振り下ろすのはほぼ同時だった。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:53:07
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 息を詰まらせた俺だったが、家康は振り下ろされる鋸の刃を素手で受け止めた!口を歪めて驚いた様子を見せる男に家康は微笑みかける。「神の御加護があらんことを……」家康がそう呟くと、男は凍りついたかのように硬直した。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:56:05
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 「 ア ー メ ン 」家康が胸の前で十字を切ると、男の身体を金色の光が包み込み、跡形もなく消し去った。家康は手に刺さった鋸を抜いて、血まみれになった手を隠しながら俺に笑いかける。  そこで俺は目を覚ました。 #kaidan_bsr

2011-07-15 22:58:54
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 昨日の出来事を引っ捕まえた毛利に話すと「全身をかき消した、か……。奴め、また力を付けおったな……」などとカツ丼のカツを突きながら呟いた。 #kaidan_bsr

2011-07-15 23:02:06
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 「毛利殿も、本当は助けるつもりだったのだろう?」どこからともなく現れた家康が毛利の隣に座りながら、ニコニコと笑っている。毛利はぶすっとした表情で横を向いた。 #kaidan_bsr

2011-07-15 23:03:16
種 一@刀の筋肉勢美味しい @tanehajime

@now_fes 「我はそこまで暇ではない。それより貴様、その手はどうした?」「これは……料理中にちょっと手を滑らせたんだ」手に巻いた包帯を隠して苦笑する家康を見て、寺生まれも凄いが教会育ちも凄い、と新たな感動を覚えずにはいられなかった。 #kaidan_bsr

2011-07-15 23:05:03