2021年3月21日

<コメント記録>(主に)過剰診断の定義に関する記録/NATROMのブログ

●(主に)過剰診断の定義に関する記録/NATROMのブログ https://natrom.hatenablog.com/entry/0021/02/08/000000
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KDN @KDNuc

●(主に)過剰診断の定義に関する記録/NATROMのブログ  natrom.hatenablog.com/entry/0021/02/…

2021-03-21 08:31:52
リンク NATROMのブログ (主に)過剰診断の定義に関する記録 - NATROMのブログ ツイッターにおいてAGAPEROSさんと過剰診断について会話をしているが、なるべく誤解を招かないような丁寧な回答を心掛けると、字数制限があるツイッターでは難しい。また、ひとところにまとめておくとAGAPEROSさんと同じ誤解に陥っている人に助けもなると考え、ブログでも回答する。先生のブログを読んでる途中ですが下の写真で過剰診断は3人とされてますが 先生の定義では8人では?治療の要否は関係ないのですよね?いつから変わったのですか? pic.twitter.com/7cLtg3M23G— AGAPEROS ( 20 users


AGAPEROS

先生 質問です
5人が将来発症するか 死亡の原因になったりする癌だと言う事は分かりました
この対照群と検診群は全員が亡くなるまで観察したのですか?
そうで無いなら なぜ 検診で増えた3人が生涯発症しないか発症してもその癌で亡くならないと断言出来るのですか?
次に ASをしても過剰診断であるならば 「福島の検査では過剰診断が多い」と仰られる中にはASの数も入っているという事ですね
ASなら無用な手術をするより問題はかなり少ないと考えますが如何ですか?
また AS以外の過剰診断はどの程度あるとお考えですか?


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさん、ご質問ありがとうございます。

この対照群と検診群は全員が亡くなるまで観察したのですか?

全員が亡くなるまで観察したという設定です。

「過剰診断」とは何か
https://natrom.hatenablog.com/entry/20150324/p1

「長期間、生涯にわたってフォローアップした」と書いていますのでご確認ください。【生涯にわたって】という部分がポイントです。現実のランダム化比較試験では「全員が亡くなるまで」「生涯にわたって」観察することはきわめて困難です。ですが、「そうはいっても、もっとも遅く成長するがんのリードタイム(検診で発見・診断された時点と検診がない場合に症状を呈して診断された時点の時間差)より長ければ十分だろ。他の原因でどんどん死んでいくし」という感じです。

https://academic.oup.com/jnci/article/102/9/605/894608

の"Although the duration of follow-up necessary to completely catch-up is equal to the lead time of the slowest growing cancer…"あたり。誤差はあっても十分に小さいです。「理想気体」と現実の気体の差のようなものです。

次に ASをしても過剰診断であるならば 「福島の検査では過剰診断が多い」と仰られる中にはASの数も入っているという事ですね

入っているかもしれませんし、入っていないかもしれません。明確なデータは出ていませんが、福島では小さいがんはASではなくはじめから診断しないようにしているとも聞いています。ASが入っていようがいまいが福島の検査では過剰診断が多いです。少なくとも、ASが入っているから過剰診断は少ないとか多いとかは言えません。よしんば福島で過剰診断が少ないとしたら、多くの「見落とし」が生じているか、何か現代の医学では説明できないような未知の技術が使われているかです。

ASなら無用な手術をするより問題はかなり少ないと考えますが如何ですか?

その通りです。【無用な手術をするよりは】問題はかなり少ないです。ASでは過剰診断の数は減らせませんが、過剰診断の害を減らすことはできます。ただし、念のため申し上げますが、手術よりは害が小さいというだけで、過剰診断だろうと「狭義のスクリーニング効果」だろうと、がんと診断されることは害があります。とくに、小児・青年期にがんと診断される害はきわめて大きいと私は考えます。無用な手術より害が小さいからと、明確な利益(がん死亡率を下げる、など)なしに正当化できるようなものではありません。比較の対象は「無用な手術」ではなく「検診をしない場合」です。

また AS以外の過剰診断はどの程度あるとお考えですか?

ざっくり推定ですが80~90%ぐらいかと。小児なので「狭義のスクリーニング効果」は成人より少ないでしょう。具体的な数字を挙げると根拠はどうだとか言われるんですが、ポイントは、甲状腺がん検診から得られる利益はないか、あっても微々なので、正確な過剰診断の割合がわからなくても検診はやめたほうがいいという点です。検診を行いたい立場であるなら、検診によってどんな利益が何人中何人にあるか、ざっくり推定でもいいから述べるべきですが、見たことありません。

検診の利益と害については、以下が参考になります。

「過剰診断があるから甲状腺がん検診は止めるべき」、などと言うべきでは無い
https://interdisciplinary.hateblo.jp/entry/2018/03/07/102117


AGAPEROS

回答有難うございました。
次にお伺いしたいことは、超音波検査で発見される嚢胞や結節や腫瘍は病気かどうかと言う点です。
また 癌であるかどうかを診断するために医師の指示の下超音波検査を実施しますが これは 精密検査の要否を判断すると言う意味で 広い意味での診断の一貫ではないでしょうか?
過剰診断の定義に関わるので教えて頂きます様 お願い致します。


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

超音波検査で発見される嚢胞や結節や腫瘍は病気かどうかと言う点です。

(それこそ「病気」の定義によりますが)病気と言っていいでしょう。「あなたには甲状腺結節があります」と診断することは、過剰診断である可能性があります(というか超音波検査で発見された無症状の甲状腺結節のほとんどが過剰診断であろう)。「甲状腺結節の過剰診断」は「甲状腺がんの過剰診断」よりずっと害は小さいですが、それでも害はゼロではなく、数で言えばずっと多く発生します。広く薄く害をばらまいているようなものです。

ツイッターのやり取りでは、ただ「過剰診断」と述べるのではなく、意図的に「甲状腺がんの過剰診断」と述べていたところがあります。『良性腫瘍は甲状腺がんとは診断されませんので「甲状腺がんの過剰診断」ではない』とか『診断フローなどで甲状腺がんの過剰診断を減らすことはできますが…』とかです。一生涯症状が出ない良性腫瘍を診断することは過剰診断ですが、「甲状腺がんの過剰診断」ではありません。「診断フローなどで甲状腺がんの過剰診断を減らすことはできます」が、提示された診断フローでは「甲状腺結節の過剰診断」は減らせません。

癌であるかどうかを診断するために医師の指示の下超音波検査を実施しますが これは精密検査の要否を判断すると言う意味で広い意味での診断の一貫ではないでしょうか

「超音波検査」は検査であって診断ではありません。たとえば、新型コロナのPCR検査も診断ではありません。検査の結果、「甲状腺分化がん」とか「新型コロナウイルス感染症」とか医師が判断するのが「診断」です。


AGAPEROS

先生 回答有難うございます。
確認ですが一般的な過剰診断の定義の「診断すること」の部分を菊池誠先生は「見つけること」と仰ってましたが、これは明確に間違いですね。
これも正しいとすると、検査で嚢胞等を見つけることも 過剰診断となって、先生のご説明と矛盾します。
次に、福島の二次検査で、精密検査(血液検査、尿検査、詳細なUT)の後、診断基準に基づき良性であれば医療機関で経過観察、悪性であれば細胞診に進むと言う所がありますが、当然、これは診断基準に基づき診断しているのだから、この良性腫瘍も過剰診断になるという事で宜しいでしょうか?


AGAPEROS

図を添付出来なかったのでURLを添付します。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kojyosen.html


AGAPEROS

先生、回答有難うございます。
以前 文脈を読んで言葉を付け加えた所、それはいけないと仰られたことがあります。
今回の「見つける」と言う言葉も、診断すると言う意味に取ることも出来ますが、字義通りに解釈すれば検査で検出すると言う意味にしか取れません。少なくとも誤解を惹起するという意味で、特に、素人相手には使うべきではないと考えますが如何でしょうか?
また、福島の診断フローに付いてURLを添付しましたがご覧になられていないのでしょうか?
二次検査の図には細胞診の前に診断基準があり、そこから、良性の場合は経過観察への線が出ております。
この場合もASになると考えますが、以前、ASも過剰診断であると仰ってましたから、この場合も過剰診断になるのではないかと考えますが如何でしょうか?


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさんへ。

確認ですが一般的な過剰診断の定義の「診断すること」の部分を菊池誠先生は「見つけること」と仰ってましたが、これは明確に間違いですね。

「明確に間違い」とは言えません。菊池誠先生は、「見つける」ことと「診断する」ことを、おおむね同じ意味で使っているだけでしょう。私もそんなに厳密には区別していません。TAKESANさんがおっしゃられるように、「文脈にもよりますが、《見つける》が《診断》とほぼ同義で用いられる事」はありますし、「《がんが見つかった》と日常的に表現した場合、それが《診断された》のを指す」こともあります。

発見と診断を厳密に区別し、「見つけることは検出であって診断ではない」「見つけることが本質では無く診断することが本質」という立場の人もいるでしょう。その立場も別に間違いではありません。ただ、発見と診断を厳密に区別している立場の人が、過剰診断を「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を【発見】すること」と定義しているところを私は知りません。私が『誰も「発見すること」とは定義していません』とツイートしたのは、それ以前の「見つけることが本質では無く診断することが本質」だという仮定をおいたツイートに続いて、そのような意味で過剰診断を「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を(【診断】ではなく)【発見】すること」と定義している人はいない、という意味でした。この点は言葉が足らず誤解の余地がありました。申し訳ありません。字数制限のあるツイッターでは、このような誤解が生じる可能性が常にあります。こうしてブログのコメント欄でご質問していただけることに感謝いたします。

正直なところを申し上げますと、がんの過剰診断を論じる文脈で、「見つける」ことと「診断する」ことを厳密に区別する意味が私にはわかりかねます。「がんを見つけたがまだ診断はしていない」という状況がありえないからです。菊池誠先生のツイートは、ときに不適切であったり不正確であったりすることはありますが、少なくとも『「診断すること」の部分を「見つけること」とした』点は、別にどちらでもよろしいのではないかと考えます。

これも正しいとすると、検査で嚢胞等を見つけることも過剰診断となって、先生のご説明と矛盾します。

検査で嚢胞を見つけることは「甲状腺嚢胞」と診断されることとほぼ同義です(例外は嚢胞を見つけても見ないふりをして報告書に記載しない、など)。甲状腺嚢胞のほとんどは治療をしなくても一生涯症状を呈しませんので、検査で嚢胞を見つけることは、甲状腺嚢胞の過剰診断です。この段階では、嚢胞を見つけただけで、甲状腺がんは見つかっていませんし、甲状腺がんとは診断されていませんので、「甲状腺がんの過剰診断」ではありません。

次に、福島の二次検査で、精密検査(血液検査、尿検査、詳細なUT)の後、診断基準に基づき良性であれば医療機関で経過観察、悪性であれば細胞診に進むと言う所がありますが、当然、これは診断基準に基づき診断しているのだから、この良性腫瘍も過剰診断になるという事で宜しいでしょうか?

既に指摘がありますが、「悪性であれば細胞診に進む」のではありません。細胞診で悪性かどうかを判断するのです。言い換えれば、細胞診検査を行い、その結果でもって、悪性であると判断することが、甲状腺がんの【診断】です。今の臨床の現場では、細胞診検査もしくは病理組織検査なしに、甲状腺がんと診断することはほぼありません。「字義通りに解釈すれば検査で検出する」ことが「見つける」と字義通りに解釈してもいいですが、甲状腺がんは「細胞診検査もしくは病理組織検査で検出する」と解釈していただければ問題はないと思われます。

細胞診を行うまでは甲状腺がんは【診断】もされていなければ【発見】もされていません。診断および発見されているのは、強いて言えば「甲状腺がんが疑われ細胞診が必要だと判断された甲状腺結節」です。がんであろうとなかろうと、甲状腺結節のほとんどは治療をしなくても一生涯症状を呈しませんので、ほとんどが「甲状腺結節の過剰診断」です。ただ、細胞診を行い診断が確定するまでは甲状腺がんは診断も発見もされていませんので、「甲状腺がんの過剰診断」ではありません。

画像所見や細胞診を行った結果、がんではなく良性腫瘍だと診断できたとしましょう。甲状腺良性腫瘍のほとんどすべては「甲状腺良性腫瘍の過剰診断」です。ただ、がんとは診断されていませんし、もちろん発見もされていませんので、「甲状腺がんの過剰診断」ではありません。

二次検査の図には細胞診の前に診断基準があり、そこから、良性の場合は経過観察への線が出ております。
この場合もASになると考えますが、以前、ASも過剰診断であると仰ってましたから、この場合も過剰診断になるのではないかと考えますが如何でしょうか?

AS(active surveillance)は、通常の経過観察と比較して、頻回の検査を行うという意味合いがあります。甲状腺良性腫瘍の経過観察についてはASと呼ばれていないと思いますし、呼ぶべきではありません。また、ASだろうと通常の経過観察だろうと放置だろうと、「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない甲状腺良性腫瘍を診断」したら、「甲状腺良性腫瘍の過剰診断」です。甲状腺がんは発見も診断もされていませんので、「甲状腺がんの過剰診断」ではありません。


AGAPEROS

TAKESAN さん
なとろむ先生からしか返答が来ないと思い込み 勘違いしました。済みません。
なとろむ先生は正確には『「超音波検査」は検査であって診断ではありません』ですが、これは「検査も診断の一貫」に対する否定で「診断を拡大解釈してはいけない」と言う主旨です。
今は、過剰診断の定義を明確化しようとしているのですから、わざと紛らわしいケースを挙げて確認している所ですから、すり合わせが出来てなくても間違わない様に定義を明確化しなければならないと考えます。
TAKESANさんは『過剰診断があるから甲状腺がん検診は止めるべき」、などと言うべきでは無い』の中で『見つける事』と定義しているから、診断することを見つけると言うと主張されるのは分かります。その通りなのでしょう。
しかし、菊田誠先生は「…見つけること」と言うだけで無く「無症状者への甲状腺エコーを続ければ、これからも「見つけなくてよかったはずの自然発生の甲状腺がん」を次々と見つけることになります」と「エコーで見つけること自体に害がある」と言う主旨の発言をしています。
これは、言葉通りに「見つけること」と解釈しているか、故意に勘違いさせようとしているかの何れかです。
故意とは考えにくいので、前者であると考えます。
次に、福島の診断フローに関する件は意図がよく分かりません。
「悪性であれば細胞診に進む」は順序が逆とのご指摘は、撤回されたのでしょうか、それとも、私が何か勘違いしているのでしょうか?
「二次検査の中の診断基準により振り分けを行なっている部分は診断基準に基づき診断している」と言えないとのご主張でしょうか?
「良性腫瘍で生涯発症しないものを良性腫瘍と診断しても過剰診断」は同意されているということで宜しいでしょうか?
ASには癌とも良性腫瘍とも診断しないでのASと、良性腫瘍と診断してのASと、癌と診断してのASがあると承知しておりますが、何か勘違いがあるのでしょうか?
尚、濃いクリーム色の矢印が私には見えませんが、濃いグレーの矢印のことでしょうか?


AGAPEROS

『「悪性であれば細胞診に進む」は順序が逆とのご指摘は、撤回されたのでしょうか、それとも、私が何か勘違いしているのでしょうか?』は撤回します。
この段階では「悪性疑い」であって「悪性」ではないのですね。私の勘違いでした。


AGAPEROS

suzanさん
どなたに向けてのコメントか分かりませんが、私の感想は
仰ることに異論はありません
しかし、子宮頸がん検診は厚労省も意義を認めている検診で、検診の有効性も認められている。誰も過剰診断を問題にしていない。
まして、過剰診断の定義の問題とは関係ないのでは?


AGAPEROS

なとろむ先生 TAKESANさん
丁寧な回答を有難うございます。過剰診断の一般的な概念については概ね理解出来たと考えております。
(まだ、時々勘違いはあると思いますが^_^)
今まで私が考えていたのは厳密には違うかも知れませんが(必要以上に過剰な治療を行うのでは無く)生涯発症しない恐れのある癌に対して不必要な手術を行なってしまうと言う意味での過剰治療のことであったと考えています。
過剰診断の害は幾つかに分けられると考えます。
1.過剰治療の誘発とそれに伴う不利益
2.癌と診断されることに伴う精神的苦痛や不安
3.癌患者と認定されることに伴う社会的不利益
この内、
1.は診断基準やフローを工夫することにより低減可能。
2.は丁寧な説明を行うことで低減可能。
3.は例えば保険会社への啓蒙活動など、広く社会の無知や偏見を啓蒙する活動によって低減が可能ではないかと考えますが如何でしょうか。

今後は、過剰治療にテーマを変えて、Twitterでなとろむ先生にご質問して回答が得られていなかった件についても質問したいのですが、宜しいでしょうか?
(ブログのタイトルと内容がズレてしまいますが)


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさんへ。

しかし、菊田誠先生は「…見つけること」と言うだけで無く「無症状者への甲状腺エコーを続ければ、これからも「見つけなくてよかったはずの自然発生の甲状腺がん」を次々と見つけることになります」と「エコーで見つけること自体に害がある」と言う主旨の発言をしています。

TAKESANさんのご指摘のように、エコー検査そのものと検診プログラム全体を区別するほうが望ましいのですが、現在の医療技術では、甲状腺エコー検査をしておきながら甲状腺がんの過剰診断を避ける方法(※)はありません。『「見つけなくてよかったはずの自然発生の甲状腺がん」を次々と見つけることになる」』というのは事実であろうと思います。何をそんなに問題にしているのか私にはわかりかねます。

※過剰診断を「減らす」方法はありますが、減らしたとしてもたくさんの過剰診断が生じます。例の、過剰診断を半分にしても、甲状腺がんと診断された人のうち過剰診断の割合は95%が90%になるぐらい、という話です。

「二次検査の中の診断基準により振り分けを行なっている部分は診断基準に基づき診断している」と言えないとのご主張でしょうか?

二次検査から細胞診を行うかどうかの判定は誤解を招きうるの診断基準と呼ばないほうがいいと私には思われますが、まあそう呼びたいのであれば、「二次検査の中の診断基準により振り分けを行なっている部分は診断基準に基づき診断している」と言ってもいいです。ただ、「二次検査の中の診断基準により振り分けを行なっている部分は診断基準に基づき【甲状腺がん】と診断している」わけではありません。より正確には「二次検査の中の診断基準により振り分けを行なっている部分は診断基準に基づき【甲状腺がんが疑われ細胞診が必要だと判断された甲状腺結節】と診断している」です。細胞診検査を行い悪性だと結果が出た時点で、【甲状腺がん】と診断されます。

「良性腫瘍で生涯発症しないものを良性腫瘍と診断しても過剰診断」は同意されているということで宜しいでしょうか?

同意しています。定義上「良性腫瘍の過剰診断」です。小さいですが害があります。というか害しかないです。

ASには癌とも良性腫瘍とも診断しないでのASと、良性腫瘍と診断してのASと、癌と診断してのASがあると承知しておりますが、何か勘違いがあるのでしょうか?

甲状腺がんで「良性腫瘍と診断してのAS」は考えにくいと思います。良性腫瘍なら普通の経過観察でもいいし、なんなら放置でもいいのでは。

過剰診断の害は幾つかに分けられると考えます。
1.過剰治療の誘発とそれに伴う不利益
2.癌と診断されることに伴う精神的苦痛や不安
3.癌患者と認定されることに伴う社会的不利益
この内、
1.は診断基準やフローを工夫することにより低減可能。
2.は丁寧な説明を行うことで低減可能。
3.は例えば保険会社への啓蒙活動など、広く社会の無知や偏見を啓蒙する活動によって低減が可能ではないかと考えますが如何でしょうか。

その通りです。過剰診断の害は低減可能です。福島県立医科大学は十分に努力をしていると思います。ただ、低減は可能とは言え、過剰診断の害はゼロにはならないですよね。診断基準やフローを工夫することにより過剰治療は減らせますけど、ゼロにはできません。丁寧な説明で精神的苦痛や不安は減らせますけどゼロにはできません。社会的不利益も同様です。私は、たとえ害を減らすことができても、過剰診断そのものも減らしたほうがいいと考えます。AGAPEROSさんに質問ですが、

●「過剰診断の害を低減できれば過剰診断そのものを減らす必要はべつにない」とは言えない。

ことには同意していただけますか。

また、細胞診で悪性と結果が出て「甲状腺がん」と診断されたものに対して、小さいものは手術をせずにASを行うといった手術介入基準で過剰治療を減らすことはできます。過剰治療は過剰診断の害の中でも大きなものなので、手術介入基準で過剰治療の害を減らすことはできます。しかし、

●手術介入基準は過剰診断の害を減らせても過剰診断そのものは減らせない。

ことには同意していただけますか。

質問についてもどんどんどうぞ。


AGAPEROS

名取先生へ
私が何をそんなに問題にしているのか説明します。
「見つける」と言う言葉を字義通りに解釈すれば検査で検出すると言う意味になり、何故検出なのに診断と呼ぶのかと言う語義矛盾が生じます。
しかも、菊池誠先生の仰ることが誤りになります。何故なら検査で見つけているのは嚢胞や結節であって癌ではないからです。
『「見つけなくてよかったはずの自然発生の甲状腺がん」を次々と見つけることになる」』

「二次検査の中の診断基準により振り分けを行なっている部分は診断基準に基づき良性か癌疑いかを診断しているは了解しました。

「良性腫瘍で生涯発症しないものを良性腫瘍と診断しても過剰診断」は同意されているも了解しました。

ASは癌の場合だけ使い、良性腫瘍となどは経過観察などと言うも了解しました。

過剰診断の害は削減できるが0には出来ないも了解しました。
●「過剰診断の害を低減できれば過剰診断そのものを減らす必要はべつにない」とは言えない。
同意します。

●手術介入基準は過剰診断の害を減らせても過剰診断そのものは減らせない。
同意します。

質問についてもどんどんどうぞ、とのことですので早速先生の下記のお説について質問します。
※過剰診断を「減らす」方法はありますが、減らしたとしてもたくさんの過剰診断が生じます。例の、過剰診断を半分にしても、甲状腺がんと診断された人のうち過剰診断の割合は95%が90%になるぐらい、という話です。

問題:緩い基準だと1000例が甲状腺がんと診断され、そのうち過剰診断は950例、50例が非過剰診断です。一方で、厳しい基準だと過剰診断なのにがんと診断される人は475例に減ります。非過剰診断の50例は厳しい基準でも甲状腺がんと診断されます。
(1)厳しい基準で甲状腺がんと診断される人は、全部で何人ですか?
(2)厳しい基準で甲状腺癌と診断された人のうち、過剰診断の人の割合は?
これに対して先生の回答例は
私は、(1)は475+50=525、(2)は475÷525=約90%だと思います。「過剰診断の割合の分母」は、「厳しい基準でも甲状腺がんと診断される人」です。緩い基準だと1000例が甲状腺がんと診断されますが、厳しい基準だと475人に減ります。
でしたが、私の回答は色々迷いましたが最終的に
1000人が癌と診断されたのですよね
だから「厳しい基準でも甲状腺癌と診断される人」は1000人
分子は「過剰診断された人」が475人だから
475÷1000×100=47.5%です。
でした。
これに回答が有りませんので、回答をお願いします。


AGAPEROS

TAKESANさんへ
1000人が甲状腺癌と診断されと問題に書いてあります。癌の中に生涯発症しない癌と、生前に発症する癌があるのですよね。
もう一度、よく考えてください。


AGAPEROS

TAKESANさんへ
私の質問している意図を理解し、TAKESANさんには回答することが出来ないと判断したということで宜しいでしょうか?
また、ここが間違いとご指摘された所は、TAKESANさんの勘違いだと気付かれたと理解して宜しいでしょうか?


AGAPEROS

影龍さんへ
この問題は、治療不要な病気を診断しても過剰診断であるにも関わらず、癌ではないと診断されると過剰診断では無くなると言う、おかしな所があるのですが、これは、そう言う設定だからと目を瞑る事にします。
或いは、過剰治療と過剰診断を混同していた私に合わせてくれていたのか知れません。
それから、甲状腺癌の場合は治療不要な癌と治療必要な癌があることが問題であるにもかかわらず、癌であるか癌でないかになっている所もおかしいのですが多めに見ます。
最大の問題は、分母の取り方です。
例えば、箱の中にみかんに間違えられてオレンジが950個、みかんが50個有りました。オレンジの割合は95%です。
このオレンジを半分みかんに取り替えました。
これにより、オレンジは475個、みかんは475+50=525個となりました。
さて、オレンジの割合は何%ですか?
と言ったら、普通、475/1000×100=47.5%となりますが、皆さんは475/525=約90%と言うわけです。
何故かみかんの数に対するオレンジの数の割合になってます。
これでは、数を半分にしても割合が半分に成らないのは当然で、違う分母のものを比較しているからです。
ここまで来ると、何故、癌か癌じゃないかとしたのかが分かります。どちらも癌だと、分母を甲状腺癌と診断された数とした時都合が悪いからです。
影龍さんの仰る通り、問題の解答としては475/525が正解なのですが、その問題そのものが誤った問題なのです。本来、分母は診断を受けた数でなければいけません。たまたま、緩い基準の時は、診断数と要治療の癌と診断された数が一緒だったから気づかなかったのです。
もし、50人が癌じゃないと診断されていたら、答えはどうなりますか?
緩い基準では、癌と診断された数が950人、過剰診断数が950人で100%となり、厳しい基準では、同じく475/475=100%となります。
過剰診断の数が変わらないのに、過剰診断数が変わってしまいました。
これは、分母の取り方を間違えているからです。
正しい分母の足り方をすれば私の回答の通りになります。


AGAPEROS

訂正です。
誤「過剰診断の数が変わらないのに、過剰診断数が変わってしまいました。」
正「過剰診断の数が変わらないのに、過剰診断率が変わってしまいました。」


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさんへ。

●「過剰診断の害を低減できれば過剰診断そのものを減らす必要はべつにない」とは言えない。
同意します。
●手術介入基準は過剰診断の害を減らせても過剰診断そのものは減らせない。
同意します。

ありがとうございます。AGAPEROSさんと同意できる部分が確実に増えていっていることをうれしく思います。

でしたが、私の回答は色々迷いましたが最終的に
1000人が癌と診断されたのですよね
だから「厳しい基準でも甲状腺癌と診断される人」は1000人
分子は「過剰診断された人」が475人だから
475÷1000×100=47.5%です。

「最終的に1000人が癌と診断された」のは緩い基準での話です。厳しい基準だとがんと診断される人は1000人より少なくなります。がんと診断される人が1000人で変わらないのであれば、別に厳しくともなんともありません。

念のため確認します。ここでいう「緩い基準」「厳しい基準」は、既に診断してしまった甲状腺がんを手術するか、それともASするかという基準(手術介入基準)のことではありません。「手術介入基準では過剰診断そのものは減らせません」からね。甲状腺がんの過剰診断を減らすには、細胞診にいたる以前のプロセスを変える(厳しくする)必要があります。たとえば、緩い基準だと「充実性の結節は大きさに関わらず細胞診を行う」だったところが、厳しい基準だと「1.0cm以下の結節は細胞診をしない」など(※)。厳しい基準だと、最終的に甲状腺がんと診断される人が減り、同時に甲状腺がんの過剰診断も減ることはおわかりでしょうか。

※実際にはもっといろいろ複雑ですが本質には影響しません。

TAKESANさんの蟹のたとえ話があまりピンとこなかったようなので、別の話にたとえるのではなく、より具体的な話に落とし込む方向で説明を試みます。以下は、単純化されているとはいえ、実際に起こり、そして起こりつつあることです。

A国では甲状腺エコーを行い、小さな結節に対しても積極的に細胞診を行い(緩い基準)、甲状腺がんを診断していました。がんの診断数はやたらと増えましたが、がんの死亡率は変わりません。がんの診断数が増えたのは、放射線被ばくとか生活習慣の変化とか農薬の影響とかが原因でがんが増えたのではなく、治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない甲状腺がんを診断していたのです。つまり過剰診断です。罹患率の増加分やそのほかいろいろな情報を合わせると、無症状で発見された甲状腺がんのうち、過剰診断の割合は95%ぐらいだろうと推計されました。つまり、緩い基準で1000例が甲状腺がんと診断されたとすると、そのうち過剰診断は950例、50例が非過剰診断です。

これはいけない、ということで、緩い基準を見直すことにしました。色々あって、「1.0cm以下の結節は細胞診をしない」という「厳しい基準」を採用することにしました。厳しい基準を採用する以前のA国での記録を参照すると、無症状で発見された甲状腺がんのうち、診断時点で1.0cm以下の結節は50%ぐらいでした(問題文との整合性を気になさるなら47.5%としましょう)。厳しい基準を採用すると甲状腺がんと診断される人は約半分になります(問題文との整合性を気になさるなら52.5%です)。

1.0cm以下の結節の中にも細胞診をしたら甲状腺がんと診断されるはずの人はいます。厳しい基準で細胞診を抑制すると甲状腺がんを見落とすことになりますが、どうせ小さな結節に細胞診をして診断をつけたところで、ほとんどは過剰診断です。細かいことを言うと、厳しい基準では甲状腺がんと診断されない「見落とし」例の中には過剰診断ではない人もごく少数いますが、そこは誤差範囲内としてないものとします。

まとめます。A国では、緩い基準のころは、甲状腺がんと診断された1000例のうち、過剰診断は950例、非過剰診断は50例でした。また、緩い基準のころは、甲状腺がんと診断された1000例のうち、475人が腫瘍径1.0cm以下、525人が1.0cmより大きかったです。腫瘍径1.0cm以下の475人は全員過剰診断とみなしていいとします。今後は、「1.0cm以下の結節は細胞診をしない」という厳しい基準を採用します。緩い基準だったら1000人が診断されていたところ、厳しい基準を採用したらどうなりますか。

(1)厳しい基準で甲状腺がんと診断される人は、全部で何人ですか?
(2)厳しい基準で甲状腺がんと診断された人のうち、過剰診断の人の割合は?

このオレンジを半分みかんに取り替えました。

取り換えていないんです。

これでは、数を半分にしても割合が半分に成らないのは当然で、違う分母のものを比較しているからです。

違う分母になるという話をしています。

たまたま、緩い基準の時は、診断数と要治療の癌と診断された数が一緒だったから気づかなかったのです。

この問題では要治療かどうかは関係ないのです。


AGAPEROS

皆さんへ
私は10000人なりが受診して、1000人に結節か嚢胞が発見されたと仮定しました。
この1000人の内、50人は本当の癌、950人は良性腫瘍なのに癌と過剰診断された。
基準を厳しくしたら、950人の半分475人が良性腫瘍と正しく診断され、過剰診断は475人に減った。
緩い基準では、95%が過剰診断。
厳しい基準では、47.5%が過剰診断。
もし、この1000人の内、50人が良性腫瘍と正しく診断され、950人が良性腫瘍なのに癌と過剰診断されたと仮定すると。
緩い基準では95%
厳しい基準だと47.5%
となると考えますが、如何でしょう。
皆さんの計算式だといずれも100%になるのですが、同じ100%でも過剰診断の数が倍違う事になって、この過剰診断率が何の評価に使えるのか分かりません。
皆さんの仮定は、基準を厳しくすると嚢胞や結節を持っている人の数自体が減ってしまう想定になってますが、そんな事はないのでは?
診断基準は見つかった嚢胞や結節を治療が必要か必要でないか振り分けるものですよね。
この場合、分母は嚢胞や結節を認めた人数であって、
癌と診断された人ではないのでは?


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

例えば、箱の中にみかんに間違えられてオレンジが950個、みかんが50個有りました。オレンジの割合は95%です。

腫瘍径が大きいほど過剰診断である割合は小さい一方で、みかんとオレンジではオレンジの方がサイズが大きいので、たとえとしてはあまりよくありません。また、オレンジとみかんは容易に区別がつきますが、実際の臨床では過剰診断かそうでないかの区別がつきがたいので、やはりたとえとしてよくありません。それはそれとして、無理矢理、箱の中のオレンジとみかんにたとえるとこんな感じです

箱の中にオレンジが950個、みかんが50個ありました。オレンジは要らないけど、みかんは全部取り出したいとしましょう。これまでは箱の中の柑橘類は全部出していました(=緩い基準)。確かにみかんは50個全部取り出せますが、オレンジも950個混じります。これは効率が悪い。

あるとき、頭のいい人がオレンジはサイズが大きい傾向に気づきました。小さいオレンジもあるけど、大きい柑橘類はほとんどすべてがオレンジです。ふるいにかけて、一定サイズ以下の柑橘類だけが箱から出るようにすると、みかんのほとんどが全部箱の外に出る一方で、オレンジの半分ぐらいは箱の中に残って外に出ません(=厳しい基準)。もしかしたら、ふるいに引っかかるぐらい大きなみかんもあるかもしれませんが、そこは誤差範囲内としてないものとします(=厳しい基準では過剰診断ではない甲状腺がんを見落とすかもしれないが数としては小さいので無視する)。

オレンジ950個の半分、475個がふるいにかかって箱の外に出ないようにすると、箱の外に出るオレンジは残りの475個です。みかんは50個全部外に出ます。外に出た柑橘類は全部で何個で、そのうちオレンジの割合はいくら?


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

この1000人の内、50人は本当の癌、950人は良性腫瘍なのに癌と過剰診断された。

ここが違うので、このあとが全部違います。「950人は良性腫瘍なのに癌と過剰診断された」のではないんです。良性腫瘍なのにがんと診断されたとしたら、それは誤診です。誤診と過剰診断は違います。[ https://natrom.hatenablog.com/entry/20150324/p1 ]の「過剰診断は、誤診や偽陽性と異なる」を参照してください。

緩い基準で甲状腺がんと診断された1000人は、みな、誤診なく、1000人が1000人とも正しく甲状腺がんを甲状腺がんだと正しく診断されたのです。1000人のうち「本当のがん」は1000人です。1000人全員が細胞診もしくは病理検査を受けています。「本当のがん」と診断されても結構な割合が過剰診断なのでやっかいなのです。

たぶん「『良性腫瘍と診断しても過剰診断だ』と言っていたじゃないか」という反論が予想されますが、それは「良性腫瘍の過剰診断」であって、「甲状腺がんの過剰診断」ではありません。何度か強調しています。ここのコメント欄の『一生涯症状が出ない良性腫瘍を診断することは過剰診断ですが、「甲状腺がんの過剰診断」ではありません…』あたりを参照してください。


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

訂正です。

×緩い基準で甲状腺がんと診断された1000人は、みな、誤診なく、1000人が1000人とも正しく甲状腺がんを甲状腺がんだと正しく診断されたのです。
○緩い基準で甲状腺がんと診断された1000人は、みな、誤診なく、1000人が1000人とも甲状腺がんを甲状腺がんだと正しく診断されたのです。


AGAPEROS

名取先生ご回答ありがとうございます。
自分の勘違いしている部分が分かった気がします。
先生の問題文は下記の通りですが、単に「過剰診断」と書いてある所と「甲状腺癌の過剰診断」と書いてある所が、混在しています。これが勘違いのもとではないかと考えます。
良性腫瘍を良性腫瘍と診断しても、過剰診断の可能性は高いと考えると、辻褄が合いませんから先生の問題文は次の様に考えなくてはなりません。
『※(甲状腺癌の)過剰診断を「減らす」方法はありますが、減らしたとしてもたくさんの過剰診断が生じます。例の、(甲状腺癌の)過剰診断を半分にしても、甲状腺がんと診断された人のうち過剰診断の割合は95%が90%になるぐらい、という話です。

問題:緩い基準だと1000例が甲状腺がんと診断され、そのうち過剰診断は950例、50例が非過剰診断です。一方で、厳しい基準だと[(過剰診断なのに)()内削除]がんと診断される人は475例に減ります。非過剰診断の50例は厳しい基準でも甲状腺がんと診断されます。
(1)厳しい基準で甲状腺がんと診断される人は、全部で何人ですか?
(2)厳しい基準で甲状腺癌と診断された人のうち、過剰診断の人の割合は?』
となります。
また、『減らしたとしてもたくさんの過剰診断が生じます』との表現は適切ではないと考えます。これは、甲状腺癌以外の過剰診断を指しているのか、甲状腺癌の過剰診断を指しているのかはっきりしませんが、以下の問題文を読むと甲状腺癌の過剰診断を半減させても95%が90%にしか成らないを根拠にしている様に読めます。
しかし、「たくさん」は数を指す言葉であり、数は半減しているのであるから矛盾している様に感じます。
また、自分の間違いが分かった今でも、過剰診断率の分母を「癌と診断された数」とすることには問題があると考えます。
極論すると、1000人に結節や嚢胞が検出され、その内2人だけが癌と診断されたが、過剰診断だった場合。
甲状腺癌の過剰診断率は100%となります。
これを、厳しい基準で半減させたとしても、やはり100%となります。
過剰診断率が100%であるのに実際に過剰診断された人はたったの1人又は2人となり、100%と言う情報から実際の過剰診断された人数も導けません。
1000人に1〜2人が過剰診断であれば過剰診断は抑制されていると判断されるでしょう。それが100%では過剰診断だらけに見えてしまう。
こうなったのは、分母の取り方が悪いからとしか考えられないのですが、何かまだ勘違いしているのでしょうか?


AGAPEROS

TAKESAN さんへ

癌に対する過剰診断に限らず良性腫瘍の過剰診断などもあると分かった段階でしたので、うまく意図が理解出来ませんでした。
失礼な発言についてはお詫びします。

《たくさん》は、…割合を指すと見るのは文脈から…
文脈を読んで失敗したので、敢えて読まない様にしている所があります。
過剰診断に関しては「95%を半減させても90%にしか成らない」とか、「ASしても過剰診断は減らない」とか「良性腫瘍を発見しても過剰診断」とか逆説的なことが当たり前の様に語られるので、納得いかないと言うか腑に落ちないので、つい不審に思ったり、詰問調になったりしてしまいました。申し訳ありませんでした。
ガイドラインや各種論文での評価は全部間違っているのでしょうか?
論文に載っている式とは知りませんでした。
過剰診断率については、ネットで調べても計算式が出て来ませんでした。出来れば、計算式が載っている文献を教えて欲しいです。
ご提示頂いた資料にも過剰診断率の計算式は見つかりませんでした。どの辺りに書いてあるのか教えて頂けますか?
検診対象数と発見割合が判っていれば計算出来るでしょう。
これまでTwitterで名取先生の問題以外では検診対象数と発見割合などの必要データ付きで語られたのを見たことが無いので計算できないとかんがえました。
もし、過剰診断割合が100%であるのが判っていれば…検診は何の役にも立たない事が導けます。
何か無理に意味付けしている様に感じますが、1000人に一人や二人でも100%となってしまう事にはやはり違和感を感じてしまいます。
それが公式ならば仕方ないのですが、せめて
「甲状腺癌の過剰診断数を削減する為には、癌と診断する数を減らすしかない。
このため、分母の癌と診断される数も減る為、分子の過剰診断数が半分になっても、過剰診断率は半分には成らない。」
の様に予め説明するべきではないかと考えます。


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさんへ。

福島県甲状腺がん検診の過剰診断の議論は少なくとも5年以上にわたっております。議論や私のブログを読んでくださった人たちの多くは、基本的な過剰診断の考え方をご理解していただきましたし、そうでなくても「きちんと理解するには勉強が必要そうだ」というところまではわかっていただけています。ただ、ごくごく一部(ツイッター上で私の観測範囲内では両手で数えられるぐらいの人数)の人たちが、教科書を読む努力すらせずに、独自定義を駆使して議論(のようなもの)を行っています。何が彼らの理解の妨げになっているかわかれば、よりわかりやすい説明が可能になると考えています。

「95%が90%に」の話も、「高危険度がんだけを手術すれば過剰診断回避可」という間違った主張に対しての説明です。AGAPEROSさんは、「手術介入基準は過剰診断の害を減らせても過剰診断そのものは減らせない」ことに同意していただけましたので、すでに彼らよりも過剰診断を理解しておられます。彼らは何度説明しても理解しません。『「過剰診断の害を低減できれば過剰診断そのものを減らす必要はべつにない」とは言えない』ことにも同意していただけましたので、「95%が90%に」の話も相対的には重要ではありません。たとえ47.5%に減らせたとしても、その47.5%の過剰診断は減らす必要がある点について同意できているのですから。彼らは「過剰診断が(ほとんど)ない」と間違った主張をしているんです。

『単に「過剰診断」と書いてある所と「甲状腺癌の過剰診断」と書いてある所が、混在』している理由は、彼らの一部が良性腫瘍の過剰診断と甲状腺がんの過剰診断を区別せずに混乱していたせいです。過去に私は「甲状腺がんの過剰診断を議論しているときに良性腫瘍を過剰診断に含めるのは混乱を招くのでおすすめしません」と述べました。「良性腫瘍の診断のほとんどすべてが過剰診断である」なんて、いちいち口に出さなくても、過剰診断の定義と良性腫瘍の性質を知っていれば容易にわかることです。そして「95%が90%に」では良性腫瘍の話なんてしていないのです。「減らしたとしてもたくさんの過剰診断が生じます」と書いたときに「甲状腺がんの過剰診断」のことを指しているのは明らかなんです。

しかし、「たくさん」は数を指す言葉であり、数は半減しているのであるから矛盾している様に感じます。

「たくさん」という言葉は定性的ではありますが、数は半減しているからたくさんではないとか、矛盾しているとかは、言えません。定量的にも述べることは可能ですが(というか「95%が90%に」とか「950人が475人に」とか定量的に述べたのですが)、ポイントは、過剰診断の数や害を減らすように工夫された現在の基準に基づいてもなお、広く甲状腺がん検診を行えば「たくさん」の過剰診断が生じる点です。どのように言いつくろっても「たくさん」です。仮に「たくさん」の過剰診断が生じないような甲状腺がん検診があったとしたら、将来症状を呈する甲状腺がんもほとんどすべて見落とすような検診で役に立っていません。

極論すると、1000人に結節や嚢胞が検出され、その内2人だけが癌と診断されたが、過剰診断だった場合。
甲状腺癌の過剰診断率は100%となります。

よしんば「2名だけが過剰診断なのでたくさんではない」としても、甲状腺がん検診を行うべきではないという結論には変わりありません。また、その仮定においてすら福島県で行われているように広く甲状腺がん検診を行えば「たくさん」の過剰診断が生じます。たとえば、1万人に甲状腺がん検診を行うと1000人に結節や嚢胞が検出され2人が甲状腺がんと診断され、この2名は過剰診断であるとしましょう。10万人、100万人と甲状腺がん検診を広げると、「たくさん」の過剰診断が生じることはわかりますか。少なくとも「結節やのう胞が検出されたうちのたった0.2%しか、がんの過剰診断はない。99.8%はがんと診断されない」「厳しい基準で過剰診断を半減させた。1万人中1人しか、がんの過剰診断は生じない」からといって、このような検診が正当化できましょうか。


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