稲川淳二の『つぶやき怪談』(2021.02.27)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

中野通りを隔てた向かいのマンションが、 巨大なレフ板と化して、朝の陽射しを反射して、 私の部屋の奥まで、眩しい程に明るく照らします。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

あとひと月もすれば、通りの桜並木が見頃となって、 もう直ぐ春ですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

みなさん、お変りないですか？　稲川淳二です。 日、一日と気分も春めいてきますね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

例年、この時季の私の楽しみが、 センバツ高校野球。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もう大好き！　入場行進と、選手宣誓と、 “あ～あー甲子園～”の合唱・・いいなァ～・・・

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして、大相撲春場所、・・・いいなァ・・・嬉しいなァ・・・ 季節が動き始めますね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

毎年この時季には、ホント大阪の人が羨ましい。 ２つ一緒に来るんだから。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それでは、今回の「つぶやき怪談」そろそろ始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな訳で、怖ーい噺で楽しんで下さい。 稲川淳二の「つぶやき怪談」、 怖・楽しい時間を、共有しましょうね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

懐かしいような、悲しいお話なんです。 仮名でA子さんとします。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

長年付き合っていた彼氏と結婚が決まって、 山梨の叔父さんの家に挨拶に行くことになったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

Ａ子さん自身、小さい頃、 その山梨のお家で暮らしていたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

だから、その家や当時の記憶も残っている場所なんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その地方は、戦前はなんですか、時勢が次第に緊迫してきて、 軍需産業なんかで人が大勢集まっていた所だったそうです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

急激に人口が増えて、診療所とか住宅とか学校なんかが建ち並んで、 とても活気があったようです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも終戦を迎えると、あっという間に人がいなくなった所なんです。 すっかりさびれちゃったんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんなさびれた所で、 Ａ子さんは小学生時代を過ごしていたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

彼氏と二人、車で山梨のその家に向かう途中に、 昔ながらの建物や風景が残っているんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「懐かしいわねぇ」 「こんな建物、昔あったわよ･･･」 本当に懐かしさを覚える場所なんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

山梨の家につくと、 叔父さん、叔母さんが待っていてくれたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それで正式に結婚の挨拶をして、 その家に一泊したんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

次の日は、二人でドライブ旅行の予定にしたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして次の日、 彼と家を出た後、車で気持ちよくドライブしていたんです。