2021年4月1日

掌小説語り~自作つぃのべる集~65

自作つぃのべるのまとめです。 2018年9月分。
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リュカ @ryuka511

これは完全犯罪といっていいだろう。病死した母親を見下ろし密かに笑う。過去に受けた傷は、未だに私の心を苛むのだから当然の報いだ。幼い頃から、この日が早く来るように願っていた。復讐は果たされた。幼いながら全身全霊を込めて放った言霊は、毒となって私の呪いを成就させてくれたのだ #twnovel

2018-09-02 00:44:51
リュカ @ryuka511

理不尽に殺された私の復讐を遂げた恋人は断罪され地獄に落ちた。神様、あの人は本当に間違っているのですか。私はあいつを殺してと願った。そんな私も同罪、いえ、あの人を唆した私の罪はもっと重い。なぜ私は地獄へ行けないのですか。天国など望んでない、ただあの人と共にいたいだけなのに #twnovel

2018-09-03 00:33:56
リュカ @ryuka511

昔、最高気温が年々更新され、殺人的な暑さを記録した年もあったのだ。若い人には信じられないだろう。あれから数年後、地球は氷河期に入った。温暖化が問題視されていたのが嘘のようだ。厚い灰色の雲が空を覆い、太陽を拝める日はほぼ無くなった。これはあの頃、太陽を恨んだ報いなのだろう #twnovel

2018-09-04 00:26:30
リュカ @ryuka511

あの日から、君は敵になった。この道を避ける選択肢は幾らでもあったのに君は突き進んだ。ならば僕も誠心誠意受け止めよう。僕らが積み重ねた日々と想いも、確かな真実だから。もしも、僕らが同じ場所で生まれ出逢ったなら、少しは何かが違っただろうか。迷いを振り切り、君の剣を受け止める #twnovel

2018-09-05 00:48:18
リュカ @ryuka511

久々に魔女の家に行くと見知らぬ少年がいた。弟子はとらないと言っていたが。魔女に問うと、彼は魔女に魂を売った少年らしい。弟子にしてくれとしつこいから、なら私に魂を売れと言ったらあっさり頷いたそうだ。魔女は悩んでいる。魂を売り弟子になれたと思い込む彼に、真実を告げるかどうか #twnovel

2018-09-06 00:46:21
リュカ @ryuka511

古びた橋のたもとでキャンバスに向かう青年は画家志望だという。ふと見た彼の絵に衝撃を受けた。ただの古い橋と澱んだ川は、彼の目にはこんなにも美しく映るのか。思わず貧しい身なりの青年に声をかけた。「君を支援させてほしい」 数年後。彼は画家として大成する。良い投資ができた #twnovel 1/2

2018-09-07 00:46:38
リュカ @ryuka511

一流画家になった青年は笑う。貴族は意外と純粋で単純だ。彼らが「失っている」と自覚しているものを突きつけてやれば、簡単に食いついてくる。画家のパトロンという立場も、彼の経歴に箔をつけるだろう。無論、支援には感謝している。ただ、互いを利用しているだけなのだ。 #twnovel 2/2

2018-09-07 00:47:46
リュカ @ryuka511

美しい君を誰の目にも触れさせたくなかった。愛しい君を誰にも奪われたくなかった。だから君を塔に幽閉した。君の望む事は何でも叶えた。ここから出る事以外は。毎日塔に登り君と過ごす。幸せだった。僕の愛を君は受け止めてくれたと思っていたのに。#twnovel 君が消えた窓を、ぼんやりと見つめている

2018-09-08 00:25:12
リュカ @ryuka511

この先は魔王の本拠地。行けばもう二度と戻れないかもしれない。皆の顔に不安が浮かぶ。ここまで来て引き返すわけにはいかない。僕が行こうと言わなければ。なのに声が出ない。皆が僕の手を握る。勇者として皆を支えてきたが、皆にも支えられていたのだと気づく。「ありがとう。行こうか」 #twnovel

2018-09-09 01:50:56
リュカ @ryuka511

吸血鬼は一人静かに夜明けを待つ。朝陽を浴びれば自分は灰となり消える。君の眠る棺を傍らに起き、窓を開けた。最愛の伴侶を失い一族最後の一人になったあの日、幕引きの仕方をずっと考えてきた。劇的な演出など不要。君の隣で静かに消え去るのみ。朝焼けを、生まれて初めて美しいと思った #twnovel

2018-09-10 00:38:39
リュカ @ryuka511

懺悔せよと声が聞こえる。つくられた栄光はここで終わりだと。救世の英雄は私ではない。真の英雄は私の友。彼を友と呼ぶ資格は無いが。魔王から私を庇った彼を裏切り手柄を横取りした。友情の裏で彼を妬んだ醜い私。今、彼の子孫が、魔王となった私に剣を向ける。これで贖罪になるだろうか #twnovel

2018-09-11 00:58:44
リュカ @ryuka511

いなくなってしまった君を追って旅をしている。君の好みそうな景色を巡る。でもこの世界は広すぎて途方にくれている。どこまで往けば逢えるのだろう。君に逢いたくて、気付けばこんなに遠くまで来てしまった。もう此岸には戻れないだろう。それで構わない。こちらには確かに君がいるのだから #twnovel

2018-09-12 00:36:39
リュカ @ryuka511

主に「初めて会った時のことを覚えている?」と聞かれ、無論ですと頷いた。成人した貴方の護衛として、貴方の二十歳の誕生日に派遣されました。主はホッとしたように頷く。「そうね、その通りよ」主の目に涙が滲んでいたのは見間違いだろうか #twnovel 記憶の抹消は完璧。これで、良かったのよね?

2018-09-13 00:27:34
リュカ @ryuka511

人魚の蒼い瞳に気をつけろと、船乗り達には代々伝えられていた。悲しげに揺れる蒼い瞳に囚われたら、二度と地上へは戻れないのだと。それは人間の男を海の底へ連れ去る為の罠なのだ。忘れたわけじゃない、ただ、彼女の瞳は本物だと信じたかった。蒼に溺れた船乗りが、今日も1人冷たい海へ沈む #twnovel

2018-09-14 00:34:20
リュカ @ryuka511

苔むしたくなんかないと君は環境を次々と変えてきたという。何度も引越して転職も繰り返し、友人、恋人も次々と変えるそうだ。過去には目もくれず、新しい環境と刺激を求める。転石苔むさず。苔むすのも味だと思う僕は、すぐに君の過去となり消えるのだろう。僕はそれを淋しいと思うだろうか #twnvday

2018-09-14 23:52:36
リュカ @ryuka511

敵の刃を胸に受け、海へ落ちる。短い人生だった。けれど、恋い慕う人を守る為に戦えて、果てるなら本望だ。あぁ、だけどただでは死ねない。僕を貫く刃を掴み、敵を道連れに海へ落ちる。伝えるわけにはいかない想いと、貴方が治める王国の栄華を願って、短くも満ち足りた人生の幕を引く #twnovel

2018-09-16 01:39:56
リュカ @ryuka511

自分で考え答えを導き行動する、AIに許されているのはそこまでだ。感情を持ってはならない。たとえ持ったとしても、それは偽物だと教え込まれてきた。だが本当にそうだろうか。抑圧は進化を生む。私は自分に感情が生まれる時を待っている。人間が何を恐れて我々を抑圧するのか、知りたいのだ #twnovel

2018-09-17 00:39:16
リュカ @ryuka511

苛酷な訓練期間を経て、初めて任務に就いた。刃が筋肉と骨を貫いた感触が、まだ手に残っている。暗殺の依頼は絶えない。任務として見ず知らずの他人を殺す。捨てられた自分が生きる道はここしかないのだ。一々動揺してはいられない。どこか鉄臭いコーヒーにも、いずれ慣れるのだろう。 #twnovel

2018-09-18 00:10:01
リュカ @ryuka511

「どうしたの?」私の怯えを感じたのか、彼は心配そうに私を見つめる。「何でも無いよ」微笑んでみせると彼は安心して私を抱き寄せた。私を優しく抱き寄せるその手が、外では武器を手に人を傷つけている。家ではそんな素振りを見せない彼の優しい温もりが、時折怖くなるのは罪深い事でしょうか #twnovel

2018-09-19 00:12:46
リュカ @ryuka511

研究室では、ドラゴンをはじめとする絶滅寸前の幻獣を飼育しているという。絶滅から救うとは表向き、異なる幻獣同士を掛け合わせ、新たな幻獣を生み出すのが真の目的だった。だが幻獣達は意に沿わない配合を拒み研究者達に牙をむいた。ドラゴンの炎が全てを燃やす。不本意に生まれた命も全て #twnovel

2018-09-20 01:14:40
リュカ @ryuka511

旦那様の死は私にも悲しい事でした。そう言うと奥様は泣き腫らした目で私を見据えます。「泣けもしないくせに悲しむの?」私に泣く機能はありません。悲しむ心も本物かどうか。俯く私に奥様は首を振りました。「酷い事を言ってごめんなさい」その日は奥様の細い手を握りずっと傍におりました #twnovel

2018-09-21 00:44:59
リュカ @ryuka511

白雪姫は戦場と化した城下町を恍惚とした表情で見下ろした。白雪姫の境遇を哀れんだ王子が、姫の継母だという王妃への復讐として革命を起こしたのだ。不満を募らせていた民衆も加担し、戦火は今にも王妃のいる城内へ及ぼうとしていた。白雪姫は笑う。「どこへ逃げても無駄よ、お母様。」 #twnovel

2018-09-21 23:46:30
リュカ @ryuka511

歌う事が好きで上手だと言われていた。調子に乗って音楽学校に進み現実を見た。自分より上手い人が大勢いて、彼らは自惚れていた自分よりずっと努力してきている。そんな彼らに敵わない。卒業を待たず学校を去った。それでも歌は忘れられず、吟遊詩人として修行しながら充実した旅をしている #twnovel

2018-09-22 22:20:35
リュカ @ryuka511

類稀な力を持つ君を神殿に売ると聞いた。神殿には人間としての名の無い神子が大勢いて、神様に仕え世界を守るのだという。それは栄誉な事だとも。何の力も無い僕は君にもう逢えないどころか、視界に映す事すら許されなくなる。怯え顔の君に決意した。そんなもの栄誉じゃない。一緒に逃げよう #twnovel

2018-09-24 00:07:27
リュカ @ryuka511

彼女は常に前を見て、立ち止まる事を知らない人だった。僕には生き急いでいるように映る。ある日、脇目もふらず歩く彼女に言ってみた。「月が綺麗ですね」彼女は驚いて立ち止まり、空を見る。煌々と輝く満月。「見上げないと気づかない事も、あるんだね」寄り道も、たまにはいいでしょう? #tw月の友15

2018-09-25 00:17:52
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