2021年4月1日

掌小説語り~自作つぃのべる集~74

自作つぃのべるのまとめです。 2019年6月分。
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リュカ @ryuka511

太陽が失われ世界は暗闇に閉ざされた。ある者はこの世界はもう終わると言い、ある者はこのまま暗闇が続くのだと言った。太陽が失われた理由を突き止めようとする者もいたが、立ちはだかる圧倒的な闇に為す術は無かった。だがそれでも朝日を信ずる者がいる。想いは力となると知っているから。 #twnovel

2019-06-01 00:12:39
リュカ @ryuka511

もうすぐこの城は落ちる。私の責任だ。兵達を逃し外を眺めた。火の手も敵兵もすぐそこまで迫っている。不安げな妃の肩を抱く。「ずっと君と一緒だよ」首を振る君。君はとっくに分かっているのに、自分の愚かさに笑う。隠し通路を開く。控えていた兵に君を託し扉を閉めた。本当に、ごめんね。 #twnovel

2019-06-02 00:09:38
リュカ @ryuka511

やはりここにいたのか。魔王城の建つ孤島。魔王に敗れ命からがら逃げ出した。だが君は、勇者が逃げる訳にいかないと1人魔王城へ戻って行った。全滅は避けねばならないと、僕らは逃げる事を選択する。後に僕らは魔王を討った。君無しで。どこにも行けない君の魂を、僕らが弔う事は許されるのか #twnovel

2019-06-03 01:43:42
リュカ @ryuka511

崖の上に建つ屋敷、その一室にある美しい寝台に眠る麗しい幼子。お前をずっと探していたのだ。やはりよく似ている。若くして命を落とした我が妻の忘れ形見、嵐の日に風に拐われた私達の子。さぁ帰ろう。伸ばした手を家臣に止められた。なぜ止める #twnovel 王よ。その子は只の人間、目を覚まして下さい

2019-06-04 00:22:46
リュカ @ryuka511

ここへ来た頃の君は、怯えて誰にも近づこうとしなかった。だから君が微かに笑ってくれた時は、本当に嬉しかった。ずっと辛い目に遭ってきた君の望みを、何でも叶えてあげたい。恐る恐る僕らを見つめる君。「愛されたいと言ってもいい?」もちろんと答える代わりに、君をそっと抱きしめる。 #twnovel

2019-06-04 23:47:02
リュカ @ryuka511

君がいてくれたら世界が敵になっても大丈夫、と貴方は笑う。意味が解らず軽い気持ちで頷いた。例え話だと思ったのだ。だけど貴方は本当に世界の敵になった。貴方が従えた魔物が世界中の軍隊と戦い、世界を炎の海へ変える。「君は、味方だよね?」炎の中揺らぐ貴方に、頷いていいのか解らない #twnovel

2019-06-05 23:58:07
リュカ @ryuka511

私を微塵も疑わない君の愚かな純真さは、かえって可愛くもある。抱き寄せ蕩けた君の唇から、つるりと喉の奥に潜り込ませたら任務完了。毒を盛られたなどと思いもしない君は、私の腕の中で幸せそうに目を閉じている。おやすみ、眠り姫。私は王子じゃないと知った君の顔を見られないのは残念だ #twnovel

2019-06-06 22:40:48
リュカ @ryuka511

幸せそうに惚気話をする君を見つめる。彼は死んだ恋人が今でも忘れられないのだと、君はあの人の代替品に過ぎないのだと、君はいつ知るだろう。彼が君を愛する事はあり得ない。早く気づいて、そして俺とー #twnovel 知ってるよ。気づかないふりで彼を守るのが私達の役目。私もあなたも、彼の箱庭の一部

2019-06-08 00:17:07
リュカ @ryuka511

魔王を討つ旅の途中、何度もあなたを殺す夢を見る。夢の中の僕はあなたを敵と認識し、あなたも僕を敵として魔法を詠唱する。とどめを刺した後、あなたは仲間だと思い出し泣き叫んで目が覚めるのだ。どうか正夢にならないで。あなたの扱う魔法は魔族特有のものだと、気づいてしまったけれど。 #twnovel

2019-06-09 02:04:25
リュカ @ryuka511

何の為にこんな過酷な旅を続けているのかと、仲間に聞かれた。僕らの使命だからとだけ答える。魔王の脅威を消し去り、世界の平和を。僕には不埒な想いを隠す大義名分がある。本当は使命なんてどうでもよくて、望むのは君と共に生きる人生。それには魔王が邪魔だから、潰すだけ。 #twnovel

2019-06-10 01:38:51
リュカ @ryuka511

封印される直前、鳥に魔力を移し逃げおおせた。せいぜい束の間の平穏を楽しむがいいと、魔王は笑う。肉体は封印されたが力の一部はこの手にある、必ずや肉体を取り戻し、地上の世界を魔族のものにするのだと誓う。満月の夜、獣じみた咆哮を上げる真っ黒な鳥の姿に、まだ誰も気づかない #twnovel

2019-06-10 23:56:22
リュカ @ryuka511

自分は養女で父とは血が繋がっていないと、それでもいいのかと君は問う。親同士で決めた婚姻だが、私が君を気に入ったのだから気にするなと言うと、自分は偽物の令嬢だと自嘲する。それ以上言うと本気で怒るぞ。誰が何を言おうと君は私だけの本物だ。君を偽物などと嘲笑う輩は私が斬り捨てる #twnovel

2019-06-11 23:32:23
リュカ @ryuka511

数多の嘘で他人を突き落とし、自分の手を汚さずこの地位まで上り詰めた。あと少しで野望が叶う、はずだった。君が現れた。支配者の地位より君の隣を望んでしまった。全ての罪を償うから、私に嘘をつかない唇をくださいと心から願った #twnovel 「唇だけ取り替えても無駄だと解らぬか」全てはもう手遅れ

2019-06-13 00:47:56
リュカ @ryuka511

風に揺れる蝋燭の灯を、消えないように必死で守っている。あと僅かしかない蝋燭、これが君の生命だと言われたから。黒い衣の死神がケタケタ笑う。どうせあと僅かだ、諦めろと囁く。ひときわ強い風が吹く。灯が、消えてしまうー #twnovel 目を覚ました君が泣いている。僕の蝋燭を君へ継ぎ足したから。

2019-06-13 23:52:48
リュカ @ryuka511

かつて世界を恐怖で支配しようとした魔王がいた。その目論見は1人の若者に破られ、救世の勇者と讃えられた。現在、伝説と語られる魔王と勇者の戦い。その末裔である私の脳裏に、目覚めろと声が響く。平穏なこの世界に、戦いの炎が #twnvday 待ちかねた時だ。祖先の無念も、燻る私の情念も、晴らせる時

2019-06-14 23:54:40
リュカ @ryuka511

雨の中蹲る君に思わず足を止めた。なぜ君が独りこんな所にいるのか見当もつかない。でも放っておけない。行き過ぎた優しさが人を傷つける事も知っている。憎まれがちな裕福層にも善良な奴はいるのだと訴えたいだけかもしれない。「おいで」握り返された手に安堵する。或いは淋しかっただけか #twnovel

2019-06-16 01:01:20
リュカ @ryuka511

どれ程願っても止まらぬ世界、繰り返す私の鼓動。願うばかりで自ら止める度胸もない私は、ただの臆病者なのだろう。君はそっちで私を待っているはず。君がいなければ生きていけないと思っていたのに、いざ君を失っても私はまだ生き続けている。そんな私を、君は嘘つきとなじるだろうか。#twnovel

2019-06-17 00:35:06
リュカ @ryuka511

魔王城に囚われた私を救出し魔王を討ったのは、天涯孤独な青年でした。命の恩人であり救世の勇者である彼を夫に迎え、王国を共に治めたいと思いました。しかし彼は分不相応だと首を振り旅の空へ消えてしまいました。あの夜、彼と交わしたたった一度きりの口付けを、私は生涯忘れないでしょう #twnovel

2019-06-17 23:14:25
リュカ @ryuka511

私は力が欲しくて君を呼び出し、君は私の魂が欲しくてそれに応えた。私達の利害は一致した。だが私達は同時に孤独だった。はぐれ者だった私達は、初めて他者の為の存在になれた。君から力を得ても何も望まずにすむのなら、契約は永久に終わらない。力より、魂より、互いの存在が欲しくなった #twnovel

2019-06-18 23:46:11
リュカ @ryuka511

私は私の意思で君を好きになったのだと、そんな事を疑いもしなかった。幸せだった。だけど君はどこか辛そうだった。何が君にそんな顔をさせるのか。ある日君は白状した。私を欲した君は私の心を操ったのだと。私を自由にすると泣く君を引っ叩く。何を今更。私が君に惚れたのはもっと前からだ #twnovel

2019-06-19 23:57:00
リュカ @ryuka511

聖歌隊の子供たちは革命軍の戦士として育てられている。清らかに歌う子供たちが剣を手に戦うなど誰も想像しないだろう。戦で親を亡くした彼らが暴君を討ち王国に愛と平和をもたらすのだ。だが教会にも暴君の手が迫る。神父は子供たちを密かに逃し剣をとった。「今は私が。未来を、頼みます」 #twnovel

2019-06-21 01:00:52
リュカ @ryuka511

木漏れ日の降る切株で午後のお茶を楽しんだあの頃。柔らかな陽射しに煌めく芝生が、幼い2人にとって世界の全てだった。だがある日、彼らの世界は突然潰える。お屋敷は人手に渡り、それきり2人は離れ離れになった。やがて大人になった彼は誓う。あのささやかで幸せな世界を、再び君の手に #twnovel

2019-06-21 23:50:12
リュカ @ryuka511

あの子は領主様の娘、それだけで街中から嫌われている。あの子と仲良くなりたかったけど、あの子の友達は屋敷に咲く花だけだった。ある夜、領主様の屋敷に火が放たれ、誰も助からなかった。こんな事になる前にあの花を手折ってしまえばよかった、そうしてあの子を外へ連れ出せばよかったのに #twnovel

2019-06-22 23:20:14
リュカ @ryuka511

楽曲の完成を前に師匠は急逝してしまった。楽譜に遺されたメロディから、師匠の頭の中にあった楽曲の全容を読み解き、完成を試みる。だが師匠の作品には遠く及ばない。自分は一体何を学んでいたのか。この作品を完成させられたら、自分は作曲家で、師匠の一番弟子だったと、胸を張れるはず #twnovel

2019-06-24 00:37:29
リュカ @ryuka511

歴史とは勝者による記録に過ぎない。真の歴史とは、揉み消された事実と語られなかった現実と主観による記録の数々がないまぜになったものだ。埋もれた過去の声が発見され史実が覆るのを見て、果たして歴史は笑うのか嘆くのか。それでも連綿と続く人々の営みを刻まれ、歴史はただそこに在る。 #twnovel

2019-06-24 23:28:43
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