2021年4月2日

掌小説語り~自作つぃのべる集~80

自作ついのべるのまとめです。 2019年12月分。
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リュカ @ryuka511

真っ白い雪面に真っ赤な南天の実をひとつ。これであの人に伝わるだろうか。昔、吹雪の山で倒れていた男を助けた。彼は私を命の恩人だと、私が何者かを知っても変わらず慕ってくれた。故郷へ戻る彼に、私の事を秘密にするよう頼んだ。だけど、忘れろとは言ってない。さぁ、私を思い出しなさい #novelber

2019-12-01 00:08:02
リュカ @ryuka511

もう、戦いは終わった。私達は敗れ、世界は魔王の手に落ちた。命からがら逃げ出した私達に誰も期待などしていないというのに、あなたはどこへ行こうとしているの? 剣なんか置いて、ここで息を潜めて暮らしましょう? 誰にも見つからなければ、命を狙われる事も責められる事も無いのだから #twnovel

2019-12-02 00:36:35
リュカ @ryuka511

敵の砲撃に船は大破した。海に投げ出され、必死に板切れに掴まっていると、同じ板を掴もうとあいつが手を伸ばしてきた。この小さな板切れに2人が掴まればどっちも沈む。伸びてきた腕を思わず払った。俺が助けると信じていたのだろう。力尽き、傍らで沈むあいつの顔が、焼き付いて離れない #twnovel

2019-12-03 00:09:58
リュカ @ryuka511

あれから何年経ったのだろう。同じ街に住んでいるのだからこんな事が起きても不思議はない。交差点の向こう、信号を待つ君がいる。隣に立つ男性と楽しそうに喋っている。信号が変わる。時が動き出したように皆が歩き出す。交差点の中央、すれ違う中交わらない視線。君の視線を求め僕は1人歩く #twnovel

2019-12-03 23:48:07
リュカ @ryuka511

今日から仕えるお屋敷では、ベッドメイキングは日没までに済ませるよう教えられた。主は日没後すぐ就寝されるからと。寝室の厚いカーテンもきっちり閉ざし、決して月の光を入れないよう釘を刺される。主が人で在り続けられるようお守りするのと言うメイド長の悲愴な顔に、孤高な主を想う。 #twnovel

2019-12-05 12:09:43
リュカ @ryuka511

お屋敷の庭、木漏れ日の降る切株で子供達がままごとをしている。自分もああして遊んだものだと老婦人は目を細めた。幸せな光景を、孫娘が少年に向ける熱い眼差しを、守りたいと思う。「風邪を召しますよ、奥様」執事の声に微笑む。かつて彼女が見つめていた少年は、彼女の望まぬ形で側にいる #twnovel

2019-12-06 00:38:57
リュカ @ryuka511

剣を手に敵を屠る。戦う、それは生きるため。戦って勝てば金になる。軍にいれば衣食住に困らない。俺にとって戦う理由はそれだけだ。他の連中は未来だの忠誠だの言っているが、恵まれて育ったんだろう。宿舎に戻り食事を済ませすぐ寝床につく。いつか戦は終わるだろうが、そんな事は考えない #twnovel

2019-12-06 23:14:58
リュカ @ryuka511

これ以上吸血鬼を増やしてはならぬ。不浄な奴らと共生など不可能だ。祖先は何を考え和睦なぞ試みたのか。教皇様の力は本物だ。教皇様の加護があれば襲われても吸血鬼にはならない。全ての人間に教皇様の加護を授かるよう触れを出す。逆らう者は吸血鬼予備軍として処刑だ。これで世は救われる #twnovel

2019-12-08 00:48:12
リュカ @ryuka511

神の御前でお前は偽りを誓ったと、私を責める銀の指輪。そう、欲しかったのは永遠の愛なんかじゃない。王に次ぐ権力者の地位だ。私を侮辱する者は決して許さない。贅物も称賛も忠誠も、望めば何でも手に入る。誰も私には逆らえない。王以外は。我が故国の後盾のみを欲した王よ、貴方も同罪だ #twnovel

2019-12-09 00:36:28
リュカ @ryuka511

桜色をした彼女の唇に、僕はそっと口付けた。こうすれば愛しい人が目を覚ますと聞いて。だって彼女の唇はこんなにも色づいている。なのに彼女は死んでいるなんておかしいじゃないか。彼女が眠る棺にすがる。目を覚まして。真実の愛は奇跡を起こすという。僕の想いは、真実ではないというのか #twnovel

2019-12-10 00:00:17
リュカ @ryuka511

魔王討伐の旅で貴方に恋をした。私の背中を預けられるのは貴方だけ。貴方の背を守れるのも私だけ。肩を並べ救うべき世界を共に巡る。ずっと隣にいて欲しいのに、魔王を討てば私達は元の生活に戻る。私は城へ、貴方は旅の空へ。魔王を討たなければいい、そう考えてしまう私は罪深いでしょうか #twnovel

2019-12-10 23:14:35
リュカ @ryuka511

「あんた一体何がしたいんだ?」吸血鬼に恋人を殺された人間の仇討ちに協力した。本懐を遂げた彼は私も吸血鬼だと知り茫然と問いかけた。「暇潰しだ」「でもあんたの同族だろ?」「確かに同族だが、ただそれだけの相手だ」何故そんな顔をするのか、人間の心は、いつまでたっても理解できない #twnovel

2019-12-12 00:39:55
リュカ @ryuka511

僕が惚れるより前から、確かに、君は僕に惚れていた。僕はそれに傲り油断していた。君との約束を平然と破り邪険に扱い、何でそんな事をしたのかと自分を殴りたくなる。君の心は他の奴に向き、君はあっさりいなくなった。「貴方は貴方を好きな人が好きなだけね」君の最後の言葉が、突き刺さる #twnovel

2019-12-12 23:57:26
リュカ @ryuka511

やっぱり僕には君を幸せにするなんて不可能だったんだ。響く銃声。連れ戻される君が僕を呼び泣き叫ぶ。倒れた僕を更に誰かが蹴り飛ばし罵る声。駆け落ちしようと決めた時、僕が死んだら自分も死ぬと君は言った。だけど君は、生きて。こんな痛みと寒さと暗闇は、君が得るべきものじゃないから #twnovel

2019-12-14 00:12:39
リュカ @ryuka511

元を辿れば、この戦いを始めたのは我々ではない。一方的に邪悪な存在と決めつけられ、地上を追われた魔族。生命の平等を謳う神々が、なぜ人間だけを守るのか。魔族の系譜は神々の意図しない所にあったが、生命の起源は奇跡。それは闇にルーツがあっても同様だ。奇跡の真の価値を、思い知れ #twnvday

2019-12-15 00:20:12
リュカ @ryuka511

昔の事は朧げながら覚えている。親の顔は知らない。流行り病にかかり、憐んですらもらえず死んだ。捨て置かれた俺の亡骸を憐み、新たな生を与えたのは隣を歩く吸血鬼だ。同じような境遇で死んだ奴は皆、亡骸を獣に喰われた。人間でなくなったが、保護され生きている俺は、幸せなんだろうか? #twnovel

2019-12-16 01:54:40
リュカ @ryuka511

夜の世界で彼女は太陽の姫と呼ばれていた。享楽と絶望で満ち汚れきったこの街で、慈愛と希望を感じさせる彼女。彼女を買い一夜を共にした者は、なぜ彼女がこんな街にいるのかと、ここから救いたいと考える。だが彼女は静かに首を振る。私は太陽、全てに光を与え燃え尽きるまで一歩も動けない #twnovel

2019-12-17 00:05:10
リュカ @ryuka511

傾いていく王国の立て直しをはかっている。それは孤独な戦いだ。信用に値するのは誰だ?血の繋がりなどあてにできない。欲望は実子でさえ手にかける事を躊躇わなくさせる。だがたとえば私がこの首一つになってしまったとしても、この戦いは終わらせない。腐った王家の血は、私の代で絶やすのだ #twnovel

2019-12-17 23:34:25
リュカ @ryuka511

どれ程呪っても呪い足りない。我々の力を散々利用しておいて、対価を払わないばかりか我々を悪人に仕立て上げ、滅ぼそうとした王国。魔女があの程度で滅びると思うなよ。土の下、討たれたふりをして潜む同胞達よ。嘆け、恨め。それらは我々の力を増幅させる。決起の時は、近い。 #twnovel

2019-12-18 23:52:00
リュカ @ryuka511

少女は魔術師の背を見据える。師匠は変わってしまった。封じられた古代魔法を研究する内にその強大さに取り憑かれた。「太陽を超える力を我が手に‼︎」古代の人々が何故この魔法を封じたか分からぬはず無いのに。後戻りできない所まで来てしまった。貴方をまだ師と呼べる内に、止めなくては #twnovel

2019-12-20 02:17:51
リュカ @ryuka511

悪名高い貴族や豪商の屋敷から盗み出したお宝を見つめる。美しい品は醜い者の手にあるべきではない。だが、自分がそれらを手にする資格は無い事も自覚している。芸術家が心血を注いだ品を穢れた手から救い出し、一時的にこの手にあるだけ。そのよそよそしい煌めきに、分かってるさと自嘲する #twnovel

2019-12-21 00:50:17
リュカ @ryuka511

貴族種たる資質を得たとはいえ、私のような半端者が純血種であるあの方に恋情を寄せるなど恐れ多い。あの方は吸血鬼の始祖、我々の王。私が想いを寄せては、あの方を穢してしまう。断ち切らねばならぬというのに、この恋情に溺れるあの方を夢想してしまう。穢らわしいこの身を即刻滅さねば #twnovel

2019-12-22 00:45:57
リュカ @ryuka511

長い間、独り暗闇を彷徨ってたどり着いて、ようやく得た居場所だった。決して光の当たる場所ではないが、預けられた背の温もりは光よりよほど温かい。失いたくないものができたのは、弱味となるのか強味になるのか、今はまだ分からない。だが、骨を埋めると決めたこの場所を、守り抜く。 #twnovel

2019-12-23 00:56:58
リュカ @ryuka511

そんなに俺が欲しいなら、そこから落ちてここまでおいで。闇を見せてあげる。俺達が這いつくばって生きてる闇を。光しか知らない君は俺のような存在が珍しいだけ。それは幸せであり罪であり不幸でもある。君に恨みはないが、光は嫌いだ。俺に八つ当たりで消される前に、俺の前から消えてくれ #twnovel

2019-12-24 00:26:20
リュカ @ryuka511

幼い頃に家族を殺され、復讐の為に組織に入った。人の殺し方だけを覚えて育った。何年もかかって、任務を兼ねて復讐を果たした。復讐とは無関係な人間を大勢殺した。僕にはもう、生きる理由なんてない。その価値も資格も。これを覚えて良かった事が一つだけある。自分を殺すにも躊躇いが無い #twnovel

2019-12-25 00:23:50
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