ディズニーから考えるKKO論

星見当番☕️アストロお嬢様部活動日誌 @kaori_stargazer

RTでKKOなるものを論じるときの男女による認識の違いまとめが流れてきた。それを眺めながら「グレイテスト・ショーマン」を思い返している。

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自らも赤貧で福祉も助けてくれなかったバーナムは盗みや詐欺で貯めた資金を使いフリークスや日陰者を集めて見世物で金持ちの有名人になった。フリークスや日陰者たちはバーナムのおかげで居場所を得た。だけどバーナムは別に日陰者たちの味方でもなければ福祉でサーカスやってるわけでもない

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バーナムはバーナム自身が日陰者の身の上から脱出して光のさす場所へ行くために見世物の出演者が欲しくて、でも後ろ楯のない日陰者のところに来てくれるのはやっぱり後ろ楯や居場所のない日陰者ばかりだった。みんなで光の下に出よう！とバーナムは威勢のいいことを言うけれどその後彼は何をしたか？

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日陰者が日陰者を引き連れ、見世物で成功して女王陛下にも皆で謁見したあと、バーナムは美しくスリムなヨーロッパの白人オペラ歌手を口説いてアメリカ公演を承諾させる。殺し文句は「ニセモノばかりと言われた俺の舞台に一度でいいからホンモノをあげてみたい」

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その美しくスリムな白人プリマドンナのアメリカ初公演で、バーナム一座のプリマドンナとフリークスたちは観客席に座らせてもらえない。立見席の暗がりに追いやられる。黒人で肥っていてヒゲが生えているけれど美しい声と歌唱力を持つプリマドンナに「君の歌はホンモノだ」と言ったバーナムが、だ

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トロフィーワイフならぬトロフィー出演者を獲得した途端、糟糠の妻的立場の日陰者フリークス出演者にそういうことをするヤツとして作中のバーナムは描かれている。バーナムが口説いて一座に引き込んだ美男で若い上流階級出身の劇作家はバーナムの差別意識に反発して自分も立見席へ向かうんだけど

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若くていいとこのボンボンな劇作家は美しい黒人のブランコ乗りに惚れている。一座を立見席に追いやるなんてひどい！と彼は立見席に行くけれど、美しいブランコ乗りがいるのでなかったら、彼は行ったのかどうか。ヒゲのプリマドンナだけのためであっても、行ったのかどうか

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立見席に並んでオペラ歌手の歌を聴きながら、若い劇作家は美しいブランコ乗りの手を握ろうとする。バーナムは君らをこんなところへ追いやったけれど、ぼくはここにいる。君のそばにいる。だけどそのとき彼はボックス席にいる自分の両親を見つける。そしてブランコ乗りの手を離す。

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バーナムはさ、自分も日陰者だったけど、だからといって同じ日陰者のことを別に好きでもなんでもないのさ。奥さんはお金持ちのおうちの美人のお嬢さんだし、美しいものが好きなのさ。若いボンボンの劇作家だって美人のブランコ乗りが好きなんであって、その美人が日陰者扱いなのが嫌なのさ

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「キモくて金のないおっさん」の「金のない」は単純に、厳然と、「金がない」なんだけど「キモくて」という曖昧で感覚的かつ罵倒語的な括りかたはもうちょっとわかりやすくできんのだろうかね。「容姿が醜い」んだか「距離なしに性的なアプローチやジャッジを浴びせてくるクソ」なのかわかりゃしない

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つまり「ノートルダムの鐘つき男」みたいに「容姿が極端に悪いだけのヤツ」のことか、ディズニー版「美女と野獣」のガストンやコクトー版「美女と野獣」のアブナンみたいな「女性に対してキモい行動（容姿ジャッジ、体の性でジェンダーロール押し付けてくる、望まない接触を強要）に出る」なのか

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「キモい」は「生理的な嫌悪感を催させ、忌避したくなる」なんだろうけど、この表現は幅が広すぎて「外見が極端に悪いが、他はこれといって悪くないし無害」であっても自分がその外見を嫌いなら「キモい」と言うし「外見は悪くないが自分に対する言動態度が侵食的」でもやっぱり「キモい」になる

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ディズニーアニメで言えば「ノートルダムの鐘」のカジモドは「容姿がキモい」のね。「美女と野獣」のガストンは「ハンサムだけど言動がマッチョで女性蔑視的であるがゆえにベル（美女）にキモがられている」のね。うん、ガストンあれで作中では美男扱いなんだよね、ケツアゴだけども。

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「キモくて金のないおっさん」を、あるひとは「『ノートルダムの鐘』のカジモド的に容姿が悪いおっさん、しかも金がない」を想定して言い、別のひとは「ディズニーの『美女と野獣』のガストン的に女性蔑視マッチョな態度で侵食的なおっさん、しかも金がない」を想定して言う。そりゃ話が食い違うよ

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「キモい=接触したひとに嫌悪感を催させ忌避したくなる」にはそれくらい広いものが含まれるのだから、もっとピンポイントで「容姿が悪くて金のない」なのか「言行が侵食的で金のない」なのか区別のつく言い回しで話した方がよくね？ってまずは思うの。

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「ディズニー『ノートルダムの鐘』のカジモド」は「見た目が醜くて心優しい（で、まあお金もない）」だ。「ディズニー『美女と野獣』のガストン」は「見た目は美男（※作中ではそういう扱い）で言行が（ベルから見れば）マッチョで侵食的（で、田舎レベルで小金は持ってる）」

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「『キモくて』金のないおっさん」の中には「顔が悪くて気は優しい貧乏なカジモドおっさん」と「貧乏で顔が悪く、言行が侵食的なガストンおっさん」の両方がいる。双方に美貌とお金を共に加えたら、「ハンサムで金持ちな優しいおっさん」と「ハンサムで金持ちで侵食的なおっさん」の両方が生まれる

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「金のないこども」と「金のないおとな」だと「金のないこども」が優先的に援助され「金のない女」と「金のない男」だと「金のない女」が優先的に援助される―ように「金のないおとなの男」からは見えるんだろう、なーとは思うのだけど。「金のないおとなの男も助けて！」までは筋が通っていると思うよ

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だが「お金のないおとなの男も助けてよ！金くれ！」と訴え出る先は「行政」とか「企業」とかだろうよと思う。「女性」や「フェミニスト」ではなく。

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「キモくて」の方面―容姿のせいか言行のせいか知らないが「ないわー」と言われてしまって「女性と」うまく人間関係を築けないという困難の方なんだが、これ「もっぱら女性が」「親しく交際したり世話したりすることによって」解消するべきものかね？そこは別に「女性でなくてもいい」んじゃない？

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容姿か言行が「女性から『ないわー』と言われる。嫌悪感を持たれて忌避される=キモい」男あるいはおっさんをサポートするの、必ず女性でなければならないかな？「キモくなくてお金のあるおっさん」や「心優しいおっさん」が「キモくて金のないおっさん」をサポートしたってよくない？

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ディズニー版「アラジン」で底辺暮らしの青年アラジンをサポートしたのはマジカル髭マッチョ芸達者おじさんこと魔人ジーニーだった。ジーニーの中のひとは英語版ならロビン・ウィリアムズ、日本語版は山寺宏一だ。「ドラえもん」でのび太をサポートするのはドラえもんで、彼もロボットながら、男設定だ

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奇しくもジーニーとドラえもんには「推定男性である」「ひどく醜いわけではないが、かと言ってさして美しくもない容姿である」「落ちこぼれ男子をサポートする」以外に「体色が青くて人外である」という共通点があったりする。

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ディズニー「シンデレラ」では不遇な女性を魔法使いのおばあさん（妖精の名付け親）が着飾らせて舞踏会へ送り込む。ディズニー「アラジン」では不遇な男性を魔神のおっさんが着飾らせて王女へ求婚に行かせる。サポート役と交際相手は別々であり、かつサポート役は主人公の同性年配者で人外なんだよね

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ディズニー「シンデレラ」もディズニー「アラジン」も不遇な主人公が魔法使い（魔神）のサポートで着飾り王子（王女）の心を射止める話だけれど、サポート役が担当するのは「着飾らせて城へ送る」だけであり、王子（王女）の心を射止めることを確約したりしないんだよね。そしてあくまで同性介助である