『お釣りはいいです』古本屋さんに訪れたお客さんと店主さんのやり取りが、おとぎ話のようで引き込まれる「猫の祝福の在らん事を」

最近はドアを開けていても気持ちのよい季節なので、「ねこでも入ってこないかなあ」と思いながら入り口を開放して営業しています。夜、さすがに寒いので扉を閉めて残業していたら、はじめてお越しとおぼしきお客さんが「作家と猫」という本を帳場に差し出してくださった。「2,090円です」と言うと

2021-04-09 21:02:14

半月舎みこしば @mikosoba

そのひとは、2枚、少し考えていや3枚、と迷うように千円札を3枚取り出して、渡してくれた。「910円のお釣りですね〜」と釣り銭箱をさぐるわたしに、そのひとは「あのー、失礼なんですけど」と言った。思いがけず大きな声にどきっとして「はい、なんでしょう」とお客さんを振り返ると、

2021-04-09 21:02:15

半月舎みこしば @mikosoba

「お釣りはいいです」と言う。「え、それは…」と驚くわたしと、「あの…」と口籠るそのひと。両者もじもじの末、彼女はついに「話すと長くなるんですけど、いいです」ときっぱり言った。わたしはなんだか気迫におされて、「話すと長くなるような話なんですね」繰り返した。

2021-04-09 21:02:15

半月舎みこしば @mikosoba

するとそのひとは「ずっと前に、ここにいた猫にお世話になったんです。」と口早に言った。「それで、ここに猫の本があったから…お店、続けるの大変だと思うけど、がんばってくださいね」と言うそのひとは今にも泣きそうで、わたしもなんでか泣きそうになってしまい、それ以上きけなかった。

2021-04-09 21:02:16

半月舎みこしば @mikosoba

「じゃ…」とお客さんが出て行こうとするので、お礼を言った。「長い話、またしにきてください」と言ったけど、いつか聞けるんだろうか。猫の恩返し…いや、猫に恩返し？とにかくここには猫がいたんだなあ、とひとりごちております。なんか幻みたいなできごとでした。忘れないようここに書きました。

2021-04-09 21:02:16

半月舎みこしば @mikosoba

彦根で「半月舎」という古本屋をしています。お店は、旧彦根城外堀土塁のふもと、元銭湯「山の湯」 @yamanoyu_hikone の中にあります。古本レコード、売ります買います。12-18:00営業、水木定休(祝日営業)です。好きな食べ物はおにぎり・えだまめ・たこ・カレーです。わたしの瑣末な日常についてもつぶやきます。

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