教授&臨床医vs末端技術者【青島1089万人PCRの報告で証明された偽陽性ゼロ・特異度100%と、体内分布に起因する偽陰性】正しく理解しているのは?(2021.5.4作成) #ベイズの定理 #新型コロナウイルス

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Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

1000万人を6日7日8日の実質3日間で完遂。二次三次と感染が広がる前に、短期間で洗い出しと隔離を行うという基本を、この規模で実践している。 日本ではひとつの医療機関の院内感染クラスタの検査を2日以内に終わらせることすら、できていない。少なくとも自施設では、それができるように準備したい。 twitter.com/CRIjpn/status/…

2021-01-11 23:35:00
CRI日本語 @CRIjpn

【PCR検査の「火眼」がわずか21時間で稼動】 1日最高100万人分のPCR検査を測定できる「火眼」実験室が、わずか10時間で建設され、完成から11時間後に運用を開始。石家荘市は6日に全住民にPCR検査を開始し、9日午前0時に検査を完了。検査を受けた人は計1025万人で、陽性者は354人でした。#新型コロナ pic.twitter.com/aPv8FFuSMj

2021-01-11 19:00:01
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

タイムリーに中国の大規模スクリーニングのニュースが入ってきたが、今週末に書いた「院内感染発生時にはパンサー外注で2日以内に叩き切るスキームを作った」という話と根底にある考え方は同じ。 迅速第一、LOD重視。特異度が事実上100%であることの恩恵が最大限生きる使い方だとも言える。

2021-01-11 23:58:55
日付切取線 @krtr_date

✄------------ 1/12(火) -----------✄

2021-01-12 00:00:01
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

①中国の短期間大規模スクリーニングの事例として、昨年10月の青島市の1089万人検査の報告が12月のNEJMに短報告として出た。 実はこれが【検査の特異度が100%である】ことを裏付ける報告でもあることを読み取れていない方が多いようなので、私なりに解説する。 nejm.org/doi/full/10.10…

2021-01-12 00:48:47
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

②まず本文の総括を先に見てしまおう。 「1089万人をプール検査して陽性者9名。合計で12名になった。」 『陽性率0.00008%かぁ。仮に全部が偽陽性だとしても特異度は99.99992%だよね。』 私はそうは受け止めなかった。 pic.twitter.com/DMUj9BH7B2

2021-01-12 00:48:48
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③記された経緯をきちんと読んで行こう。まず大事なのは図をよく見ること。敢えてlegendも一緒にスクショした。 pic.twitter.com/4tHhfbQaCl

2021-01-12 00:48:50
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Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

④最初に見いだされた陽性例のひとつは10月10日に一過性脳虚血発作のために入院時検査を受けたタクシードライバー(14番)。2例目は翌10月12日に陽性と判明した彼の妻(11番)で、パートの看護助手として病院勤務していた。

2021-01-12 00:49:19
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑤3例目はアウトブレイク前に、1ヶ月間同院に入院していた男性(12番)で、フォローアップ診察の予約日10月11日に陽性。この段階で病院は新規入院と外来診療を停止。

2021-01-12 00:49:52
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑥想定された感染源は無症状の2名の港湾労働者(1番と2番)。彼らはハイリスク群として隔週でスクリーニングを受けており、それにひっかかってきた。この2人からCTユニットを介して患者(3番)と医療者(4番)に、さらにこの3番4番から、5-12番(11番と12番は前述)の8人に。

2021-01-12 00:50:12
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑦図の14人のうち、港湾の1番と2番、入院時偶発的のタクシードライバー14番、退院後予約受診時の12番、の4人は大規模検査とは別に診断されていた。大規模検査で見いだされたのは残りの10人うち9人ということになる(これ以上は特定できる情報なし)。

2021-01-12 00:50:20
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑧1089万人の検査をして、新規に見いだされたのは9名で、すべて既知の単一クラスタに関連していた。No additional cases were found.それ以外の事例は無かった。大規模検査で診断された9名を含む二次三次例10名は全員発症している(図の日数表示が赤い四角になっている)。

2021-01-12 00:50:32
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑨結論。1089万人の検査をして、陽性者は全員クラスタ関連で全員が後日発症。それ以外の陽性者は皆無。すなわちクラスタ外の陽性者はもとより偽陽性もゼロ。 この検査は【正しくクラスタの輪郭を描ききった】のだ。 青島の大規模検査では偽陽性は出なかった。これが今回の石家荘につながっている。

2021-01-12 00:50:52
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑩見逃してはならないのは、発端者の港湾労働者(1番と2番)が見いだされた経緯である。サーベイランスが機能しているのだ。 3種類のPCRの使い方、すなわちsurveillance / screening / diagnosis がすべて適正に機能しており、もはや日本はこれに遠く及ばない。

2021-01-12 00:59:17
日付切取線 @krtr_date

✄------------ 1/16(土) -----------✄

2021-01-16 00:00:01
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

ここまで咽頭スワブにこだわる理由を考えてみていただきたい。 鼻咽頭と唾液からの(RNA精製を経る)2step>鼻咽頭からの1step>>唾液からの1stepの順に検出能力は落ちていくことは常識。理由は唾液夾雑物による反応阻害。 精度を保っての大量処理には鼻咽頭1step。障壁となる検体採取を機械化。 twitter.com/myokoi1962/sta…

2021-01-16 08:01:56
China Tips by myokoi @myokoi1962

PCR検査を行うロボット「霊採」が瀋陽市に登場。咽頭拭い検体を採取する。スタッフの感染リスク引下げが目的。検体採取だけではなく、受検者受付から検体採取、容器の打栓、検体保存など一連のプロセスを自動的に行う。 #中国 pic.twitter.com/EtyhStH12V

2021-01-16 07:18:37
日付切取線 @krtr_date

✄------------ 1/17(日) -----------✄

2021-01-17 00:00:01
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

教授&臨床医vs末端技術者(その1) ①青島1089万人PCRの報告から【偽陽性ゼロすなわち特異度100%】であったことが読み取れることを解説した。これでもn数が足りないとかおっしゃる方はおられないだろう。 多くの科学者医療者の皆様に共有いただけたことは一段階進歩である。まずは感謝申し上げたい。

2021-01-17 21:38:32
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

②あの報告について「特異度100%の実例」とまで踏み込んで言及する方は、おられても非常に少数で目立たなかったと思う。 だからといって、『私は文献を読む力が優れている』と誇る気持ちは無い。これは能力などではなく、スタンスの問題だからである。

2021-01-17 21:38:33
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

③私は末端技術者として、年余に亘って蛍光プローブのリアルタイムPCRと格闘してきた。そこで学び得たのは、設計の良いプライマー/プローブでは偽陽性は極めて出にくい、もっと言うなら逆にコンタミ以外でどうやったら出せるのか想像できないくらいあり得ないということ。 twitter.com/kakeashi_ashik…

2021-01-17 21:38:33
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

承前)「検査前確率が低くなるほど、偽陽性 が出やすくなる。」 とあるが、プライマーに加えてプローブを使い、しかもこのプローブが完璧にアニールしていないと伸長の際に分解されない(蛍光を発しない)ので偽陽性はきわめてきわめて出にくいです。だから検体プールでスクリーニングが可能。(続く

2020-07-18 19:21:53
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

④12月のCQ(Clinical Qusetion)形式シリーズでは 全世界的に検査自体の特異度は100%を前提に人々は行動している。これは検査の特性上、【偽陽性が出るのは河原の石が自然発火するくらい起こり得ない】からである。 とも書いた。 twitter.com/kakeashi_ashik…

2021-01-17 21:38:33
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

承前) ②いまだに「偽陽性が出る」「特異度は100%ではない」とおっしゃる方も、蛍光プローブのリアルタイムPCRの性質を御存知ない。 全世界的に検査自体の特異度は100%を前提に人々は行動している。これは検査の特性上、偽陽性が出るのは河原の石が自然発火するくらい起こり得ないからである。(続く

2020-12-14 05:10:28
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑤『大規模検査に使えるくらい優れた設計で偽陽性など出るはずはない』という【強烈な偏見】をもって、件の報告を読んだわけである。 この偏見の土台となっているのは、末端技術者としての苦闘の経験である。教授クラスの研究者や臨床医でも、当該技術に疎い方には理解していただけないと思う。(続

2021-01-17 21:38:34
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

教授&臨床医vs末端技術者(その2) ①過去に書いた喩え話。技術についての理解レベルを、家庭でカレールーを買って作ることになぞらえる。 A食べる人(臨床医or結果を見るだけのPI級研究者) B料理する人(検査技師or系を運用する研究者) C製品化する人(ターゲット別の系をデザインする研究者)

2021-01-17 22:54:35
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

②Cの深さで技術と向き合ってはじめて理解できることがある。ABとCの間には大きな隔たりがある。 別の喩えを重ねるなら、ワードやエクセルのエキスパートユーザとプログラマの差と言えば御理解いただけるだろうか。 新コロではその隔たりが不幸にも、特異度についての認識の差として表出した。

2021-01-17 22:54:35
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

③特に、Aすなわち功成り名を遂げた研究者や指導的立場の臨床医の先生方(彼らは行政に助言する立場にあったりネット論客であったりする)に、「隔たりの向こう側」Cの小さき者たちが「しっかりと掴み取っていた」実感や認識は共有されることはなかった。それは時として、罵倒嘲笑の対象にすらなった。

2021-01-17 22:54:36